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こらぼでほすと 再来8

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「好きなモノっていうなら、おまえらマイスター組だろうな。」
 鷹は、そう言って笑い出した。
「特に、って言うなら、せつニャンかな。」
 さらに、ハイネも付け足す。自分のモノなんて、なんでもいいと、思っているニールには、欲しいものなんてないらしいのだ。なんせ、普段着は適当すぎる格好で、ちゃんとオシャレすればイケメンなのに、見事に破壊している。それを、悟空が説明したら、アレルヤとティエリアは困った顔だ。せっかく、渡せる日に、地上に降りているのに、何もないと言われたら困るしかない。ハレルヤとアレルヤは、四年分のプレゼントをしてもらったばかりだ。できたら、それと同じ位返したいと思っている。
「アレハレルヤ、ママに、そんな高額の贈り物をしたら、ものすごい説教を食らうぞ? ラクス嬢ちゃんが以前、小一時間食らったからな。」
 鷹が、そう言って、そういうものは反対する。限定品の時計を用意したら、「無駄遣いするな。」 と、滔々と説教されたのだ。もちろん、それは返品させられた。
「あれは怖かったよねぇー。僕、ママに拳骨は食らってるけど、あんなに叱られたことはないもん。」
「私くしも、久しぶりに泣きました。」
「え? ラクスが泣いたの? 」
「だって、お寺の本堂で正座して説教でしたもの。どうしても受け取ってくださらなくて、一緒に店まで返品に行きました。」
 必要のないものに金を使うのは、いけないことだ、と、庶民派貧乏性のおかんは、ラクスに説教したのだ。セレブな歌姫様に、ではなくて、自分の娘に対して、叱っているから、そういうことになるらしい。実は、返品したことにして、歌姫様が保管しているが、それを贈るのは、まだ先のことだ。
「どうしよう? ティエリア。」
 アレルヤも、時計とかがいいかなあーと漠然と考えていた。それは無理と言われると途方に暮れる。
「でぇみょ、なにかおくりたいにょら。にゃにかにゃいのきゃ? きりぃや。」
「うーん、普段使うものぐらいなら大丈夫なんだけど。・・・・ちなみに、僕は、三蔵さんとママのペアのマグカップにしたんだ。」
 可愛いウサギ柄のマグカップは、ちょうど対になっていたので、キラは、それにした。英国の有名なメーカーのものだから、それなりの値段だが、それぐらいなら、叱られないというところを、アスランとチョイスした。たぶん、ママは値段を知らないはずだ。
「俺とレイは、毎年、本を一冊ずつにしてる。」
 シンとレイは、毎年、本を一冊ずつ渡している。そういうのなら、喜んで受け取ってくれるからだ。
「俺、今回は半纏。」
 悟空も、普段使いのものだ。以前に贈ったものが、そろそろ草臥れてたから、それにした。
「じしいーずからは、お菓子だ。まあ、たいがい、それは、おまえらの口に入ってしまうんだがな。」
 じじいーずというか、鷹と虎の夫婦とダコスタからは、お菓子を贈っている。それなら、寺で消費できるからだ。
「俺は、毎年、バラの花束。で、トダカさんは、こっそりと、いろいろだよな? 」
「ハイネ、ニールが着ていたアラン編みのセーターは、きみの仕業だろ? 一人だけ悪者にしないでくれ。」
 まあ、生活用品だよ、と、トダカは付け足して笑っている。さて、これでは被らない贈り物というものが思い浮かばない。
「明日、探してくればいいだろ? うちは、何もしないぜ? アレハレルヤ。」
「何もっていうのは、語弊がありますよ? うちは、たいがい、お祝いの席の食事を担当してますよ、アレハレルヤくん。」
 沙・猪家夫夫は、イベントの仕切りが担当だから、モノで贈るということはない。逆も然りで、八戒のはぴばの時は、ニールが料理を担当している。
「生活用品って言われても・・・・僕らには、わかりません。」
「しゃーねぇーなあ、じゃあ、教えてやるよ、アレルヤ。ママのエプロンの裾が解れてるから、あれならいいぞ。」
 生活用品と言われても、純粋培養テロリストには、ぴんとこない。困ったなあ、と思っていたら、悟空が提案してくれた。日々、おかんの様子を知っているからの言葉だ。本当は、エプロンは、母の日に贈ろうと思っていたのだが、困っているアレハレたちのために譲ることにした。
「エプロン? 」
「そっ、あれなら問題なく受け取ってくれるぜ。それにしとけ。」
「ちょっと高級そうなのなら、百貨店がいい。」
「俺、明日なら時間あるから案内してやるよ、アレハレルヤ。」
 シンとレイが、売り場まで案内してやる、と、言うので、アレルヤも頷いた。そして、ティエリアだ。
「おりぃは? 」
「バスタオルとかでいいんじゃないか? それなら消耗品だからいいと思う。ママ専用っていうのが、うちにはないんだ。」
「ばしゅたおりゅにゃ。そりぃも、ひゃっかてぇんにありゅのか? 」
「うん、あるある。朝から、それを買いに行こう。ねーさんって、そういうとこ、無頓着だもんな。」
「というか、寺だと人数が多いから、一々、専用がないだけだろう。」
「常時、三人しか暮らしてないんだから、バスタオルぐらい専用があってもいいって。なあ? 悟空。」
「まあ、いいんじゃねぇーか? それなら、俺も自分専用のヤツ、買おうかな。」
「そうしろよ、悟空。それなら、専用があっても問題はないもんな。」
 寺は人の出入りが激しいので、専用のものというのが、あまりない。風呂場に用意しているのを、上から順番に使うのが常だ。とはいうものの、三人の住人だけ専用があっても、それはそれでいいだろう、と、いうのが年少組の結論だ。
「ティエリア、ママのは、ほわほわもふもふのバスタオルにしてあげてね? 」
「大判のほうが使いやすいと思います。ママは大柄な方ですから。」
「わきゃったじょ、きりゃ、りゃくしゅ。ほわほわでもふもふにゃ? 」
「大きいサイズのバスタオルとエプロンだね? 悪いけど、シン、明日、案内してくれる? 」
「おう、まかせとけ。午前中に迎えに行くよ。」
 ようやく贈りものについては、埒が空いた。やれやれ、と、虎は苦笑する。毎年のことながら、年少組も大変だ。だが、あれだけ世話してくれているのに、何もしないなんてのは、いただけないわけだから、こういう苦労はしている。
「では、順番ですわね。キラ、一番ですか? 」
「うん、ラクスは二番? 」
「俺、寺で渡すからパス。」
「じゃあ、俺ら三番四番だな。で、じじいーずが、適当に渡して、ラストに、おまえらな、アレルヤ、ティエリア。」
「わきゃったじょ。」
 こんなことを、店で打ち合わせしているとは、ママニャンは露ぞ思わないんだろうな、と、ハイネは頬を歪めている。毎年こんなことをやっているのも、『吉祥富貴』らしいといえば、らしいことだ。
「服は、どうする? ラクス。」
「イベントデーの衣装で、お迎えしてはいかがでしょう? それから、お迎えにはヒルダさんを。イザークたちに送迎は担当していただきましょうか。」
「そうだね。僕らは、エントランスで全員で出迎えるほうがいいね。・・・えーっと、そういうことなら花でも持つ? 」
「あんま大量とかやめてくれ。うち、花瓶がねぇーから。」
「ということは、一本ずつで春の花ということでいいか? それぐらいなら手配も簡単だ。」
「紅も贈るかな? 」
作品名:こらぼでほすと 再来8 作家名:篠義