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こらぼでほすと 再来1

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 そこへ、ちょうど厨房担当の爾燕が、顔を出した。こちらも、それについて考えていたらしい。こういうのは、どうだ? という提案に、アスランと八戒も頷く。
「量も、そこそこだし、こういうもののほうが、女性陣には楽しいと思うぜ。もちろん、味もだが。」
「でも、これって食用花が随分と必要ですね。」
「そこいらは、ツテがあるから大丈夫だ。」
「それなら、これでお願いします、爾燕さん。」
「おう、まかせてくれ。」
 予定日の準備は、滞りなく進んでいる。衣装のほうは、サイズ合わせもあるから、事前に試着することで、片が付いた。八戒も、ほとんど着ることのない衣装だったが、亭主がメロメロになってくれたので似合っているということは理解した。



 寺のほうでは、唐突に、またまた紫猫もどきが、ヴェーダに帰ると、出かけてしまった。今回は、何事だ? と、ニールは尋ねて仔細は教えて貰った。まあ、そういうのもあるんだろう、と、ニールも納得したものの、はた、と、それについての準備が必要なことに気付いて、納戸で、ごそごそと動き出している。とはいうものの、まだ寒い季節だし、周囲が五月蝿いので、ちまちまと準備するしかない。その準備が終われば、ティエリアたちに会えると思うと、おかんとしては楽しいらしい。納戸からは、調子の外れた鼻歌が聞こえてくる。
「・・・へたくそだな。」
 あんまりなんで、亭主が納戸まで遠征して、ツッコミはする。へ? と、行李を掘り出していた女房が振り向いた。
「なんか言いました? 」
「俺が知らない歌にしろ。それなら、わからねぇ。」
「え? ・・・あー歌ってました? 俺。」
 当人も、自覚はあるらしく、えへへへへと誤魔化し笑いをしている。テレビで流れているCM曲を口ずさんでいたらしい。
「それも芸にはなるだろうから、店で披露すれば、どうだ? 」
「イヤですよ。俺だって自覚はあるんだ。そういや、あんたは歌えるんですか? 」
「普通になら歌えるぞ。」
「はいはい、どうせ、俺は普通じゃないです。」
「大丈夫だ。アスランもひどい。」
「それは慰めじゃないけどなあ。」
「そろそろ、やめろ。」
 二時間も、ごそごそと動いているので、亭主が呼び戻す。女房のほうも、はいはい、と、行李をひとつ、担いで納戸は出た。



 さて、出発の準備をしてヴェーダに出向いたティエリアは、そちらでアレルヤたちとリジェネの出迎えを受けていた。リジェネは、先に歌姫様から準備の依頼を受けて、ヴェーダに戻って来ていた。なんで、あんなものを? とは、思ったのだが、そういうリクエストなので、と、歌姫様に頼まれると、しょうがない、と、素体の準備はする。まあ、別段、緊急でもないし、すでに素体もあるから、損傷やらがないかの確認をしたぐらいのことだ。
「僕も一緒に降りていい? ティエリア。」
「おまえは来るな。さんざんに、ニールに構ってもらっただろ。今度は、僕が堪能する番だ。」
「いや、そこじゃねぇーだろ、ティエリア。リジェネ、今回はミッションだから、降りてくるなら、おまえも参加になるけど、それでいいのか? 」
「ミッション? そんなの僕は関係ないね。」
「じゃあ、降りるな。ニールも参加するミッションだから、おまえは邪魔なだけだ。」
「えーママが? ちょっと、ハレルヤ、それ、聞き捨てならないんだけど? ママにミッションはダメだよ。」
 ちょいと前から、リジェネも単独で降りて、ニールと暮らしていた。もう今更、一人や二人増えたところで、誰も驚かないので、リジェネが居候していても、ニールは気にせず世話してくれた。だから、リジェネにとっても、ニールはおかんのスタンスだ。人類は家畜なんて考え方のイノベイド様でも、おかんニールは危ないことはやっちゃダメになるらしい。それに、まだ体調が不安定で、ミッションなんぞやらせるわけにはいかない、と、怒鳴っていたりする。
「バカッッ、おまえが考えているようなミッションじゃねぇーよ。俺らが全員で、ホストで接待ってだけだ。」
 組織で行なうようなミッションじゃない、と、ハレルヤが反論する。もちろん、ハレルヤだって、そういうものなら全力で阻止する。
「え? それで、アレになるの? 」
「しょうがないだろう。オーダーが、それなんだ。おまえが来るなら、女装してもらうぞ?」
「女装? 」
「そうだ。俺が、アレなんだから、おまえは女装だ。それでよければ、降りて来い。」
「やだよ。」
 さすがに、何もないのに女装なんてリジェネはやりたくない。いや、正月の初詣では、特区の女性の最礼装である振袖は着たが、女装という感覚ではなかったし、ママが、「可愛い、可愛い。」 と、甚く誉めてくれたのでイヤではないが、標準的な服装で女装となると、ちょっと抵抗がある。ティエリアは、ミッションだと割り切れば、女装でもアレでも、なんでもござれだ。これも、『吉祥富貴』で鍛えられたものといえるかもしれない。お陰で再始動の時も、潜入ミッションを難なくこなせた。
「リジェネ、今回はやめとけ。また、俺らの合間に降りて、うちのおかんに甘えてろ。」
 今回は、邪魔者は降りて欲しくないので、ハレルヤが、そう決定する。ミッションはいいのだが、その後で問題になるからだ。
「わかったよ。ティエリア、用意してあるから行っておいで。アレルヤ、カフェショコラ飲ませて。」
「うん、ちょっと待っててね。とりあえず、ティエリアのほうを手伝ったら準備するから。」
 アレルヤに変わって、はいはいと了承して、アレルヤはティエリアの後を追う。やでやで、と、リジェネは、それを微笑ましく見送っている。自分の片割れは、とても人間的なのだ。

 ティエリアとアレルヤが拒否する根本の原因なんて、リジェネも分かっている。ふたりっきりで、お祝いすればいいだろうから、そういう意味での参加だったのだ。

・・・・だから、その間、僕がママのお相手をしてあげるって言ったんだよ。まあ、いいよ。きみらが帰ってから慰めに行くからさ。・・・・・・

 リジェネは、基本、ヴェーダでニートのイノベイド様なので、暇だけはたくさんある。騒いで帰ったティエリアとアレルヤたちの後で降りて、ニールと過ごすことに予定は変更した。そのほうが、愛情をリジェネだけに向けてくれるので、それはそれで嬉しいし、寺でニールと暮らすのは、リジェネにとっても人間と接する良い経験になるからだ。


 地上の某寺の居間には、行李から取り出されたたくさんの衣装が並んでいた。これが入用な用件が入ったので、寺の女房が虫干ししようとしている。しかし、それらを取り出して、うーんと寺の女房は唸っている。それを見て、卓袱台で書類を読んでいた寺の亭主が声をかける。
「穴でも開いてたか? 」
「いや、そうじゃなくて、これじゃあ寒すぎるなあと思って。」
 ほら、と、夏物の半そでのシャツや半ズボンなんてものを見せられて、ああ、と、亭主も頷く。前回、それを使っていたのは夏のことで、その時に、女性陣が大量に用意してくれたのだが、全部、夏物だったのだ。まだ、梅が咲こうかという時期に、これでは寒すぎて、いくらティエリアでも風邪を引くだろうと心配したらしい。
作品名:こらぼでほすと 再来1 作家名:篠義