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新生勇者戦記ブレイヴサーガ・ディザスター 第95話

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  澪は限界になり、ひざを抱えて泣きしゃっくりをしはじめた。物寂しい哀愁の空気が部室
を包む。だがどこか温かさを感じる。

  律 「唯、高校でやる学園祭は今日で最後なんだよ・・・。」

  唯 「そっかー・・・・っ・・・・それは残念だぁ〜。」

  すると感情の限界が来た紬が子供のように泣きじゃくりながら駄々をこねた。

  紬 「やだやだやだやだぁ!!終わりたくないよぉ〜!!」

  唯 「うっっ・・・うっっ・・・ムギちゃあああああん!!」

  紬 「うああああああん、唯ちゃああああん!!」

  梓 「二人とも、気持ちはわかりますから落ち着いてください。」

  泣きながら抱擁する唯と紬。それをなだめる梓。二人の泣きしゃっくりの隣で、泣く澪に
あえてちょっかいを出す律。

  律 「なーんだぁ?澪も泣いてるのー??」

  澪 「ひっく・・・・ひっく・・・・律だって泣いてるじゃんか・・・。」

  律 「こ、れは汗だい!!」

  澪 「でも、ホント、ホントよかったよな!!」

  紬 「ううううう〜・・・・もちろんだよっっ・・・ううう〜。」

  唯 「うううう〜・・・みんなあああああ!!!」

  皆が一斉に唯を中心に集まって抱擁しあう。重なる鳴き声、泣きしゃっくりが温かな哀愁
を生み出す。彼女達の脳裏には、これまでの思い出が去来する。

  決して戻ってこない時間、できごと。だが掛け替えのない財産であることに違いは無い。

  今日の日は彼女達にとって掛け替えのない思い出の出来事となっただろう。彼女達の涙は
感情の限り流れ続けた。



  そして、さわ子と和が会話しながら部室にやってくる。

  さわ子 「今日のライヴは今までの中で一番よかったわ!!」

  和 「そうですねぇ。先生が現役の時と比べてどうでした?」

  さわ子 「それは比べられないわ。デスデビルはデスデビル。放課後ティータイムは、放
課後ティータイムよ。それぞれ次元の違う価値観があってのものよ・・・。」

    ガチャン!

  さわ子 「みんなおつかれさまー・・・・・って・・・あら?」

  扉を勢いよく開けたさわ子。だが、部屋の隅には泣き疲れて寝てしまったメンバーが壁に
寄り添って寝てしまっていた。5人が肩を寄せながら寝ているその光景はどこか微笑ましくも
映る。

  和 「寝ちゃってる・・・・くすっ、みんないい寝顔ですね。」

  さわ子 「そうね・・・もうしばらくそっとしておきましょう・・・。」

  和 「ですね・・・。」

  そう言って、和とさわ子は部室を後にした。



  その日の夜、桜高では災害から一回忌を迎えた追悼セレモニーが催されていた。

  それぞれが黙祷した後に、献花台へ生徒達が花をそえていく。冴島達も出席し、散ってい
った桜高の生徒の命に哀悼の意を表して敬礼する。

  あの日のようにキャンプファイヤーの炎が燃える。その周りを囲むように桜高の生徒達が
個々に座っていた。

  だが、あの時と違うのは、それを見守る勇者ロボット達の存在と、軽音部のパートナーと
なった勇士朗達と舞人の存在だった。さわ子も要と共に立ち昇る炎を見つめる。

  彼らは彼女達と再び合流して同じ時を過ごす。

  唯が光と、梓が俊と、律が蓮と、紬は舞人と、澪は勇士朗と寄り添って燃えるキャンプフ
ァイヤーを見つめていた。その傍らで姫子と涼も寄り添う。勇は腕組みしながら和の隣で勇士
朗達と共に炎を見つめていた。

  勇士朗は澪と手を重ね合い、あの日を脳裏で去来させながら見守る。その時に澪は瞳を閉
じて勇士朗の肩に頭を寄せた。

  勇士朗も同じように頭を傾けて澪の頭に寄せ合う。今この瞬間の穏やかな時を噛み締めな
がら。そして勇と共にまだ脅威として君臨するドライアス勢力との闘いを見据える。

  燃える炎は夜空へと散っていく。鎮魂を促すがごとく・・・。


  つづく