黄金の太陽THE LEGEND OF SOL 6
「もう、止めにしよう。これ以上続けたらあなたが死んでしまう」
ウラヌスは息を絶え絶えにしながら言った。
「まだだ…私は…立ち上がれる限り…戦う…!」
ウラヌスはまた向かってきた。ロビンは戦斧を弾き返した。それだけでウラヌスはへたり込む。
「ウラヌス、ならばこのエナジーで最後にしよう」
ロビンは剣を構え強く念じた。剣がエナジーに呼応すると、ロビンの上空に巨大な剣が出現した。
『ラグナロック!』
ロビンが剣を振ると、上空の剣もその動きに同期してウラヌス目掛け降りかかった。
「ぐわあああ!」
ウラヌスは巨大な剣の引き起こす爆発に吹き飛ばされ、地面を二転三転した後、仰向けに倒れた。
「ふ、見…事だロビン…私の完…敗…」
ウラヌスは気を失った。
会場は突然の爆発にどよめいていた。審判が怖ず怖ずと近寄って状況を確認すると、宣言した。
「しょ、勝者第八戦士ロビン。決勝進出!」
どよめきは一瞬止み、会場は静寂に包まれた。
「あの戦士が爆発を起こしたのか?」
観客の一人が言った。
「どんな仕掛けか分からないけど、あの戦士が勝ったみたいだな」
「すげえぜあの戦士!」
会場に歓声が戻った。
歓声がわくと同時にロビンははっとしてウラヌスのもとに駆け寄った。
「ウラヌスさん!」
『ラグナロック』を放った時、直接当てるのではなく、ウラヌスの手前に落下させる事で大事には至らないようにした。しかし爆発までは考えていなかった。
駆け寄ってウラヌスに触れてみた。相変わらず気を失っているが、呼吸も脈もあった。
「よかった、生きてる…」
ロビンは胸をなで下ろした。
「待っててください。今回復します」
ロビンは目を閉じて精神を集中した。するとロビンの体が淡い光を帯び始めた。もちろん審判や観客達には光は見えていない。
光が鼓動し始めた。ロビンは何やら呟き始める。
「大地に宿る聖霊よ、我が声聞こえるならば、その大いなる大地の力をこの者へ!」
光は一際大きくなり、その瞬間ロビンはウラヌスに手を向けて詠唱した。
『リバイブ…!』
『ガイア』とはまた違った大地のエネルギーが光の帯となって噴き上がり、その中にウラヌスを包み込む形となった。
噴き上がる光の帯は上空で羽根となりウラヌスに降りかかった。
羽根は地面に落ちると消えてゆく。その様子はとても神秘的で美しかった。
光が消え、羽根も全て消える頃にはウラヌスの傷は全て塞がっており、程なくしてウラヌスは目を開けた。
「は、私は一体どうしたのだ?」
「気が付きましたか?ウラヌスさん」
「ロビン、はっ、そうだ私はロビンに負けて、それなのにどうして私は無傷なのだ?」
ウラヌスは起き上がり体のどこにも痛みがない事を確認した。
「オレがエナジーで回復したんです」
「ロビンが?」
本当かどうかウラヌスはそばで見ていた審判に訊ねた。
「彼の言っていることは本当です。何か呟いていると思ったら急に何かを唱えました。すると光の帯が現れて、あなたは意識を取り戻しました」
ウラヌスはとても驚いていた。
「あ、あの?…」
担架をもった係員達が怖ず怖ずと訊ねた。
「また、怪我人が治ったのですか?」
「ええ、もう大丈夫です」
ロビンは答えた。
「そうですか、では失礼いたします…」
係員は去っていった。
ウラヌスの復活に会場は更に沸き上がっている。
「ロビン」
ウラヌスは言った。
「お前のエナジーという力、真に見事な力だ。もう狡などと言わずに誇りを持って使ってくれ素晴らしい、戦士の力なのだからな」
ロビンは力強く頷いた。
「最後の試合、全力を持って戦うのだ。負けた私が誇れるようにな」
「はい、頑張ります!」
「うむ、私も試合を見せてもらうぞ」
ロビンはふと気が付いた。次の試合は当然ながら決勝戦である。これを制すれば名実ともに大陸一の戦士となる。その決勝の相手は、
――リョウカ!――
ロビンは視線を感じ、振り向くと、観客席からリョウカがロビンを見つめていた。口元には笑みがある。
視線が全てを語っていた。手加減無用、と。
歓声に包まれるコロッセオで、最大にして最後の決戦が始まろうとしている。
作品名:黄金の太陽THE LEGEND OF SOL 6 作家名:綾田宗