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黄金の太陽THE LEGEND OF SOL 6

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「おおい!待ってくれ、誰か、誰か助けてくれ?!」
 男の声は観客にとどかなかった。
 たった今試合が始まったからである。
    ※※※
 二回戦第二試合が始まり、ロビンは小型迷路をジェラルドの作った裏道を使ってそれを越え、その次の天秤の仕掛けはメアリィのお陰で飛び越えることができた。
 三つ目の障害物はまず最初に壁をよじ登らなければならない。それだけでも大変だったが、壁の上では三つの滑り台の中から一つを選ばなければならない。間違った所を選べば最初からやり直しとなる。
 ロビンは壁を登りきり、滑り台を選んでいた。
 一番右が正しいような気がする、いや、左か。
 ロビンは数秒考えた後、どれにするか決めた。
「真ん中だ!」
 ロビンは滑り台に腰を落とした。滑り台は滑り台と言っても、極端に急斜面になっており、ほぼ垂直に落下するようなものだった。
 ロビンは着地した。着地の衝撃で足が痛くなった。しかし、横を見ると道が通じている。選択は正しかった。
 最後の迫り出す壁の仕掛けはイワンによって止められていたのでただ駆け抜ける事で突破した。そして試合場に辿り着いた。
「一着、第八戦士ロビン!」
 それからしばらくしてからウラヌスは到着した。どうやら三つ目の障害物で間違え続けてしまったらしい。 ロビンとウラヌスは武器を選んだ。ロビンは一着の特権として一番いい長剣を選んだ。
「それでは私はこれにしよう」
 ウラヌスは大きな戦斧を手に取った。置かれているときは結構大きく見えた戦斧だが、彼が持つとそれほど大きくないように見えた。
「さあ、ロビン。勝っても負けても悔いの残らない試合にしよう」
 ウラヌスは戦斧を軽々と振り回した。まるで体の一部のように扱っている。
 強い、とロビンは思った。「ウラヌスさん、オレは負けない!」
「うむ、良い目だ」
「試合開始!」
 開始してすぐ二人は気合いを込めた掛け声を発した。
「行くぞ!!」
「来い!!」
 ロビンから先に仕掛けた。相手の武器は斧である。剣よりは動きが遅くなるが、こちらが大きな攻撃を外せば強力な反撃を受けることになってしまう。
 ロビンはそれらの危険を考慮して、反撃の防御が間に合う遠距離から攻撃した。
「ふぬお!」
 ウラヌスは戦斧を斜め上に振り上げた。
 ロビンは剣を弾き返されてしまった。ウラヌスは続けざまに攻撃をした。戦斧はかなり重量があるはずなのにその攻撃は速かった。
 ロビンはすぐさま構えなおして攻撃を防いだが、剣から伝わる戦斧の衝撃は凄まじかった。これだけで吹き飛ばされそうな勢いである。
「くっ」
 ロビンは戦斧を払って距離を取った。
 ウラヌスの攻撃はかなり強力かつ速い。少しでもまともに食らおうものならば骨ごと真っ二つとなるだろう。
――ウラヌスさんの攻撃、一体どうすれば――
 遠距離から攻めれば剣を弾かれ、近距離だとこちらが剣を振れなくなる。
 となると中間距離の攻めが重要になってくる。
 手を伸ばして僅かに届かないくらいの距離を開ける必要がある。しかしウラヌスは攻めの手を緩めようとしないはずである。距離を置くばかりではたちまち試合場の端まで追い詰められることとなる。
「どうした、そんなに離れていては勝負にならないぞ」
 今はまだウラヌスも攻めてはこない。攻められる前に考えなければならない。
 エナジーを使う事も考えたが、普通の人相手に使いたくなかった。何故ならば相手は普通の人間である。人間相手にエナジーを使った事はあるが、今回はクープアップの時の盗賊のような悪者ではない。尚且つこれは正式な試合である。例えバビにエナジーの使用を許されていても、正々堂々と勝負するのにエナジーで攻撃するのは狡をしているような気がしたからだ。
「来ないのか?ならばこちらからゆくぞ!」
 ついにウラヌスは攻めてきた。
 速く、重い攻撃は受ける度に手に強力な衝撃が加わった。
 一度受けきれずに戦斧が顔のすぐ手前まで迫った。
「う、うわ!」
 ロビンはすんでのところでしゃがんでかわした。もししゃがむのが少しでも遅れていたら顔面を両断されていた。
「危なかった…」
 ロビンは背中に冷や汗を感じた。
「なぜ…」
 ウラヌスは言った。
「なぜあの不思議な技を使わない?」
 エナジーの事を言っていた。
「それは…」
 狡をしていると思うから、とロビンは言った。するとウラヌスは、
「そうか、ロビンはその力を今まで卑怯だと思って使ってきたのか」 ロビンははっとした。
「それはっ!」
 違う、という言葉は戦斧によって阻まれた。
「卑怯だと思うなら使わなければいい。そのかわりお前は死ぬぞ」
 ウラヌスは戦斧を横に振った。ロビンはかわしきれず腹部を掠めた。
「あ!」
 少し掠めただけだというのに血が舞った。切り傷が熱い。
「く!」
「コロッセオに相手を殺してはならないような決まりはないからな。ロビン、お前が負けるとき、それが最期だ」
「最期…」
 ロビンは最期という言葉に、恐怖よりも覚悟が生まれた。
 負ければ死ぬ。それはいつも魔物と繰り広げている戦いである。そんな戦いの中で自分は本当の力を出していたのだと気が付いた。
 ロビンは傷口に手を当てた。
『キュアライト』
 傷口は光に包まれ瞬く間に塞がった。
「ありがとう、ウラヌスさん」
 ロビンは剣を構えなおした。
「大切な事を忘れていました、もう、遠慮はしません。全力であなた…ウラヌス、お前に勝つ!」 最早ロビンに迷いはなかった。
「そうだロビン、それでこそいい勝負ができるというものだ!」
 ロビンとウラヌスは声を張り上げ共に攻めた。
 ロビンは左手をかざした。
『スパイア!』
 土の槍がロビンの手から出現した。
「ふん!」
 ウラヌスはそれを叩き割った。するとそのすぐ後ろにロビンが攻め寄せていた。
「やあ!」
「ぬん!」
 ウラヌスはロビンの剣を押し返した。 ロビンは体制を崩さずにすぐにまたウラヌスに向かって駆けた。
 また来るか、とウラヌスは身構えていると、ロビンは数歩手前でしゃがんだ。地面に手を付き、念じた。
『スパイア!』
 地面から土の槍が突き出した。
「うおわ!」
 ウラヌスはそれを受けて倒れた。
 ロビンは倒れた瞬間も見逃さなかった。飛び上がり、剣の切っ先をウラヌスに向けた。
「あまいぞ!」
 ウラヌスは横に転がり、起き上がった。ロビンの剣は地面に突き刺さった。
「とう!」
 今度はウラヌスが戦斧を振り上げた。
『ガイア!』
 地面から大地のエネルギーが噴き上がり、ウラヌスを包み込んだ。
「うわあああ!」
 ウラヌスはそのばにへたり込んだ。
「どうだ、これがオレの本当の力だ!」
 ロビンは切っ先をウラヌスに突きつけて言い放った。
「見事だロビン…」
 降参するのか、と一瞬思ったが違っていた。
「だが、まだ勝負はついていない!」
 ウラヌスはまた立ち上がり戦斧を振るった。
 二度もエナジーを受け、それも二度目はまともに受けて体はボロボロだというのにまだ攻めてくる。ウラヌスは本当に死ぬまで戦うつもりなのか。
 体の傷も相まってウラヌスの力はだいぶ弱まっていた。あの手が痺れんばかりの威力は皆無となった。
 ロビンは戦斧を払いのけた。