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こらぼでほすと 再来4

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昨晩のミッションは、無事に成功した。沙・猪家夫夫は、お客様に執事姿のままお持ち帰りされてしまったのだが、その後、どうなったかは不明だ。今夜も、店はあるので、それまでには返却されていることを祈るのみだ。

 経理部長が、お持ち帰りされてしまったので、経理関係は、ニールのほうで片付けて、戸締りはアスランが担当した。
 いつもなら、売上を夜間金庫に放り込む仕事もあるのだが、本日は、貸し切りだったから、その仕事もない。小さくなっているティエリアは、さすがに体力が続かないから、アレルヤの腕の中で熟睡体勢だ。
「お疲れさん、今年も終わったな。」
 さあ、帰ろうと、ニールがアレルヤの肩を軽く叩く。寺へご一行で帰るのだが、人数が多くて一台には乗り切れない。すると、悟空がニールの腕を掴まえて、トダカの元へ引っ張った。
「ママ、明日はナマケモノだろ? お里でゆっくりしてなよ。」
 ニールが出勤した翌日は、基本、ナマケモノモードということになっている。だから、お里でゆっくりしていれば? と、悟空は言ったわけだが、いやいやとニールが苦笑する。
「おまえさん、明日もバイトだろ? 弁当しないといけないから、今日は、寺へ帰るよ。」
 短期バイトは、所謂ところのガテン系なので、がっつりと昼も食べないと、悟空はもたない。で、それだけのものをコンビニで買ったら、せっかくのバイト代が三分の一は食費に消えてしまうので、家からニールのお弁当を持って出ているのだ。
「あ、うん。でもな、別に一日くらいコンビニでもさ。」
「よくない。・・・・・・トダカさん、27日の土曜日の夜は、うちに来てくださいね。アレルヤとハレルヤのお祝いをしますから。」
「悟空くん、ママが作ってくれるっていうんだから甘えときなさい。」
 トダカは、ちょっと残念そうに微笑む。肉体労働には栄養のバランスが、とか、言いながら本屋で、お弁当の本を立ち読みしていたニールを知っているから断らないでやってくれ、と、悟空に視線で頼む。そして、ようやく、本当にようやく当人のためにケーキを焼けるんだな、と、アレルヤを見て、また微笑む。毎年、その日にケーキを焼いて、悟空たちに振舞っていたからだ。
「土曜日はお伺いするよ、娘さん。」
「はい、お待ちしてます。シンとレイにも声はかけてますから。」
 年少組にも声はかけた。これまでは、主役のいないお祝いの日だったから、年少組が、ちゃんと集合していたのだ。


 翌朝、アレルヤたちが起きたら、すでに寺は生活音に溢れていた。ドタバタと走り回る音や、食器の並べられる音がする。寝坊したと、慌ててティエリアも起こして、居間に顔を出したら、すでに悟空が食事している。
「おはよう、もっとゆっくりしてていいぞ。」
 台所から声がして、綿入れ半纏にエプロンなんて格好のニールが挨拶してくれる。どうやら、おにぎり製作中らしい。にぎにぎと白い米が、その手の中で握られている。悟空の横を通り過ぎて近寄ると、とんでもない大きさのおにぎりが皿に鎮座していた。
「ニール? それ、大きすぎない? 」
「これは、悟空のだ。小さいのをほおばるのは面倒なんだってさ。おまえさんたちのは、普通サイズだよ。」
 ミニティエの顔ぐらいのおにぎりは、すでに冷やし終わったのか、ラップに包まれていく。他におかず用のタッパーも準備されて、風呂敷に包まれた。それから、アレルヤたちの食事の準備がされる頃に、坊主も朝のお勤めを果たして現れる。
「俺、そろそろ行く。」
「おう。」
「いってらっしゃい。」
 入れ替わるように、悟空が風呂敷包みを掴んで外へ飛び出した。アレルヤとティエリアも見送って食卓につくと、ティエリア用の子供椅子が置かれている。夏に使っていたのを残してくれてあったらしい。
「ティエリア、たまごごはんにするか? 」
「しゅりゅっっ。」
 ほら、ニールがやっちゃうんだから、と、アレルヤは微笑みつつ、自分の食事に手をつける。たまごかけごはんを、ミニティエにもっちゃらもっちゃらと食べさせている横で、坊主が目玉焼きに、マヨネーズを大量投入していようと、誰も気にしない。味覚宇宙人と呼ばれる坊主は、適宜、どんなものにもマヨネーズを投入する。
「お昼は、おにぎりとおかずをしてありますから、適当にしてください。」
「おう。」
「アレルヤ、昼は、それで頼むな。それから、午後近くにハイネが起きて来るだろうけど、そっちにも言っておいてくれ。」
「どこか出かけるのかい? ニール。」
 それなら、一緒に行きたいと、アレルヤが言おうとしたら、ちあうちあうとティエリアが首を横に振った。そして、当人も苦笑している。
「今日は、ナマケモノの日なんだ。だから、脇部屋へ引き込むんだよ。明後日は、おまえさんたちの誕生日祝いをするけど、欲しいものとかリクエストはないか? 」
 今では、ニールは、ほとんど『吉祥富貴』には出勤していない。繁忙期とか、どうしても手が足りない時は、裏方で借り出されるが、昨日のように表でホストするのは、滅多にないことだ。そして、出勤の翌日は、ナマケモノモードで、だらだらとしているのも、いつものことになりつつある。だらだらというよりは、ぐっすりと寝ているが正しい表現で、いつもより長い昼寝をするから、昼は作れない。だから、各人の弁当を用意することになっている。
「欲しいもの? 」
「おまえさんたち、明後日、誕生日だろ? だから、欲しいもの。まあ、俺が腕によりかけてケーキを作るから食べてくれよな。」
 何個も焼いたアレルヤたち用のケーキを、当人たちが食べたことはない。だが、今度は、ちゃんと味見してもらえるので、ニールも気合を入れている。
「それなら、僕、ニールとデートしたい。」
「はあ? 」
「ほら、夏に約束したじゃないか。僕らだけ、してもらってないから、デートして。」
「近場しかダメだけど? 」
「どこでもいいんだ。僕の服を見立ててくれて、一緒に甘いモノでも食べるぐらいで。」
「じじい、俺のほうも服を見立ててくれ。」
 ハレルヤが、のそっと顔を出して、そう言う。本当は、長距離ドライヴをしたかったのだが、親猫の体調がよくないから、アレルヤと同じことにしておいた。半年すれば体調も安定するらしいから、デートはそれからということにする。別に慌てることはない。しばらくは、世界を放浪するのだから、半年ぐらい、あっという間のことだ。
「まあ、そんなんでいいのなら、いいけどよ。それ、明後日じゃなくてもいいか? 明日とかでも? 」
「明日でいい。それから、明日の夜は、ティエリアと二人で過ごしたいから、マンションに戻るね。」
「ああ、わかった。」
 明日の夜から日付け変更線を越えてお祝いするのだろう、と、ニールも微笑んで頷いた。せっかく、落ち着いた休みなんだから、そういうことを楽しめばいいと思う。
「明日、ティエリアも連れて買い物ってことでいいな? 」
「おりぃはいかにゃいにょら。にぃーりゅとありぃはりぃでいくにゃ。」
 もっちゃらもっちゃらとたまこごはんを食べているティエリアが反論する。デートの人数は二人が基本だ。だから、ティエリアは留守番するつもりだ。ギザギザスプーンを手にして、大声で主張する。
作品名:こらぼでほすと 再来4 作家名:篠義