機動戦士ガンダムRS 第9話 目覚める刃
「敵は、サラミス級3隻にアレキサンドリア級1隻。
マン・マシーンは、ユーピテルが27機にユーピテルツヴァイが1機よ。
気をつけてね」
ミリアリアがキラに敵の情報を伝えた。
ストライクガンダムは、カタパルトに固定された。
「カタパルト、接続。
エールストライカー、スタンバイ」
天井が開きエールストライカーパックが現れた。
「システム、オールグリーン」
そして右腕には、57mm高エネルギービームライフルが左腕にはシールドが装備された。
「進路、クリア。
ストライク、どうぞ」
ミリアリアがそういうと発進準備が完了しストライクガンダムが発進した。
キラは、フェイズシフトを展開した。
※
サオトメは、帰艦するとラクスがいる部屋に入った。
「近くで地球軍艦隊がわが軍と戦闘をしている。
停戦させあなたを返還します。
私と一緒に来てください。
ただしいろいろと見られると厄介なので目隠しと手錠をさせてもらいます」
「わかりました」
ラクスがそう答えるとサオトメは、彼女に手錠をし目隠しをした。
若い女性の自由を奪うというのは、男にとって下種な行為かもしれないがミノフスキー物理学の秘密を守るにはこれしかなかった。
サオトメは、部屋を出るとラクスが転ばないように注意しながらマン・マシーンデッキに急いだ。
※
モントゴメリは、ユーピテル・バズーカを弾幕で防いだ。
1機のジンが120mmマシンガンで蜂の巣になり撃墜された。
1機のメビウスは、2発のミサイルを発射した後上からユーピテルに載られ至近距離から120mmマシンガンで蜂の巣になり撃墜された。
※
その戦闘宙域にアークエンジェルが到着した。
「バリアント、1番2番撃て」
バジルール副艦長の命令でバリアントが両舷から発射された。
※
アークエンジェルから発射されたバリアントは、モントゴメリに取り付こうとしていたユーピテルの小隊に向かった。
小隊は、気づいたように回避した。
これは、モントゴメリでも確認できた。
「アークエンジェルが着てくれたのか」
事務次官がほっとした。
しかしコープマン艦長は、肘掛を拳で叩いた。
「バカな」
コープマン艦長は、歯を食いしばりながら言った。
※
それは、アル・ギザでも確認できた。
「本命のご登場だ。
雑魚にあまり時間を掛けるなとマン・マシーン隊に伝えろ」
アーノルド艦長が命令した。
※
ユーピテルツヴァイが1隻の護衛艦にハイパー・バズーカを撃った。
弾頭は、護衛艦の装甲を撃ち抜いた。
そのときケイト准尉は、換装型ガンダムを見つけた。
「あれね」
ケイト准尉は、ユーピテルツヴァイの武器をビームライフルに戻し換装型ガンダムを撃った。
換装型ガンダムもビームライフルで応戦した。
換装型ガンダムは、かなりの運動性を誇っておりなかなか命中弾を得られなかった。
ユーピテルツヴァイのビームライフルは、一撃で通常のモビルスーツを撃墜可能な火力を持っていた。
そのため命中弾さえすればたとえガンダムでもただでは、すまないと考えていた。
しかし命中弾は、おろか至近弾も得られなかったため武器をビームサーベルに替え接近した。
換装型ガンダムもビームライフルを投げビームサーベルを持った。
2機のビームサーベルは、交差しあい激しいスパークを発生した。
ケイト准尉は、少し距離を離すと右の前腕部分に装備されている90mmガトリング砲を発射した。
これは、ビームライフルやビームサーベルなどを持っていても支障なく使える汎用性の高さを持つ反面振動による照準の不安定さという課題も抱えていた。
今回もバルカン砲同様5発に1発の割合で仕込んである曳光弾も至近距離で撃ったにもかかわらず反動で時々換装型ガンダムに命中していない。
しかもせっかくの命中弾も特殊装甲によって跳弾してしまっている。
※
フラガ大尉は、1機のユーピテルに狙いを定めるとガンバレルを展開した。
そしてガンバレルを一斉に発射した。
しかしユーピテルは、その包囲網を突破した。
すると別のユーピテルがメビウス・ゼロ本体真横につきバズーカで狙いを付けた。
フラガ大尉は、ガンバレルでそのユーピテルを退かせるも別のユーピテルの120mmマシンガンの攻撃で制御不能に陥った。
「クソ」
フラガ大尉は、何とか姿勢を直した。
「これじゃ立つ手ないでしょ、俺は」
しかし戦闘の継続は、不可能だった。
※
ほかのシグーハイマニューバとガンダム4機は、アークエンジェルの直掩についていた。
既にマン・マシーンの何機かは、先遣隊からアークエンジェルに狙いを変えていた。
※
換装型ガンダムは、浮遊していたビームライフルを回収すると再びユーピテルツヴァイに撃った。
ケイト准尉は、反撃に90mmガトリング砲を撃ちながら武器をビームライフルに替えた。
※
サオトメは、S型に換装したガンダムサイガーをモビルアーマー形態でゲターに載せて戦闘宙域に向かっていた。
コックピット内には、目隠しと手錠をしたラクスがいる。
サオトメの心にも少し疚しい気持ちがあったがそれよりも戦況が思わしくなくそっちが気がかりだった。
「まずいな。
間に合わないかも」
サオトメは、到着前に地球軍艦隊が全滅する恐れを感じた。
「地球軍の船に乗れませんの?」
「そうなるかもしれません」
サオトメは、ラクスの質問に嘘をついた。
実は、サオトメは近くにアーガマもどきがいることにも気づいていた。
しかしサオトメは、アーガマもどきだけには返したくなかった。
自分らが撃沈させようとする船に民間人を乗せる真似は、したくなかったからだ。
「少し急ぎます」
そういうとサオトメは、フットペダルを踏み込み増速した。
※
キラは、ユーピテルツヴァイと激戦を繰り広げていると近くで地球軍の軍艦が撃沈した。
一瞬キラは、モントゴメリかと思ってひやりとしたが艦の形状が違ったためほっとした。
しかしモントゴメリに多数のユーピテルが取り付こうとしているためいつ撃沈されてもおかしくない状況だった。
そのときアークエンジェルから通信が入った。
「戻れ、キラ。
もう先遣隊は、全滅したも同然だ。
アークエンジェルの直掩に戻れ」
それは、バジルール副艦長からの命令だった。
「そんな。
サイのお父さんだって脱出ポッドで脱出してるかもしれません。
探します」
キラは、なおもその場にとどまろうとしていた。
「いい加減にしろ。
いくら脱出できたとしても脱出ポッドは、軍艦にある脱出ポッドだ。
うまく脱出できたとしてもそれに軍人が乗っていると思われて撃墜される」
バジルール副艦長は、戦場での冷酷さを伝えた。
キラは、それを聞いて言葉を失った。
作品名:機動戦士ガンダムRS 第9話 目覚める刃 作家名:久世秀一