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黄金の太陽THE LEGEND OF SOL 5

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第17章 交錯


 コロッセオファイナルにバビ推薦の飛び入り戦士が出場する噂は瞬く間にトレビ中に広まった。
 本来はとても異例な事で、誰もが一度は疑ったが、すぐに熱気に変わった。中には伝統を壊すとして、飛び入りの参加を認めようとしない者も現れた。しかし、町の支配者バビの推薦ということでそんな抗議は通るはずもなかった。
 コロッセオファイナルは翌日開催されるとのことなので、ロビン達はバビ宮殿にて約束通り泊めてもらえる事になった。
「一時は宿がとれなくてどうしようかと思ったけど何とか泊めてもらえてよかったな。なあ、ジェラルド?」
 ロビンは隣のベッドにいるジェラルドを見る。
「ああ、そうだな!」
 ジェラルドはふてくされていた。
「何怒ってるんだよジェラルド」
「自分の胸に訊いてみろ」
 ロビンは渋々色々と思い出してみた。しかし、どれもそこまで怒るほどの事をしているようには思えない。
「あ、もしかして剣の事まだ怒ってた?」
「違うよ!」
 ロビンは口元に指を当ててもう一度考えてみた。
「ああ、そうか、そのベッドが気に食わないのか。変わってやろうか?」
「どうでもいいよ、そんなこと!」
 ジェラルドの機嫌は収まる気配がない。
「は、まさか…」
 ロビンは思い出した。これならばこんなに怒るのも仕方ないかもしれない。
「今日の夕食の時、ジェラルドのミートボールとオレのピーマンこっそり交換してたのバレた?」
「やっぱりお前だったのか!いや、でも違う!」
「ジェラルドはきっと自分がファイナルに出られなくて悔しいのですわ」
 ロビンの向かいのベッドに座っているメアリィが指摘した。
 アルタミラ洞窟から帰った後に、ロビン達はバビから呼び出された。その時告げられたのが、出場するのはロビンのみであることだった。 ジェラルドはこの時もバビに食い下がっていた。しかし、バビは去り際にこう告げていった。
「ジェラルドよ、出場するのはロビンじゃが、戦うのは皆一緒じゃ。お主らの力、楽しみにしておるぞ」
 言うとバビは自室に帰っていった。
「そんな事で怒ってたのか」
「そんな事じゃねえだろ!何でいつもロビンばっかりなんだ!」
「ロビンの方がしっかりしているからですわ」
 一番もっともらしい事を言われ、ジェラルドは歯噛みするしかなかった。
 メアリィは意地悪な笑みを浮かべていた。
「でも戦うのはみんな一緒と仰ってましたが、一体どうすればいいのでしょう?」
 イワンは言った。
「バビ様はエナジーを使えと仰っているような気がしましたが」
「離れてちゃエナジーの使いようがねえだろ。何考えてんだあのオッサン」
「そうですね。一体どうしたらいいのでしょう」
 イワンは考え込んだ。
「お前達は一番前の観客席で見ていいそうだ」
 いつの間にか、部屋の入り口にリョウカが立っていた。
 ちょうどここは四人部屋で、トライアル勝ち抜き組の為の個室がトレビから用意されていたので、彼女のみずっと別室にいた。
「リョウカ、そりゃどういうことだ?」
 ジェラルドは訊ねた。
「バビ殿からのお達しだ。さっきそのことを戦士に伝えているのを聞いたから一足先に教えに来たんだ」
「けど観客席にいてもエナジーは使えないぜ」
「これも聞いた話だが、その席は特別で、値段が高いばかりか、チケットがすぐ無くなるほど最高の席らしい。つまり、戦士が間近で見れるということじゃないか?」
 まだジェラルドは理解できていないようだった。
 リョウカはため息をついた。
「分からない奴だな、間近で見れるってことは何かしらの援護ができるだろ?」
 ジェラルドはようやく理解した。「そうか、ロビンが戦っている間にオレ達がエナジーで相手を攻撃したりできるって事だな」
「いや、そんな直接的にやるのはまずいだろう」
「どうして?」
「考えてもみろ、突然あらぬところから火が出たりして、他の観客からジェラルドが火を出しているのを見られでもしたら反則でロビンが失格になるかもしれないだろ」
「う?ん、そうか、バレないようにしなきゃだめなのか」
「相手を攻撃するのではなく、あくまでロビンを手助けする事を考えることだな」
 話し合いをしているところに言付けを頼まれた戦士がやって来た。
「失礼します、ロビン様ご一行はこちらでしょうか?バビ様より言付けが…」
 リョウカはそれには及ばず、自身が伝えておいた旨を伝えた。
「そうでしたか、では失礼いたします」
 戦士は去ろうとした。
「ちょっと待ってください」
 去ろうとした戦士をイワンが引き止めた。「ファイナルについて教えてもらえませんか?」
「いいでしょう、知る限りの事をご説明いたします」
 コロッセオのファイナルはトライアルを勝ち抜いた七人の戦士達をトーナメントで闘わせるルールである。トライアルの最終競技で一位だった者がシード権を得ることができ、初戦を闘わなくても準決勝から闘う事ができる。しかし、今回、バビの推薦ということでロビンが飛び入り参加したので、ちょうど八人となり、全員が初戦から闘うことになった。
 また、試合のルールとしては、まず最初に競走をする事になる。一番にたどり着いた者が良い武器で闘うことができるのである。しかし、その競走は普通のそれとは違って、途中に様々な障害物がある。飛び石を渡ったり、小さな迷路を越えたり、果ては、角材で水路を渡るといったものもある。
 これらの障害物をいち早く越え、試合に勝たなければならない。まさに過酷な闘いが繰り広げられる、それがコロッセオファイナルである。
「…以上がファイナルのだいたいのルールです」
「よく分かりました。ありがとうございます」
「そうですか、では失礼いたします」
 戦士は部屋を去っていった。
「皆さん、分かりましたよ。ボクたちが何をすればいいのか」
 イワンは言った。
「本当か?一体どうするんだ」
 イワンは自信があるようだった。
「さっきの人、ファイナルには競走があると言ってましたね?」
「ああ、言ってたな」
「ロビンが一番にゴールできるようにするんですよ」
 イワンは説明を加えた。
 コロッセオファイナルをおさらいすると、障害物競走がある。その障害物を楽に越えられるようにエナジーで援護するのがイワン達の役割である。
 つまり飛び石の障害物ならばジェラルドの『ムーブ』で石を真っ直ぐに並べれば良い、角材水路渡りでは『フォース』で何かを倒して橋を作ってやればいい。
 障害物に手を加えることなら直接ロビンに手を貸すことにならず、尚且つエナジーならば普通の人なら見つからない。バビの言っていた事は恐らくこのことであろう。
 さらに観客席は歓声に沸いているであろう、妙な動きに見えても、イワン達が観客に怪しがられることはない。
「そいつはいい考えだ、さすがだなイワン!」
 ジェラルドが絶賛すると、イワンは照れ笑いをした。
「それなら問題はないな」 リョウカも異論はなかった。
「よぉし、明日試合が始まる前に観客席あちこちまわるぞ!」
 お?、というかけ声がジェラルド、イワン、メアリィの間で起こった。
「ロビン、ボク達がついています。精一杯闘ってください!」
 イワンの目は輝きに満ちていた。
「あ、ああ頑張るよ…」