幼馴染の騎士
「烙斗、もういいんだ」
「…何が?」
「もう一人で泣かなくてもいいんだよ」
「……」
二人の言葉に烙斗は無表情となる。
何も感じないように
誰にも自分の心を見られないように
「…何をいってるんた? オレは泣いてないよ。一人でもない。それに、二人が今側にいるじゃないか」
「…烙斗」
頑なになる烙斗を見て、ルルーシュは柔らかい髪を撫でる。
「ルル…?」
「なあ、烙斗。オレはオレたちは…そんなに頼りないのか?」
「……」
「お前がオレたちと離れたとき…何があったんだ? お前の心に何があったんだ?」
「キミは今泣いているじゃないか。心で。僕たちには話せないの? ボクたちじゃダメなの?」
スザクは烙斗と同じ、目線で語る。
『…気が付いている。でも…これはお前たちには言えないんだ…。ダメなんだ。これはオレだけの傷でいい』
「…何を言ってるか、わからないよ。二人とも」
いつもの笑顔といつもの言葉。
「もう時間も遅いから、帰りましょう。ルルーシュ様」
騎士の烙斗に戻っていた。
「烙斗っ」
「…烙斗」
「スザクも今日は仕事だろ? 行かないとロイドさんにどやされるよ」
誰も知らなくいい
知るはずはない
言うことはない
キミたちがどれだけ哀しくて怖くて寂しい思いをしていたのを知っているから。
自分の負の事までこの二人に背負わせるつもりはない。
「さあ、いきますよ?」
二人の顔は苦渋していた。
けれど、烙斗は笑う。
誰も入ることの出来ない心の檻
それは…この二人にも入ることは出来ない
そう…誰にも