こらぼでほすと 再来6
本当は、地上に降りたらケーキを焼くつもりだったのだが、ティエリアたちは、そのまま旅行に出かけたから、用意できなかったのだ。なかなか、その日に地上に降りるというのは難しいから、できる時にやっておくが、基本だ。
そして、ニールがちゃんとティエリア用にもフルーツたっぷりタルトのケーキも準備していたので、これも同じように祝うことになった。ティエリアが、ふーとロウソクを吹き消す。それは、食後のデザートだから、一端、台所へ下げて、わいわいと賑やかなお誕生日会は始まった。まあ、セレモニーが終わると無礼講だ。全員がご馳走に取り掛かる。
「ちょうど、ニールが来た頃の年齢になったんだねぇーアレルヤくん。」
「そうですね。でも、僕には、あの頃のニールみたいなことはできませんけど。」
「それは人それぞれさ。うちの娘さんはね、外面だけはいいんだ。」
などという話をしながら、トダカとアレルヤがビールを飲んでいるし、悟空は、大量の鳥からにパクついているし、悟浄と三蔵は、刺身で一杯なんてことになっていて、とてもフリーダムだ。ニールには、歌姫様とキラが、両側から、あーん攻撃を仕掛けている。たまに、ふと、視線が合うと、みんなが、「おめでとう。」 と、挨拶してくる。
・・・・・なんかさ、うちに帰って、みんなでお祝いしてくれるのって嬉しいよね・・・・・・
・・・・・ありえねぇーんだけどなあ。俺ら、超兵だから、こういう和やかな空気に触れることもねぇーんだろうと思ってたぜ・・・・・
アレルヤとハレルヤも裡で会話しつつ、ビールを飲んでいる。生きててよかった、あの時、そのまま死ななくてよかった、と、本当に、こういう場面を体験すると思ってしまう。
・・・・来年もお祝いしてもらおうね、ハレルヤ・・・・・
・・・・ああ、そうしよう。・・・・・・
生きていないと、この感動は味わえない。そうなると、俄然やる気もでてくる。初めての盛大なお祝いに、ふたりして裡でにっこりと微笑んでいた。こういうものは、全て、ニールが教えてくれたことだ。
・・・・どうやら、俺ら、這ってでも帰って来なきゃならねぇーぞ? アレルヤ・・・・・
・・・・そうだね。でも、これが何度も楽しめるなら、どうにかなるんじゃないかな・・・・
再々始動は、確実にあるだろう。それまでの穏やかな時間だけでなく、その後も戻らなければならない、と、ふたりして肝に銘じた。
作品名:こらぼでほすと 再来6 作家名:篠義