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黄金の太陽THE LEGEND OF SOL 5

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 デッカはすっと右にかわした。
 これにより、隙だらけなのはシオンとなった。
 デッカは膝蹴りをぶつけると、シオンを場外へと突き飛ばした。
「ぐ、は…」
 シオンは体をくの字にして突き飛ばされ、場外に倒れた。
「場外、勝者259番!」
 シオンは敗北を喫した。シオンのもとへデッカが歩み寄ってきた。
「君の動きは見事だった。是非とも本戦でも闘おう」
 告げると試合場を去っていった。
「ち、きしょう…」
「シオン!」
 リョウカとウラヌスは駆け寄った。
「大丈夫か?」
「ああ、ちょっとくらっただけだ…」
 シオンは立ち上がった。
「あいつ…、デッカって言ったな。次は俺が必ず倒す!」
 シオンは固く拳を握った。
    ※※※
 アルタミラの洞窟、それは暗闇に包まれた洞窟である。
 洞窟内は全く舗装されておらず、松明の明かりも無い。闇そのものが強いせいか、手持ちの明かりでも遠くまでは照らせない。
 これほど危険な場所にトレビの支配者、バビが入っていったのかも知れないという。ロビンはここに来てからそれはかなり怪しいのではないかと思った。
「うわ!」
 突然ジェラルドが闇の中へ消えた。
「ジェラルド!うわあ!」
 後を追ったロビンも消えた。
「ロビン、ジェラルド!」
 イワンとメアリィも後を追ったが、途中で足を止めた。
 わずかな段差の下に尻餅をつくロビンの明かりのおかげで上手い具合に足元が照らされていた。
「あ?、びっくりした…」
 ロビン達はただただ目を丸くするだけだった。
「全く、危ない所だぜ。本当にこんな洞窟にバビとかいう奴がいんのか?」
 ジェラルドは立ち上がりながら文句を言った。
「そう言うな。これだけ真っ暗な洞窟だ。バビって人が本当にいたら心細くてしょうがないだろう?それを助けに行かなきゃ」
 ロビンは諭した。
「二人とも足下には気を着けてくださいよ。本当に穴でも空いていたらどうするんですか」
「そうですよ。これで転ぶのも二回目ではないですか」
 メアリィの言うとおりである。前の一回転んだときも同じパターンだった。
 原因は、ジェラルドが自分で火の明かりをつけられるということで、どんどん先に進もうとするからである。明かりを持っているロビンの前を歩く形になり、尚かつ明かりの火が小さいせいで目の前がほぼ真っ暗な状態を歩くことになるからだ。足下もまともに見えないことになり、結果的に躓くことになる。
「ジェラルド、お前が明かりを持つか?」
「いいよ!」
 ジェラルドははねつけた。ここで受け取ったら自分の立つ瀬がなくなる。妙な意地が出した行動だった。
 それからまたしばらく洞窟を進んだ。奥に進むにつれて、闇もさらに深まっていった。 そんな場所ではイワンの『イマジン』が役に立った。
 真実を見る力は暗闇に包まれた所も鮮明に見て取れた。
 ならばずっとエナジーを使って進めば良いのではないかと思ったが、『イマジン』には有効範囲があり、洞窟内全てを見るのは不可能だった。故に本当に必要な場所でなければ使うことは出来ない。
「ロビン、前」
「ああ、分かってる」
 突如ロビン達の目の前に現れたのは地獄の番犬、ケルベロスとゾンビの長、ワイトであった。
 ロビン達はそれぞれ武器を取り出した。武器を構えるやいなやケルベロスが飛びかかってきた。
 狙いはジェラルドであった。
 ケルベロスは二つの頭それぞれの牙をジェラルドに向け、噛みついてきた。
 ジェラルドはそれを大剣で受け止める。
「この犬っころが…」
 ジェラルドは大剣を振り回した。
「邪魔だ!」
 ケルベロスを振り払った。
 ケルベロスは尚もジェラルドに襲いかかる。負けじとジェラルドも攻撃を仕掛けた。
 ケルベロスは素早い動きでジェラルドの攻撃を避けている。とても当たりそうもなかった。
「くそ、ちょこまかと…」
 ジェラルドははっとした。すると、腰にある細剣に目をやった。
「これだ!」
 ジェラルドは大剣をしまうとそれを抜いた。
「これで終わりだ、犬っころ!」
 ケルベロスは素早い動きで翻弄しようとするが、ジェラルドの剣はそれに追いついている。
 前足、胴体と斬りつけられ、ついに片方の頭を潰した。
 ケルベロスは傷だらけになり、動きを止めた。
「これでとどめだ!」
 ジェラルドが剣を構え直すと、剣から鼓動を感じた。と同時に頭の中に何かが浮かんだ。
 ジェラルドは深く考えず、斬りかかると同時に頭に浮かんだものを叫んだ。
「デスクライシス!」
 ジェラルドの振る剣の軌道に大鎌を持った死神の姿が重なった。 剣の刃が当たるとケルベロスは肉片も骨のひとかけらも残すことなく消え去った。
「これは…」
「ジェラルド、こっちの敵も頼む!」
 ロビンの声を聞きつけ振り向くと、全く弱った気配のないワイトがロビン達に襲いかかろうとしていた。
「こいつ、斬ってもこたえないんだ」
『レイストーム!』
 イワンの放つ磁気嵐の中でもワイトは反応を示さない。
「そんな…!」
『アイスホーン!』
 氷柱の弾丸を受けても同じだった。
「どうして…!?」
「よし、オレに任せな!」
 ジェラルドはアサッシンソードの切っ先をワイトに向けた。
 気持ちを剣に込めて剣の脈動に集中する。脈動を感じた、ジェラルドは飛び込んで剣を振るった。
「デスクライシス!」
 死神の姿が剣の軌道に乗って、ワイトを斬りつけた。
 ワイトは煙を上げながら消えていった。 アサッシンソードはどうやら死神が取り付いた剣のようである。それに秘められた力、デスクライシスは敵の体を斬るばかりではなく、魂をも両断する力であった。
 魂を斬られる事によって存在そのものがなくなり、骨も残さず消えてしまうのである。
 魂を斬ることで体に傷を受けても死なない、もともと死んでいるアンデットの類にも有効であった。
「すごいですね、その剣。一体どうしたんですか?」 イワンは訊ねた。
「ロビンがトレビの泉で手に入れたのを貰ったんだ」
「でも不気味な剣ですわ、刃が赤いなんて…」
「オレもそう思ったからあげたんだよ。呪われでもしたら嫌だなと思って」
 ロビンの言葉は聞き捨てならなかった。
「おい、ちょっと待てロビン。まさか不気味だからオレに押し付けたのか?」
「違うよ、そんなつもりじゃなかったさ。ただ嫌な感じがしたからあげただけだよ。いや?、まさか死神が取り付いてたなんて思わなかったなあ」
「ほぼ押し付けじゃねえか!もう返すよ、オレだって不気味だし!」
 ジェラルドは剣を突き返そうとした。
「…そこに、誰かいるのか?」
 突然どこからか声が聞こえた。
「ひ、ひえ?、け、剣の呪いだ!死神が迎えに来たんだ!」
 ジェラルドは大慌てでその場から逃げ出した。
「落ち着け、これは人の声だ」
 ロビンはジェラルドの後ろ襟を掴んだ。
「エナジーの光の中に、誰かいますね」
 メアリィは言った。メアリィの見る先をよく見ると確かに、エナジーを発動した時に発せられる特有な光が人の輪郭を成している。
 その輪郭は倒れているように見えた。
「死神じゃないとしたら…、やい、お前は誰だ、姿を見せろい!」
「姿を見せたいのは山々なんじゃが…」
 影となった人の輪郭が僅かに揺れた。