仮面ライダー ~episode of NEW RIDERS~
第一章 W Jの出現/新たな敵は切り札
後輩達が財団X、いや、レム・カンナギの野望を阻止して早一年
この一年の間にも色々あった
一番大きかったのはやはり、龍介の存在だろうか
内藤龍介
彼はおやっさんの甥っ子…亜樹子の従弟で、シュラウドからライダーシステムを授かった仮面ライダーだ
半年ほど前の、リクレイムとの抗争でライダーの力を失ってしまったが、まだこの街のために戦いたいと望んでいるだろう
…しかし、まだあいつらが残っているとは、思ってもいなかった
「クソッ!!」
ジョーカー…いや、翔太郎は今一人で戦っていた
今日もフィリップは何かの検索に夢中のようで、戦いは翔太郎に任せっきりだ
それはいつもの事だからなれた
今はそこじゃない
「なんでリクレイムの残党がまだこんなに残ってるんだよ!」
そう、半年前に壊滅状態に追いやったリクレイムの残党がまだ大量に残っていたのだ
しかも
「幹部まで残ってるとはな…。しかも、全部停止したはずのT3メモリ!!」
半年前に龍介が「ゴッド・レクイエム」で全て停止させたはずのT3メモリがまだ残っていた
「これで…全部だ!!」
とりあえず試作型、及びミュージアム製のメモリで変身したドーパントは全て倒した
あとは…
「…お前だけだ…ジョーカー」
翔太郎…仮面ライダージョーカーの前に対峙していたドーパント
そいつは、切り札の記憶を内封するメモリで変身したドーパントだった
翔太郎を表す、ボディサイドのメモリで…
「流石は仮面ライダー。俺の予想を上回る早さで雑魚どもを蹴散らしたな。だが、俺はそんな風に行くかな?」
「手前ぇのメモりがT3メモリだってことは分かってる。どこで手に入れた。どうしてまだ使える」
ジョーカーはクククッと声を押さえて笑い、答えた
「そんなもの、聞くのは不粋というものだ。俺はあの時、施設外で別の任務についていた。そんなときにお前達がせめて来たのだよ。そのおかげで、このメモリは使えているのだがな」
「なん…だと…」
翔太郎は肩を落とした
あのとき、あれで片付いているはずだったものがまだ残っていた
それだけでも苦痛のはずなのに、使っているメモりが自分の愛用するメモリだなんて…
「じゃあな、仮面ライダー。これで一人目だ」
ジョーカーは持っていた刀―ジョーカーセイバーのときに使う刀に似ている―を振り上げた
このまま倒されるのか
そう翔太郎が思った瞬間
「ハァ!」
突然声が聞こえ、いつの間にか目の前の敵が吹っ飛んでいた
「大丈夫かい?翔太郎」
そして目の前には、緑色の仮面ライダーが立ち膝を立てていた
どこかで聞いたことのある声
いや、聞き覚えどころではない
いつも聞いている声だ
「フィリップ!」
そうだ
相棒の声だ
腰にはロストドライバー
そこには疾風の記憶のメモリ
相棒がいつか手に入れたロストドライバーを使って変身した姿だ
仮面ライダーサイクロン
名をそういう
「すまない。あのドーパントが現れたときに、あのドーパントについて調べていたんだ。まあ、大体彼がしゃべってくれたみたいだけどね」
「そうだったのか…」
ならそう言ってくれればよかったのに
そう言いかけて飲み込んだ
いまさら言っても仕方ない
相棒はそういうやつだ
「いくよ、翔太郎。二人で、決めよう」
「ああ」
翔太郎は、左手の腕時計を直すような仕草で手首のスナップを効かせ、応える
これは一種の癖のようなものなので、直せないらしい
そして二人でジョーカーに立ち向かって行く
二人が持つコンビネーションを駆使してドーパントにダメージを与える
「翔太郎、メモリチェンジだ」
「ああ」
二人はそれぞれメモリを出す
『Heat』
『Metal』
二本のメモリをそれぞれドライバーに挿して展開する
そしてフォームチェンジを完了する
メタルジョーカーと、ヒートサイクロン
メタルは背中のメタルシャフトを手に
ヒートは全身に炎を纏って
それぞれ攻撃を仕掛ける
「ぐおおおぉぉぉ」
流石にこのコンビネーションの前には歯がたたないようだ
ジョーカーは防戦を強いられている
それをついてメタルはメタルシャフトで敵を吹っ飛ばした
「さて、お片付けだ」
二人はそれぞれ、ジョーカーとサイクロンに戻った
そして翔太郎はあるものを出した
ガイアメモリ強化アダプター
以前龍介が作ったものをそのまま受領していたのだ
それに合わせてフィリップもファングメモリを呼んだ
翔太郎はメモリにアダプターをセットし、ドライバーに挿して展開した
『Joker Upgrade Saber』
フィリップも、ファングメモリを変形させてドライバーに挿入し、展開した
『Fang』
すぐに二人の変身は完了した
そして翔太郎は背中のジョーカーセイバーを手にした
『Arm Fang』
フィリップも腕に刃を出現させた
二人はジョーカーに向かって刃を向け、いつもの台詞を叫んだ
「「さあ、お前の罪を数えろ」」
言い終わると同時に走り、ドーパントへ刃を振り下ろした
ジョーカーも持っている剣で応戦した
しかし二対一
これは二人の方に分があった
ジョーカーは切り札の力を発揮して、二人の刃を退けた
しかし二人は別方向に飛び、左右両方からジョーカーを切り裂いた
「ガハッ」
ジョーカーは断末魔を叫び、そして倒れた
「メモリブレイクだ。行くぜ、フィリップ」
「ああ」
翔太郎はメモリを抜き、腰のマキシマムスロットに挿入した
『Joker Maximum Drive』
フィリップもメモリのタクティカルホーンを三回叩いた
『Fang Maximum Drive』
「行くぜ…」
二人は同時に飛び上がり、立ち上がったジョーカーに向けて同時に回し蹴りを放った
「「ダブル ツインマキシマム!!」」
二つのキックは斬撃属性を持ち、ジョーカーを切り裂いた
「グワアアアアア!!」
そしてジョーカーは爆発し、メモりが排出された
しかし
「…やっぱり、メモリブレイクは出来ないか」
「まあ、T3メモリだしね。これは回収しておこうか」
「だな」
そう言って翔太郎がメモリを拾おうとしたとき
どういうわけかメモリが宙を浮き、そのままどこかへ飛んでいった
二人はメモリを目で追った
その先にいたのは
「悪いですが、このメモリは回収させてもらいます。必要なものですので」
どこかで見たことのある白服
そして
『Masquerade』
数人のマスカレイドドーパント
「財団X…」
風都に害を及ぼす組織だ
「何を企んでいる!!」
「企業秘密ですので。…行け」
言葉と同時に戦闘員達が襲ってきた
「フィリップ!!」
二人で応戦し、全滅させる
しかし
「…逃げられたか…」
戦っている隙に逃げられたようだ
「だが、追跡は出来るんだろう?」
「まあな」
翔太郎は逃げられる前にさっきの白服の車に追跡用のコインを忍ばせていた
「あとで追えばいい。今は、あいつらに連絡を取らないと…」