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黄金の太陽THE LEGEND OF SOL 4

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「アルタミラ洞窟はさっきも言ったが魔物の巣窟だ。行くのならば心して行ってくれ」
 ロビン達は力強く頷いた。
    ※※※
 巨大な円形の闘技場、コロッセオが目の前に広がる。もう間もなくでコロッセオトライアルが始まろうとしている。それを見ようという観客は入りきらず、門前に行列をなしていた。
 参加受付は終了間近であった。
「ああ?参加するだあ?」
 コロッセオ前の受付係の男は言った。
 この男もまたトレビの戦士らしく、装いは立派であるが、若さ故か、未熟な所が目立っていた。
「どうした、まだ受付はできるだろ?」
 シオンは言った。
「いや、あんたらはいいけどそちらさんはねぇ…」
 受付係はシオンとウラヌスの間にいる、幼げで小柄な少女を見た。
「お前見くびっているな、このリョウカは強い、私はそう断言する」
「いや、そうは言ってもね」
「コロッセオの参加資格は特に設けられてないはずだ。だったらリョウカも参加できるのだろう」
 受付係の戦士はなかなか参加を許可しようとしない。
「じゃあとりあえず聞くが、お嬢ちゃん歳はいくつだい?」
「十六になる」
 戦士は笑った。
「十六だって!?アハハハ、お嬢ちゃん嘘ついちゃいけないよ!いってても十四だろ、まあ、いずれにしてもあんたみたいなお子ちゃまはコロッセオには出られないの、分かる?」
 戦士は完全に舐めきっていた。
 シオンがその戦士に憤った。
「貴様…!」
「待て、シオン」
 リョウカは止めた。
「リョウカ」
「私の強さを示せばいいだけだ」
 言うと、リョウカはゆっくりと受付係の戦士の前に歩み寄った。
「なんだいお嬢ちゃん、まだ文句あんの?無駄無駄、俺は参加させる気はないよ」
 リョウカは普段は考えられないような口調で話しだした。
「おじさん、あたしが強いってのを見せればいいんでしょ?」
「ああ、誰がおじ…!」
 戦士の言葉はリョウカの刀に遮られた。
 リョウカは一瞬のうちに戦士の側にある槍と、受付と書かれた立て札と戦士の兜の尖った装飾の先端を両断し、その刃を戦士の口元に突きつけていた。
 斬られた兜の装飾が回転しつつリョウカの後ろの地面に突き刺さった。
 戦士は口を開けたまま涎、鼻水を垂れ流した滑稽な顔であがあが…と言っていた。
「ね、結構強いでしょ?」
 リョウカは刀を納めた。そしてニッコリと笑った。
「分かった、おじさん?」
「さ、参加を受け付けます…どうぞこちらへ…」
「うむ、やはり見事な剣技だ」
 ウラヌスは呟いた。
「しかし、さっきのお前まるで別人だったぞ」
 コロッセオ競技場までの道でシオンが言った。
 リョウカはそれに不敵な笑みを浮かべて答えた。
「ああいう女子供は弱くて当然だと思っている奴は大嫌いでな、ついついああやってからかいたくなるんだ」
「しかし、コロッセオトライアルか、一体どんな試練が待ち受けているのか」
 ウラヌスが言う。
 その表情には緊張はなく、むしろ楽しみだ、といった気持ちに包まれていた。
「ふ、どんな試練でも、やるからには必ず勝つ、それが私のポリシーだ」
 リョウカにも緊張はなかった。
 三人は競技場にたどり着いた。
 そこにもまた立派な装いの戦士が案内役をしていた。
「ようこそコロッセオへ、まずはこの札を受け取りください」
 戦士はリョウカ達に円形の札を差し出してきた。
 札には数字が書かれていた。リョウカのものは262である。
「これは何だね?」「その札はあなた方の受付番号になります。無くされないように、見えるところに着けておいてください。あなた方はそれぞれ261、262、263なのであちらの第五会場へ行ってください。間もなく始まりますのでお急ぎください」
 競技場には五つの大きな石柱が用意されていた。それぞれに第一、第二と番号がふられており、その周りには参加者であろう、戦士達が群がっていた。
 リョウカ達は指示通り向かって左端の第五会場へ行った。
 石柱の周りに群がる戦士達は皆同じように筋肉質であり、力自慢ばかりが集まっている。
 ある者は準備運動を、ある者は、精神統一を、またある者は緊張に包まれていた。
 皆力ばかりで大したことはない、とリョウカは思っていた。
 しかし、その中にも目を引く戦士はいた。
 がやがやとごった返した会場内でも落ち着いた表情をしている。歳は若くない、三十代と言った所か、後ほど名をデッカと聞くことになる。
 この者だけは違う、そんな気がした。
「え?、お集まりの皆さん、お待たせいたしました!これより簡単にですが、トライアル第一試合の説明をいたします!」
 トレビの戦士が大声で説明を始めた。
「トライアル第一試合では皆さんのお力を測ります。これから番号順に何も使わずに手だけでこの石柱を持ち上げてもらいます!」
 石柱を持ち上げよとの指令に戦士達からどよめきが上がった。
 見るからに重そうな石柱である。重さは普通の岩などと大差ないであろう。
 戦士の説明は続く。
「なお、こちらの審判団三人に判定してもらいます。判定基準は持ち上げる事と、持ち上げた後何秒持ちこたえられるかになります。なお、十秒以内に持ち上がらなかった場合はその時点で失格となります」
 失格者はその場で退場だそうである。恐らくこれで参加者をほとんど減らす気なのだろう。
「では間もなく受付番号250番の方から開始します。250番の方は準備してください」
 ついにコロッセオトライアルは始まった。
 250番から始まり、早くも260番までが失格となった。何人か惜しい者もいたが、持ち上げた途端腰を痛めて石柱を落として失格であった。
 順番はあっという間にウラヌスの番となった。
「次、受付番号261番」
「私か」
 ウラヌスは前に出た。
「ウラヌス、しっかりな」
 リョウカは特に心配はしていなかったが、一応付け加えた。
「任せよ!」
 ウラヌス、かなりの大男である。力も十分にある。
 その表情は余裕であった。
「ふん」
 ウラヌスは石柱に手をかけた。
「ふん!」
 力を加えるとあっさりと頭上へと持ち上げた。
 数秒経過し、審判団は白旗を上げた。合格の証である。
「ふう」
 ウラヌスは石柱を静かに地面に置いた。
「お見事、261番合格です」
「では次、262番」
 リョウカは静かに石柱の前に歩み寄った。
 参加者達の間にどよめきが生まれる、皆同様に女子供だと馬鹿にするような視線がリョウカに突き刺さった。
――リョウカ、見くびるわけではないが、あの細身でどうやって石柱を持ち上げるのか――
 内心ウラヌスは心配だった。
――リョウカ、いけるよな?――
 リョウカはそっと片手で石柱に触れた。
「!?」
 そこにいる全ての者が我が目を疑った。
 細身の少女がその細腕で巨大な石柱を片手で持ち上げているのだ。
 リョウカは石柱にエナジーをかけていた。しかし、エナジストではない参加者達にはエナジーなど見えるはずもなく、彼らの目には少女が力で持ち上げているようにしか見えなかった。
「判定はどうした?」
 言うと同時にリョウカはエナジーを止め、石柱を前に投げつけた。
 派手な音を立てて石柱は真っ二つに折れた。