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こらぼでほすと 再来2

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片付けが終わっても、アッシーは現れない。予定では、明日には到着するというので、とりあえず出かけようかな、と、用意した。
「しょうがねぇーな。タバコの買出しがてら付き合うか。」
 と、適当な用事を理由にして坊主も立ち上がる。さすがに、一人で外出させるのは、坊主でも気になる。どっかで勝手にダウンなんかされたら、大変危険だ。一度、経験している三蔵としては、それだけは二度もやられたくないらしい。
「デートしますか?」
「はんっっ、女房と出かけるのはデートとは呼ばん。もうちょっと着膨れろ。」
「あんたこそ、コートぐらいは着てくださいよ。羽織だけじゃ寒そうです。」
「じゃあ、着せろ。」
 これを、と、奥からコートを用意してきて、女房のほうが背中から羽織らせる。そして、女房のほうもマフラーと手袋を装備して、さあ、出かけるか、と、居間から二人して出たら、そこには、歌姫様と護衛陣が立っていた。
「終わったか? 」
 やれやれ、と、マーズが居間に入ってくる。続いて、ヘルベルトとヒルダだ。そして、最後に歌姫様だ。
「いつ来たんだ? ラクス」
「ママが、『デートしますか。』と、おっしゃった辺りからです。夫夫の会話に水を差すのはよくないだろうと待っておりました。」
「え? あれ? でも、俺、コートを取りに奥に行ったけど・・・・・」
「ええ、それも見ておりました。相変わらず、ナチュラルに夫夫なので、会話が心地良くて。ほほほほほ。」
 ニールは右側の視界が少し怪しいので、死角に入っていると見えない。付き合いも長くなっている歌姫たちには、その死角もわかっているから隠れるのも簡単だ。誰もいないと、ここの寺の夫夫は、ほんと、夫夫らしい会話をしている。誰かが居ると、あまり亭主は口を開かなくなるので、観察したければ、そっと入ってくるのが通常なのだ。
「そういうことはマナー違反だぞ、ラクス。」
 こらっっ、と、叱りつつ、ニールと歌姫も居間に戻る。亭主のほうは、外出する気が失せたらしく、ぽいっとコートを放り出して、卓袱台で新聞を広げている。アッシーが来たなら、自分が動くことはなかろうという態度だ。とりあえず、お茶を淹れようと、台所へ歌姫と移動する。
「ちょうどよかった。ヘルベルトさんかマーズさんを貸してくれ。」
「いえ、許可できません。」
「なんだよ。」
「『吉祥富貴』のオーナーとして、貸切日のママの仕事を依頼に来ました。ですから、これから二日ほどは、少し大人しくしていただきませんと。用事でしたら、私が代わりにさせていただきますから、寺から出ないでくださいませ。」
「俺? 今回は、ティエリアとアレルヤだろ? なんで、俺だよ。」
 毎回、春と秋に、マイスター組の地上特別ミッションは行われる。そして、この二回のミッションは毎回、メンバーも固定している。春は、アレハレルヤとティエリアの番だ。
「それが、あちらからの依頼です。ママのプリンを食べたいとのことでして・・・・それから、あなたにもホストとして参加の要請がございました。」
「はい? プリン? 俺のは簡単なやつだけど、それを食いたいって? 」
「でも、おいしいですもの。ケーキはイザークが準備しますが、それ以外にも、いくつかスウィーツを準備してください。」
 ニールが作るおやつは、家庭料理のもので、凝ったものではない。子供に食べさせるための簡単なものだ。それを食べたいとは、物好きな、と、ニールも苦笑するしかない。
「まあいいけどよ。」
 そんな用事ならお安いご用だ。毎日、何かしら作っているから、苦ではない。それに、どちらにせよ、貸切日はバックヤードの手伝いには出るつもりだったから、そちらも予定内のことだ。
「どこへお出かけになるつもりでしたの? 」
「ああ、ティエリアの服な。冬物がないから用意しておこうと思ってさ。」
「それなら、私くしが用意させております。」
「男の子のも半分くらい入れてくれたか? 」
「いいえ。」
「あんまり苛めないでやってくれよ、ラクス。半分は、男の子のヤツ頼む。」
「わかりました。・・・・その代わり、ここ二日はゆっくりしていてください。」
 連日、ドタバタと動かれたら、そちらのほうが歌姫様も不安だ。本当に無理が利かないのだ。心配そうに見上げたら、ママも苦笑している。
「心配かけてすまないな。」
「いいえ。これは娘としての義務というか権利というものですから。心配するのは、私たちの権利です。心配されていてください、ママ。」
「はいはい。」
「ティエリアたちの世話も、ほどほどにしてくださいね。」
「はいはい。・・・・・おまえさんはお茶でいいのか? 甘いのがよかったら、ココアかカフェオレでもするぞ。」
「お茶で結構です。」
 はい、じゃあ運んでくれ、と、用意したものを渡して、ニールのほうは茶菓子を運ぶ。
「ちゃんと自分でも気はつけてるよ。ありがとな、ラクス。」
「わかってくださればよろしいです。今夜は、私が食事の用意をしますから、ママは監督してくださいな。」
「カレーでもするのか? 」
「新メニューです。すいとんをご披露いたします。」
「スイトン? 」
「まあ、ご覧にいれますから楽しみにしてください。」
 歌姫様も、ママのことは気になっていて、この時期のスケジュールは空けさせた。ここから、十日もすると、ママのイベントだから、それまではゆっくりとするつもりだ。ティエリアたちと打ち合わせして、それなりに心に残るものにしたいと思っている。




 ヴェーダから軌道ステーション経由で、特区のエアポートに降りたら、とても寒かった。うっかり、アレルヤは季節を忘れていた。屋内で、まだ暖房がある状態でも、ティエリアは、「しゃむい、しゃむい。」 と、ぶるぶる震えている。そりゃそうなのだ。アレルヤは、まだTシャツとはいえ長袖だし、あまり寒暖差の堪えない超兵だが、ティエリアは前回の服だから夏仕様の半袖シャツに半ズボンなんて格好だ。膝頭がぷるぷると震えてしがみついている。
「ゲートを抜ければ、ショッピングモールがあるはずだから、そこまで我慢して。」
「はっはやくしぃりょー。」
 アライバルゲートを抜けて、外へ出ると、そこには、ハイネが待っていた。ふたりの様子を見て、やれやれと肩を竦める。寺の女房が予想していた通りの状態だったからだ。もちろん、預ったものを持参している。朝から、寺へ大量に配達されたものの一部だ。
「よお、アレルヤ。こっちだ。」
 声をかけて近くのベンチに誘導する。迎えにクルマで来たから、それほど屋外を歩くことはないのだが、それでも、最低限は着せておくべきだろう、と、紙袋をアレルヤに手渡す。
「ママニャンからの預りもの。ミニの冬服一式が入ってるから、上から着せちまえ。」
「うわあーん、助かった。ティエリアが寒そうで困ってたんです。」
 中身を確認して、膝に座らせていたティエリアに、まず白いセーターを被せる。それから、足元には、白いハイソックス、半ズボンは、さすがに脱がせられないから、そのままにして、さらに白いコートも被せて、頭には、キャットキャップ。こちらも、もちろん白だ。可愛い白子猫のできあがりだ。
「しゃしゅが、にーりゅにゃ。あたたかいじょ。」
作品名:こらぼでほすと 再来2 作家名:篠義