この手が
雪男は秋の夜の中を歩いていた。
空気は冷えきっている。
だが、寒さは感じない。
恥ずかしさで身体が燃えあがっているような気がする。
告白までするつもりはなかったのだが、してしまった。
本人が気づいていたかどうかは知らないが、雪男が部屋を訪ねてシュラがあわわれたとき、その眼は少し赤かった。
泣いたんだろうなと、わかった。
いつも自分は護られる側だった。それがあたりまえだった。心配されて、助けられて、いろんなことを受け止めてもらってきた。
今は、自分が受け止められるようになりたいと強く思う。
護りたい。
今の自分では力不足かもしれないけれど。
雪男は夜空に向かって右手を伸ばした。
いつか、この手が、あなたに届けばいい。