Wizard//Magica Wish −6− 後編
「…おいハルト、あの女はマミのこと馬鹿にしてんのか?」
「ダメだよ、杏子ちゃん…ちょっと押さえて…」
杏子は拳を握り乗り出そうとしていたので咄嗟にハルトはそれを止めた。気持ちはわかるがここで暴れるわけにはいかない。特に目の前のいる完全に気が立った彼女は手加減無しで暴れるに違いないだろう。
「そろそろ行こう、杏子ちゃん」
「…チっ…あぁ」
二人は店を後にした。あんな話しを間近で聞いたため、どちらも不機嫌だった。特に会話もせず、目的もなくただ途方に歩く。彼女の事は前からわかっていた事だ。だがわかっていたとしても良い気は全くしない。
何故、彼女は人の為に日々戦っているというのにここまで恵まれないのだろうか。
いや…それは彼女が「魔法少女」になった瞬間に運命づけられていた事なのかもしれない。
全ては、そこから始まった「悪夢」なのだ
「やっぱり、このままじゃ絶対だめだ」
「…ハルト?」
「マミちゃんは絶対に救われるべきだ。こんな事酷すぎる。俺がマミちゃんの希望にならないと…」
「………そんなの、ハルトだけじゃないよ。あたしだって同じさ。あたしも…マミの希望になってやりたい…」
巴マミの周りには誰も居ない…なんて方程式は存在しない。そんなもの、自分たちが壊すしかないのだ。何が出来るのか、なんて考えると本当に限られている。それでも、ただ傍にいるだけでも、彼女の心の支えになることができるのだ。
決心しなくてはいけない。彼女の為に、本当に大事なことを…。
作品名:Wizard//Magica Wish −6− 後編 作家名:a-o-w