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こらぼでほすと 再来10

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「どうかしたのか? ハイネ。」
 事情のわからない寺の女房は、何事だよ? と、首を傾げているが、悟空には、わかった。そして、当の坊主にもわかっているので、懐から安全装置を外したマグナムが出てくる。
「ハイネ、その反応は、なんだ? 」
「・・・・いや・・・ごめん・・・・ぐっっっ・・・・・」
「さんぞー、それ、大人気ないぞ。」
「ハイネ、出勤か? 何か摘むのか? 」
 そして、廊下に転がっているのに、ティエリアが気付いて、蹴りを見舞っている。怖いのだが、目が離せないので、ダコスタは、苦しそうに立ち上がって、荷物を居間に置く。
「アイシャさんから・・・・・・ニール限定のお菓子だそうです。・・・すっすいませんっっ、失礼しますっっ。」
「待て、ダコスタっっ。」
 三蔵が照準を定める前に、荷物の説明をしてダコスタは逃げた。危機管理能力は、ハイネよりダコスタのほうが高いことが、ここで証明された。ハイネは、まだ、居間で転がっているからだ。坊主が立ち上がって、背中を踏みつけているが、それでも笑いが収まらないハイネは、ぐぇっとカエルのひしゃげたような声を出したが、まだ笑っている。
 
 逃亡したダコスタと入れ替わるように、カッパイノブタ夫夫が顔を出した。もちろん、カッパは、窒息したが、イノブタは違う。
「珍しい光景ですね? とりあえず、これは記念に。」
 付き合いが長いと、動じなくなるらしい。八戒は、一目見て、にこやかに微笑んで、携帯端末で、寺の夫夫のペアルックを写メしている。
「八戒さん、僕らも一緒に撮ってくれませんか? 」
「いいですよ、アレルヤくん。悟空、あなたも入ってください。はい、チーズ。」
 さすが、『吉祥富貴』最強のおかんだ。アレルヤの注文にも、ちゃんと対応する。何枚かの寺の家族写真を撮ると、ティータイムなんてことになる。お茶菓子は、カッパイノブタ夫夫が持ってきた草餅と桜餅だ。
「実は、これ、お詫びの品なんです。」
 これなら、緑茶ですね、と、ニールが、そのエプロン姿のまま、準備したものを運んできた。ちなみに、三蔵はエプロンは脱ぎ、ニールに渡して、ハイネを本気で踏み潰しておいた。それらが終わってから、八戒は、ニールに軽く頭を下げた。
「お詫び? 」
「ええ、先日、滋養のクスリだって飲ませた漢方薬なんですが、あれは、竜骨というもので、一緒の催眠薬だったんですよ。だから、寝過ごさせたのは、僕なんです。」
「あーやっぱりそうでしたか。俺も、そうじゃないかな、とは思ってたんです。」
 定期検診も異常なしだったので、寝過ごした原因をニールも考えた。その日、普段と違っていたのは、八戒が届けてくれた漢方薬だけだったからだ。
「あなたに、深夜まで起きてていただくには、途中で長めに昼寝をしてもらわないといけませんでしたのでね。」
 それでそういうことに、と、一応、その流れは一通り説明した。ニールのほうも頷いている。
「そういうことならいいんです。ほんと、ありがとうございました。」
「いえ、あれは年少組が、打ち合わせしてやってるんですよ。」
「今年は盛大にやりたかったらしいんだ。それで、前夜祭から当日へ雪崩れ込みってことになったらしいぜ、ママ。」
「もう祝ってもらう年でもないんですけどね。」
「まあ、いいじゃないか。あいつらも、それを口実にして騒ぎたいんだよ。」
 悟浄が、ごくっとお茶を飲んで、持参した草餅に手をつける。ニールのほうは、桜餅をティエリアに齧らせているし、悟空は、両手に一個ずつ掴んで、ばくばくと消費している。何気なく、目に入ったバスタオルを見て、寺の女房が口を開く。
「三蔵さん、バスタオルの隅に、『三』って刺繍しておきましょうか? 」
「おまえは、『ニ』だな。」
「あははは・・・・二と三になって繋がってますね。」
「しょうがねぇーだろ、おまえは俺の女房なんだから。」
「はいはい。」
 これを素面でやっている段階で、いちゃこらしていると思うのだが、当人たちは、そうではないというのが、周囲には不思議でしかない。肉体関係がなくても、もう夫夫としか言いようがないのだが、当人たちは気付いていないらしい。
「ママ、俺も新しいバスタオル買ったからさ。今度から専用を作ろうぜ? 」
 悟空も、自分の好みのバスタオルを用意した。寺に住人しか居ない場合は、専用のものを使えばいいだろうと考えたからだ。
「そうだな。でも、これ、使うのもったいないなあ。」
「保管しておくほうがもったいないですよ? ニール。バスタオルは消耗品なんですから。」
「俺は今日から、これでいいぞ? 」
「いや、三蔵さん。一度、洗濯しないと使えません。」
「じゃあ、さっさと洗濯しろ。」
 手触りが、とてもよろしいので、坊主は本日から使う気満々だ。とは言うものの、刺繍して洗濯していたら夜までには乾かない。ふと、バスタオルを眺めて、意匠のデザインが違うだけだと気付いた。
「ティエリア、これ、デザインが同じのを俺が使ってもいいか? それなら刺繍しなくても使えるからさ。」
「いいにゃ。にーりゅのしゅきにしゅりぇばいいにゃ。」
「じゃあ、三蔵さん、こっちのデザインがあんたの。こっちが俺のでいいですか? 」
「俺は、どっちでもいい。おまえの好きにしろ。」
「じゃあ、そういうことで。悟空、おまえの新品は? 」
「ああ、持ってくる。」
「すいません、八戒さん、ちょっと洗濯してきます。」
 ティエリアの世話をアレルヤに頼んで、ニールがバスタオルを抱えて立ち上がった。ほんと気持ち良いなあ、と、頬で、その感触を楽しんで笑っているので、贈ったティエリアとアレルヤも大満足だった。
作品名:こらぼでほすと 再来10 作家名:篠義