機動戦士ガンダムRS 第10話 分かれた道
サオトメは、そういうとユーピテルツヴァイの右腕をつかんでアル・ギザに帰艦した。
※
ユーピテルツヴァイは、損傷が激しいためワイヤーで艦体に固定する方法がとられた。
着艦したガンダムサイガーからサオトメとラクスが出てきた。
マン・マシーンデッキは、怒号が飛び交うパニック状態だった。
2人は、それをよそ目にパイロット待機室に入った。
ここには、ノーマルスーツが多数収納されていた。
サオトメは、そこからノーマルスーツを取り出すとラクスに渡した。
「これを着て」
サオトメは、後ろを向き自分もノーマルスーツを着替えた。
※
一方アークエンジェルでもラクスの受け入れ態勢の準備が行われていた。
「イージスのバッテリーの交換と推進剤の補給が先だ。
それ以外は、後でかまわない」
マードック軍曹が部下たちに命令した。
キラは、帰艦したストライクガンダムから出た。
ニコル中尉は、先の戦闘の話を聞こうとキラに近づいたがフラガ大尉に止められた。
「大尉」
「大任を果たしたんだ。
今は、休ませておけ」
ニコル中尉は、そういわれるとキラを追うのをやめた。
アーガイル事務次官は、別れの前にサイに再会した。
「よく生きていた。
ヘリオポリスのことを聞いたときは、もうだめかと思った」
アーガイル事務次官は、サイを抱きしめ生きていることを確かめた。
「親父こそ。
ストライクが活躍しなかったら今頃」
サイは、そこまで言って不謹慎と思ってやめた。
「そうだ。
パイロットは、どこかね?
その人に感謝の言葉を述べたんだが」
アーガイル事務次官は、それに気づいたのか話題を変えた。
「キラは、今休んでる」
「知り合いかね?」
「キラは、僕らと同じ一般学生だったんだ。
でもストライクの正規のパイロットがコロニー軍の襲撃で殉職してその穴埋めのため臨時パイロットを務めているんだ。
キラは、スーパーコーディネーターだから」
サイは、アーガイル事務次官の質問に事の経緯を話した。
「そうか。
彼には、お前から感謝の言葉を言ってくれないか?」
「もちろん」
サイは、アーガイル事務次官のお願いを快く引き受けた。
※
着替え終えたサオトメとラクスは、再びマン・マシーンデッキに到着した。
すると数人の整備員がガンダムサイガーの周りにいた。
「お前ら何してる?」
サオトメが整備員に質問した。
「この機体も整備するんです」
「ガンダムサイガーは、これから出る。
整備は、船外にワイヤーで固定してあるユーピテルツヴァイの整備をしろ」
「了解」
整備員は、サオトメの命令で機体から離れた。
そしてコックピットに座った。
「シートの後ろに」
ラクスは、サオトメの言うとおりシートの後ろに座った。
「アツシ・サオトメ、ガンダムサイガー出る」
サオトメは、ラクスを乗せて出撃した。
※
それは、アークエンジェルでも確認した。
「アレキサンドリア級からガンダムサイガーが発進しました」
ジャッキー伍長が報告した。
「イージスを発進させて」
その報告にラミアス艦長が命令した。
イージスガンダムは、ラクスを受け取るため出撃した。
※
しばらくするとお互いを認め合うほど近づいた。
サオトメは、2機が十分近づくとG-B.R.Dを赤いガンダムに向けた。
そして赤いガンダムに通信ケーブルを付けた。
こうすることで接触回線と同じことができるようになる。
「さあ、婚約者か確認してください」
「アスランですの?」
サオトメのお願いにラクスが指定したパイロットか確認した。
「そうだ」
通信からあの声が返ってきた。
「アスランですわ」
「コックピットを開け」
それを聞くとサオトメは、赤いガンダムに命令した。
赤いガンダムは、コックピットを開いた。
「顔を出して。
あなただとわからせるんです」
サオトメの言うことがわかったのかラクスは、身を乗り出し赤いガンダムのコックピットに向かって手を振った。
「確認した」
「なら彼女を連れて行け」
サオトメは、そういうとラクスを赤いガンダムのコックピットのほうへ押した。
ラクスは、無事赤いガンダムのパイロットに保護された。
サオトメは、それを見送るとモビルアーマー形態で帰艦した。
作品名:機動戦士ガンダムRS 第10話 分かれた道 作家名:久世秀一