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こらぼでほすと 再来9

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寺の女房は、熱も下がったので、普通に稼動している。お昼を、夫夫ふたりで食べている。だいたい、朝の残りとか、昨晩の残りもので済ますのだが、何にもない日というのもあって、そういう日は麺類なんてことになっている。そして、本日は何もなかったので、即席ラーメンに野菜たっぷりなんてことになっていたりする。ずるずると食べている間は無言だ。特区の即席麺は種類も味もたくさんあって、ニールも三蔵も気に入っている。ニールが、いろいろな種類を買ってくるので、ふたりして味見して評価するのが、目下の夫夫の楽しみだ。
「出汁はいいが、この背油ってーのは、ベタつくな。」
「うーん、このシリーズは、全部、これがついてるみたいでしたよ。ということは、これは却下だな。」
「それ、入れなけりゃいいだけだろ? 味は悪くねぇーからな。」
「そうですね。でも、入れないなら、普通の醤油味でいいんじゃないですか? 」
「確かにな。じゃあ、却下。」
「はいはい。」
 のんびりと食後のお茶を飲みながら、評価しているのが、おまえらは、年寄り茶飲み友達夫夫か? と、ツッコミしたいぐらいに、ほのぼのとしている。そこへ、悟浄と八戒が顔を出した。
「ニール、これ、滋養強壮のクスリなので、どうぞ。」
「飲まないと、無理矢理だからな、ママニャン。」
 二人して、ペットボトルを差し出して爽やかに脅されたら、ニールも飲むしかない。今回のは黒いんだなあーなんて、考えつつ、鼻を摘まんで一気飲みだ。

・・・・あれ? いつもほどじゃない・・・・・

 いつもよりも飲み易いので、拍子抜けした。渋いぐらいの味なので、それほどのことはない。以前、食間ごとに飲まされていたものは、えもいわれぬ味だったからだ。
「これ、飲み易いですね、八戒さん。」
「そうでしょうね。刺激物は、あまり入ってませんから。」
 いつもは、何が入ってるんだろう、と、聞きたいのだが、聞いたら、とんでもないものが入っていそうで、聞くのは、いつも中断させてしまう。誤魔化し笑いで、ニールがスルーする。
「お昼は? 」
「ブランチをしましたから結構です。ちょっと、いい香りのお茶が手に入ったので、それを飲みましょう。」
 八戒が台所へ準備に向かうので、ニールのほうは、こたつの上の食器を片付けて洗うことにした。
「熱は下がったんですか? ニール。」
「ええ、すっかり。・・・・まだ、疲れるとダメみたいですねぇ。」
「半年は、グウタラ専業主夫ということですからね。適当にしててください。」
 洗い物をしていると、茶器から香ばしい匂いが漂ってくる。それは? と、ニールが尋ねる。
「これは、花茶と言います。基本はジャスミンティーの茶葉ですが、フレーバーとして乾燥した花びらが入っているんですよ。」
「なるほど。それ、三蔵さんも好きなんですか? 」
「どうでしょうねぇ。あのマイノリティー驀進坊主は、あるものを口にするから、出せば呑むとは思います。まだ、ありますから残りは置いておきますよ。ニールが飲みたい時に淹れてください。淹れ方は、中華茶と同じです。」
「一度、お湯を棄てるほうですね? わかりました。」
 極東のお茶と八戒たちの地方のお茶は、淹れ方も違うので、ニールも、それは学習した。中華茶のほうは、発酵している度合いが高いので、茶葉を開くために、一度、熱湯を注いで棄てなければならない。それで発酵中についた不純物も洗い流すので、そういう淹れ方になる。極東のお茶は、発酵させていないから、湯の温度に気をつけて一度、注いで淹れる。確かに、味も違うし匂いも違う。紅茶とも違っていて、ニールにとっても興味深いものだ。
「お菓子はゴマ団子にしました。チンしてください。」
 洗い物が終わった、ニールにお菓子のほうは手伝ってもらう。そのチンの合間に、ふぁーっと寺の女房は、大きな欠伸をひとつした。漢方薬のいいところは即効性でないところだ。ゆっくりと効いてくるので、お茶を楽しんだら、そのまんま沈没するだろう。



 目を覚ましたら、部屋が真っ暗で、ニールは、やっちまった、と、息を吐きつつ起き上がる。たまに、昼寝して寝過ごすことがある。沙・猪家夫夫とお茶をして、ちょっと眠気が強くなったから、失礼して昼寝に突入した。そのまま、ぐっすりと寝てしまったらしい。脇部屋を出たら、居間のほうには明かりがある。誰かいるのだろうか、と、思いつつ回廊を回って居間に顔を出すと、珍しい人が座っていた。

「お目覚めかい? ママ。」
「ヒルダさん? どうかしたんですか? 」
 ヒルダは、ラクスの護衛だから、きょろきょろと見回すが、他には誰もいない。のんびりと雑誌を読んでいたらしく、卓袱台には、それがあるだけだ。
「あんたのお守りを、ラクス様から頼まれたんだ。顔でも洗って、しゃんとしとくれ。」
「お守りって・・・・」
「あんたの心配は、ラクス様の娘としての権利だ。お守りされてりゃいいのさ。」
 そう言われてしまうと、ニールも苦笑するしかない。ひとりにして何かあっては困るから、と、最近、誰かが居てくれることが多い。自業自得だから、言い返すのは難しいので、顔を洗いに行った。

 戻ってきたら、ヒルダが着替えろと服を渡すので、どっかに行くのだろうと気にせず着替えた。
「ママのストリップはいいねぇー。ヘルベルトとマーズは、色気がなくてさ。」
 居間で、そのまんま着替えているので、ヒルダは、そういう感想を漏らす。元軍人様だから、目の前で男が着替えていても恥ずかしいなんて感覚はない。ワイシャツのボタンを留めつつ、ニールも苦笑する。
「色気? ありますか? 」
「あるよ。それで、もうちょっと遊んでりゃ、鷹みたいなフェロモンも湧くんだろうけどね。」
「そこまでの元気はありません。」
「あはははは、確かにね。そういう気があったら、あたしを誘わないはずはないさ。」
 そうですね、と、相槌をうって、着替え終わった。どこへ行くんですか? と、尋ねつつ壁の時計を見たら、すでに十一時だ。寝過ごすにしても、過ごしすぎだ、と、驚いた。いつもは、遅くても八時あたりには目が覚める。二時ごろから十一時前まで、九時間も寝ていたとすると、加減が悪いのか、と、自分でも心配になる。
「どうかしたかい? 」
「いや、あの・・・・俺、ものすごく寝過ごしてるんですよね? それに、今から外出って、どこへ行くつもりなんですか? ヒルダさん。」
「もうすぐ、かぼちゃの馬車とネズミが二匹、お迎えに来る算段さ。あんたのは場合は逆だから、十二時の鐘の前にお城に着かなくちゃならない。おや、そうすると、あたしの役どころは、魔女じゃないか。」
 こりゃ似合い過ぎて参った、と、自己完結してヒルダは大笑いだ。いやいや、ちゃんと説明してくれませんか? と、ニールがツッコミしていると、玄関から足音がしてネズミが二匹現れた。しかし、このネズミ、とても不遜な態度だ。
「行くぞ、ニール。」
「はぁーい、ママ。お迎えだぜ? 」
 今年のイベントデーは、王子様仕様だと、ニールも聞いていたが、イザークが真っ白の裾が長いスーツだと、本物の王子様だ。ディアッカも、同じ衣装だが、こちらはワイルドな感じの王子様ということになる。
作品名:こらぼでほすと 再来9 作家名:篠義