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黄金の太陽THE LEGEND OF SOL 5

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第16章 太古の秘薬


コロッセオのトライアルは続いていた。
 これまでに数々の競技が行われてきた。
 最初に行った力を測る競技に続き、俊敏さを測る競走なども行ってきた。競走と言ってもただの順位を争うものではなく、決められた時間以内に広い競技場を一周するものだった。
 この他にも体の能力を満遍なく見るような競技は続き、総勢300人以上いた戦士が、約30人にまで減っていた。
 ただの力自慢だけではない、それ相応の雰囲気を醸し出していた。
 当然のこと、リョウカ達も勝ち残っていた。
 シオンにウラヌス、共にエナジストではない。リョウカは一度エナジーを使って合格した競技があったが、その後は一切使用する事なく通ってきた。
 シオンもウラヌスエナジストでないにしてもただの戦士であると判断するには難しいほど優れた者達だった。
 比較的小柄なシオンは力不足なように見られたが、それでも最初の石柱持ち上げは無事に合格することができた。
 一方大柄なウラヌスは足が遅いような印象を受けたが、意外にも俊足で、リョウカにも迫る勢いであった。
 存外、いい勝負ができるかもしれない、とリョウカは思うのだった。
「勝ち残った戦士の方々、お待たせいたしました」
 競技委員が現れ、勝ち残った戦士達の視線が彼に注がれる。
「これより最後のトライアル競技を行います」
 最後、という言葉に戦士達の間に活気ができる。
「最後の競技は残った皆さん総当たりの組み手を行っていただきます」
 競技委員からの説明によると、これから行うのは素手による試合である。武器を使用しなければ、突きも蹴りも、投げ技もしくは締め技などなんでも使用してよいそうである。
 勝敗の判定基準は相手が倒れる、降参する、投げ技を三回決められる、試合場から出る、のどれかである。
 この試合の上位七名がコロッセオファイナルの出場権を獲得できるのである。
「七人か、なかなか厳しいな…」
 シオンは言った。
「なお、試合は間もなく開始します。168番、262番の方、準備をお願いします」
 262番はリョウカである。
 リョウカは試合場へと進み始めた。
「頑張るのだぞ」
「ふ、任せろ」
 リョウカはウラヌスの応援に余裕の笑みで答えた。
 試合場の前に立つと、向かい側には相手の戦士が既にいた。
 戦士は明らかにリョウカを見下すような汚い笑いを浮かべていた。
 戦士自体が汚かった。くしゃくしゃの髪に、伸び放題の髭でただ力だけが自慢の弱い戦士であることは容易に判断できた。最初の方にいた未熟な戦士達の中の一人がまぐれで勝ち残っただけである。
「ふふふ…、お嬢ちゃんまぐれで勝ち残ったようだが、残念だったな。俺にあたるが運の尽きだ!」 まぐれはお前の方だろう、とリョウカは思ったが、ばかばかしくて口には出さなかった。
「ふふふ、怖くて声も出ないか」
「うるさい、少し黙っていろ。耳障りなんだよ、お前の声は」
――試合が始まったらすぐに終わらせてやろう――
「両者前へ」
 審判に促され、2人は試合場の真ん中に歩み寄った。
「試合、始め!」
 合図とともに、あの耳障りな声を上げながら、相手の戦士が仕掛けてきた。 リョウカは構えず、腕をだらりとさせているだけである。
 そのうちに相手の力任せの拳がリョウカに降りかかった、かに見えた。
 突然戦士の視界がぶれた、戦士は気がつくと地に背中をつけて倒れていた。
「投げ技一回!」
 審判は告げた。
「どうした、さっさと起きないか」
「こ、このクソガキ!」
 起き上がるとまた力任せの攻撃を仕掛けてきた。
「バカだな」
「うおわ!?」 また投げられた。突き出す腕を引き寄せて相手の手首を捻ると見事な弧を描いて地に倒れた。
「投げ技二回!」
「力に頼りすぎだ。もっと技を使え、自分の力に振り回されているぞ」
「こ、このやろ…」
 リョウカは相手の力のみを利用して投げていた。一瞬で相手の攻撃の力の流れを読み、その方向へ引っ張る事で相手を倒す。合気と呼ばれる技である。
「なめんじゃねぇ!」
 戦士はリョウカに襲いかかった。
「分からん奴だな…」
 リョウカは呆れたように溜め息をついた。
 次の瞬間リョウカは戦士の視界から消えた。
 戦士が驚きの表情を見せたと思ったら、すぐに白目を剥いて地に伏した。
「技というのはこうして使うんだ。よく覚えておけ、いや、その様子じゃ無理か」
 リョウカは相手の側面にいた。相手の攻撃をかわすと同時に鳩尾に一撃を加えていたのである。
「勝負あり!」
 総当たり戦第一試合はリョウカの快勝となった。
「やるな、リョウカ」
「当然だろう」
 シオンはリョウカに笑いかけた。リョウカもそれに笑って返した。
「では続きまして、259番、261番の方々、準備をお願いします」
 お、とシオンは自分の番号を呼ばれ、気合いに満ちた表情を浮かべた。
「次はお前だな」
「ああ、行ってくるぜ」
「シオン、しっかりな」 リョウカとウラヌスに押されてシオンは試合場へと進んだ。
 向かいの対する相手は石柱持ち上げで妙な風格を漂わせていたデッカであった。
「両者前へ」
「私はデッカ、君は261番、シオン君だね。よろしく頼むよ」
 デッカは試合を直前にして名乗った。自身の名を名乗るばかりか、シオンの名も知っていた。
「どうして俺の名前を?」
「対戦相手の名前を覚えるのが戦士の嗜みというものだ」 ただ名を言われただけではあるが、これは侮れない、とシオンは一筋汗を流した。
「試合開始!」
 試合は始まった。真っ先にシオンは持ち前の俊足でデッカの懐へと潜り、襟を掴んで背負い投げをかけた。
 デッカは目を丸くしてシオンに投げられ地に倒れた。
「投げ技一回!」
「ふむ、なかなかいい技だ」
 デッカはゆっくりと立ち上がった。
「今のは完全にやられたよ」
 シオンは構えを崩さずじっとデッカを見据えている。
「では私も本気でいくとしよう」
 デッカは仕掛けてきた。
 デッカの体型はウラヌスと同じくらいがっしりしている、にも関わらずとても俊敏で攻撃一つ一つ受け止めるのがやっとである。
「どうした?受けているばかりでは勝負にならんぞ!」
 そんな事は分かっている。しかし、攻撃の全てが速く、そして重い。
「ふん!」
「!?」
 デッカはシオンの襟首を掴んだ。
――しまった!――
「そおりゃあ!」
 デッカは投げを掛けた。
 シオンは地に背が着く前に猫のように身を捻って腹這いになってどうにか投げをかわした。
「危なかった…」
「見事、素晴らしい身のこなしだ」
 デッカはシオンを賞賛している。余裕である。
「さあ、続きをしようか」
 休む間もなくデッカは攻撃を仕掛けた。
 シオンはそれをまた受け止めるしかできない。 だんだん疲労が出てくるにあたって、シオンは相手の攻撃に当たり始めた。どれも重く、激しい。
 ふと足元に目をやった。気がつくと試合場の端まで押されていた。
「落ちるがいい」
 デッカは思い切り拳を突き出した。
「落ちるかよ!」
 シオンはしゃがんでデッカの拳をかわし、同時に自らの拳を相手の胴体に突き出した。
 力の入った攻撃の後で、デッカの胴体は隙だらけだった。しかし、
「そうくると思っていたよ」