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浅蘇芳 藤袴
浅蘇芳 藤袴
novelistID. 44967
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晴れた日は恋人と市場へ

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「どうしたの仁王。何かあった?」不思議そうな顔をした。
「い、いや・・・何でもないなり。プリ。」そう言って手を放す。
「な、何するんですか仁王くん。やめたまえ!」
「だって柳生がそんなこと言おうとするからじゃ。」
「いやでもこれは結構気に入ってますよ。」

「二人も相変わらずだね。仁王のそういうところも変わってないなあ・・・」二人のやり取りを見ていた彼が笑いながら言った。
「はずかしいからやめてくれんかのう・・・」
「まあいいではないですか。」

そんなやり取りしていたら、ブン太がケーキとカップを持ってやってきた。
「はい、お待たせ。いつものキャラメルマキアートとチーズケーキね。」そう言ってテーブルに置いた。

その後は4人で、今までの経歴や最近の事なんかをずっと話していた。ブン太は留学して製菓の腕を磨いたそうだ。帰国してから、ここでカフェをやっているとのことだった。

「そういえば柳くんや真田くんはお元気で?」
「ああ、あのふたりは相変わらずだな。たまに見るけど、年齢間違えられてそうだよね。」
「あやつらは前からそんな感じではなか?」
「・・・おいそれは言っちゃダメだろい」
その発言に、みんな笑った。 こうしてみんなで笑うのはいつ以来だろう。みんなとこうして会い話せて、久々に楽しいなと思った。
「まあ、私は遠くの大学へ通ってますから、こうして皆さんとお会いできてよかったです。」
「あれ、まだ通ってるのか?」ブン太が不思議そうな顔をする。
「はい。医学部は6年ですからね。いまは5年です。」
「そっか、なるほど!」
「これ前にも言いませんでしたっけ?」
「あ、そうだったかも ごめんごめん。」

そうこうしているうちにいつの間にか3時間も経ってしまった。幸村が時計を見て、
「そろそろ予約もあるからもどるね、じゃあ。」と席を立って出て行った。
「また来いよー」とブン太が見送る。
「ちなみに、この帽子は仁王くんが選んでくれたんですよ。」ふと、柳生が言った。
カミングアウトされてしもうた・・・しかも今度は阻止できなかった。恥ずかしい、溶けたい・・・ そう思ってた聞いてると、彼が続けて言った。
「でもこれなかなか気に入ってるんです。」
「そうなんだ。なかなかいいセンスもってるんじゃね?」ブン太がそう言った。
「そう言ってくれて嬉しいぜよ。ありがとうの。」なんかさっきの自分が申し訳なくなってくる。さらに続ける。
「のう、柳生。さっきは、悪かったぜよ・・・」
「いいえ、大丈夫ですよ。」そう答えた。

3人でこんなやり取りをしばらくして、店を後にした。
「ご馳走様です、ありがとうございました。」
「今日もありがとさん。」
「じゃあな。またいつでも来いよ!」ブン太が手を振って見送ってくれた。

すでに夕方になっていたからか、気温も下がり寒くなっていた。そんなわけか、思わず仁王は抱きついた。
「な、何するんですか!」
「いいじゃろー 寒いんじゃ。 こうした方があったかいもん。」
「まったく、あなたって人は・・・」

そうこう言ううちに、雪が降り始めた。
不意に、雪が降った君の髪を美しいと思ってしまったのは秘密にしておこう。