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こらぼでほすと 再来1

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組織のファクトリーで、作業をしつつ、ふと日付が目に入ったティエリアは、ふう、と、メガネを外して息を吐いた。そろそろ、恒例の依頼がやってくる時期だ。毎年のことだが戻って来て間もないし、地上にはアレルヤたちがいる。今年は、どんなことをさせられるのだろうか、と、少々、アレルヤたちが気になる。昨年は女装して、アレルヤとダンスをさせられた。何時間かのことだし、それに合わせて地上に降りるので、ニールと顔を合わせられるから、まあ、よかったのだが、今回はアレルヤだげ乗り切ってもらおうと決めていた。まあ、いいのだ。どっかのバカが行方不明だった時は、ティエリア単独で、このミッションをこなしていたのだ。どうにかなるだろう。
「アーデさん、秘匿通信ですぅ。」
 そう考えていたら、ミレイナからの連絡で、考えていた相手からの通信が入った。まあ、時期的に、そういう時期だ。
「俺だ。」
「お久しぶりですね、ティエリア。用件は、お分かりのことと思いますが、例の特別ミッションです。」
 相手は、もちろん、宇宙規模で有名な歌姫様だ。今回は、リアル通信で繋いでいる。にっこりと微笑んで、見た目には可憐な姿になっているが、逆らったら、やりますよ? オーラが全開になっていたりする。ぐっと奥歯に力を込めて、こちらの言い分を、ティエリアも吐き出す。
「わかっている。今年はアレルヤたちが担当する。それでもいいだろう? ラクス・クライン。」
「いえ、今回も、あなたの召還をさせていただきます。先方様は、是非にとのことですので。」
「だが、今年は。」
「それは、そちらの事情。こちらの事情ではございません。それに、これは毎年恒例です。拒否されるなら、こちらから拉致に参上いたしますが? 」
 歌姫様も容赦はない。毎年、ティエリアとアレルヤたちが、この時期の特別ミッションには借り出される。それは、わかっていたが、一度くらいはスルーさせてもらえるだろう、と、ティエリアは考えていたのだ。だが、拉致りに来られては困る。というか、拉致りに来るのは大明神様であろう。何をやられるか、わかったもんじゃない。その被害から免れるためには、どうあっても、地上に降りなければならないらしい。
「今年は、少々、事情が変わります。まずは、ヴェーダへ行っていただきませんと始まりません。」
「なに? 」
「とてもお気に召したそうでして・・・・ママも楽しみにしておりますから。」
 説明されて、なんで、またアレなんだ、と、がっくりと肩を落としたものの、これだけは拒否権はない。アレルヤも、ヴェーダに一端戻って、そちらから一緒に降りて来るようにと指示された。もちろん、準備はリジェネに頼んであるという駄目押し付きだ。

 近日中に、降下すると、歌姫様とは渋々約束して、マイスター組との打ち合わせをするために、招集をかけた。
 すぐに、刹那とロックオンがやってきた。特別ミッションについて説明すると、どちらも頷く。毎年、恒例のこのミッションだけは、何があろうとやらなければならないことは、どちらも承知のことだ。
「こちらは心配ない。それから、おまえたちは、そのまましばらく居座っていろ。」
「ああ、そうさせてもらうつもりだ。ずっと、以前から俺もやりたかったんだ。」
 気持ちを切り替えれば、ティエリアも他の予定と連動することに意識が向く。アレはイヤだが、その後の予定を考えたら、我慢はする。
「俺は、こいつのほうを担当する。」
 刹那のほうは、アゴでロックオンを指し示した。双子なので、同じ日にイベントが発生する。同時に一緒に、と、考えているのだが、まだ、それほどの暇はない。マイスターが四人同時に地上に降下するのは、体制的に無理があるからだ。もちろん、そのロックオンも照れているのか、顔を赤らめていたりする。このバカは、双子の片割れと違って、その日を、ちゃんと理解しているらしい。
「しかし、アレとはな。」
「俺も驚いた。アレは、それほどのものか? 」
「女性陣には受けがよかったから、そういうものなんだろう。ニールも、アレで来い、と、言っていただろ? 」
「そういえば、そうだったな。」
「せいぜい、俺のおかんを楽しませてくれ。」
「おまえのじゃない、俺たちの、だ。」
 刹那にしてみたら、あんなののどこがいいんだ? と思うのだが、女性陣に引っ張りだこになっていたから、そういうもんなんだろうと納得はする。
 この時期の地上特別ミッションについては、組織の戦術予報士以下実働部隊も、よおく理解しているので反対はない。とりあえず、ご苦労様と同情だけはしてくれる。

 この時期の、その日に関しての依頼は、もちろん、『吉祥富貴』にも連絡されている。今回は、なぜか、舞台装置にも凝りたいらしく衣装の指定までついている念の入れようだ。しげしげと、それを確認して、フロアマネージャーのアスランが必要な衣装をリストアップしていく。それを眺めて、悟浄は、タバコの煙を吐き出した。
「なあ、アスラン。これって、コスプレ喫茶に行けって話じゃねぇーのか? うち、ホストクラブだぞ? 」
「うちのメンバーで、この衣装っていう指定なんですよ、悟浄さん。」
「俺は堅苦しいのは苦手なんだよ。」
「だから、そういう人が、ぴっちり極めてるとギャップで惚れるんじゃないんですか?」
 アスランは、お客様のギャップ萌えについて説明したのだが、当人は、くるッと横を向いて、てめぇーの女房に、「俺のモーニング姿に惚れ直してくれるか? 」 なんて、おっしゃっているわけで、年中いちゃこら夫夫の面目躍如というところだろう。
「確かに、悟浄が、ネクタイをぴしっと絞めてるなんていうのは、見直すかもしれませんね。」
 そして、その女房は、アスランの説明の意味を理解しつつ、そう返す。ここで気持ちよくコスプレちっくなことをさせるには、おだてて褒めるのが一番だし、何より八戒も、その姿を想像して、普段のワイルドさではなく、上品仕様の亭主というのに、心ときめかしてたりする。
「他は、どうしましょうか? 全員モーニングっていうのも芸がない。」
「シンたちは、メイドでしょうね。後は・・・・・えーっと、こういう設定で他には何が必要なんでしょう? 」
 お貴族様なんてものと縁がない面々には、どんな格好の人間がいるのか、ちっともわからない。そこで、おおっと、悟浄が手をポンと叩く。
「三匹該当者アリだ、アスラン。てか、おまえも該当してねぇーか? 」
「うちは、そういうのはいませんでした。その該当者というのはカガリとラクスと、あと誰ですか?」
「紅んち。あそこ、王国だから、いると思うぜ。」
「ああ、現役王子でしたね。じゃあ、そこいらから情報収集して衣装は揃えておきます。料理のほうは、爾燕さんにお任せでいいですね。」
「そうですね。お酒は嗜まれない方ですから、色彩豊かなものにしてもらいましょう。ケーキは、イザークに依頼しておきます。他には・・・」
 経理部長とフロアマネージャーの打ち合わせは、こうして進んで行く。その日だけ、『吉祥富貴』は貸し切りになるので、衣装も何もかも統一して用意する。今回は、かなり特殊事例だが、まあ、昨今の流行りといえば、そうとも言える。
「例の日の料理なんだがな。」
作品名:こらぼでほすと 再来1 作家名:篠義