機動戦士ガンダムRS 第15話 それぞれの孤独
フラガ少佐は、自分が教官になった覚えがないのに教え子が増えて頭を抱えた。
「すぐに一人前になりますよ。
そういや坊主の熱は?」
マードック曹長は、笑いながら言った。
「朝には、下がったってさ。
ストライクが凄いんだかあいつの体が凄いんだか。
そういえばキラは、なんで時々あれのことをガンダムと呼ぶんだ?」
フラガ少佐は、スカイグラスパーのコックピットを覗き込みながら質問した。
「起動画面に出るんすよ、『General Unilateral Neuro-Link Dispersive Autonomic Maneuver Synthesis System』という文字が。
その頭文字をつなげると『ガンダム』になるんです。
しかし『ガンダム』という言葉は、敵性語なので軍の方では一番最初の『G』だけで呼ばれてるんです」
マードック曹長がフラガ少佐に説明した。
※
アークエンジェルの食堂では、トールたちがキラが目覚めた話題でもちきりだった。
「キラが気がついたの?」
ミリアリアがトールに確認した。
「うん。
ちょっと前に」
それを聞きながらミリアリアが着席した。
「大丈夫らしいからもう部屋に戻ってる。
食事は、フレイが持ってったけど」
サイが説明し終わるとそこにフレイが2つの空のトレイを持って食堂に入ってきた。
フレイは、3人に挨拶した。
「交代?」
フレイが質問した。
「そうよ。
キラは、どう?」
ミリアリアが答えキラの容態を聞いた。
「もうほんと大丈夫みたいよ。
食事もしたし昨夜の騒ぎが嘘みたい。
先生には、今日は寝てろって言われてたけど」
フレイは、3人にキラの容態を説明した。
「そっか。
よかった、元気になって」
ミリアリアたちは、表情を明るくした。
「フレイも疲れたろ。
昨夜は、ずっとキラに付いてたし。
少し休んだ方がいいじゃない?」
サイがフレイに休憩するように言った。
「アスラン大尉が代わりにキラの看病してるからそのつもり」
フレイは、既に休憩をするつもりだといった。
「俺も看病しようかな」
トールもキラの看病をしようか考えていた。
「そんなこといってキラの看病という口実で休憩する気じゃない?」
フレイは、トールを疑惑の目で見ながら言った。
「そんなことするわけないだろ」
トールは、立ち上がり強く否定した。
「でもキラの容態がもう大丈夫ならそれもしかねないわね」
「トールの性格を考えればやりかねない」
サイとミリアリアは、フレイの言葉を否定できなかった。
「ちょっと2人とも」
トールは、2人に助け舟を求めた。
※
部屋では、キラが気持ちよく寝ていた。
そばでは、アスランが容態が急変しないか見ていた。
※
レセップスの艦長室では、アンドリュー・バルトフェルド大佐が究極のコーヒーを求め日夜努力していた。
「アークエンジェルより仕官3名が着ました」
そこにマーチン・ダコスタ少佐が報告に来た。
「入れ」
ダコスタ少佐とともにクルーゼ大佐、ラミアス艦長とバジルール副艦長が入ってきた。
3人は、バルトフェルド大佐に敬礼した。
バルトフェルド大佐も敬礼で返した。
「地球軍第7機動艦隊所属ラウ・ル・クルーゼ大佐であります」
「地球軍第8艦隊所属マリュー・ラミアス少佐であります」
「同じくナタル・バジルール中尉であります」
3人は、自己紹介をした。
「アンドリュー・バルトフェルドだ。
まあ掛けたまえ。
コーヒーは、いかがかな?
僕にコーヒーを淹れさせれば地球軍1だと自負していてね」
ラミアス艦長とバジルール副艦長は、ちょっと拍子抜けな感じだった。
しかし3人は、せっかくなのでいただくことにした。
バルトフェルド大佐は、3人からη艦隊が下りたと思われる予想ポイントと目的地を教えてもらった。
「わかった。
補給と死神は、こちらで任せよう」
バルトフェルド大佐は、快く引き受けた。
「注意してください。
死神の力は、われわれの予想をはるかに上回っています」
ラミアス艦長がバルトフェルド大佐に忠告した。
「わかっている。
既に第8艦隊が全滅したことは、こちらも知っている。
あのハルバートン准将でさえ勝てない相手だ。
肝に銘じるさ」
バルトフェルド大佐は、軽く言ったが心してかからなければいけないのはわかっていた。
※
夕刻η艦隊では、ブリッジ要員が交代しながら哨戒を続けていた。
※
ドゴス・ギアでは、ガンダムサイガーにS型を装備させる作業が行われていた。
※
アークエンジェルのモビルスーツデッキでは、フラガ少佐とマードック曹長が不休でスカイグラスパーの調整を続けていた。
※
アークエンジェルのシャワー室では、キラがシャワーを浴びていた。
※
その日の夜アル・ギザのマン・マシーンデッキの隅では、サオトメが仮眠ベッドで寝ていた。
これならいつ出撃命令が出ても問題は、ない。
※
レセップスの艦長室にダコスタ少佐が報告に来た。
「入れ」
ダコスタ少佐がバルトフェルド大佐に報告書を渡した。
そこには、η艦隊の場所が特定したと書かれていた。
「よし、バクゥをつれて出撃だ」
「了解」
バルトフェルド大佐の命令にダコスタ少佐が敬礼した。
作品名:機動戦士ガンダムRS 第15話 それぞれの孤独 作家名:久世秀一