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黄金の太陽THE LEGEND OF SOL 6

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第19章 決戦、ロビンに秘められしもの


 第七戦士リョウカ、第八戦士ロビンの決勝は、ロビンが連続した試合となるため、また、試合場や障害物の設営もあるということで一時間の休憩時間を与えられた。
 宮殿の廊下でロビンは一人佇んでいた。
 決勝戦、まさかと思っていた。そもそも自分が勝ち残るとも思っていなかった。
 それでも同じ大会に出る以上、覚悟は少なからずしていた。
――リョウカと、戦うのか…――
 昨晩リョウカに言った。自分も本気で戦うからリョウカも全力で来い、と。この言葉に嘘偽りはない。
 しかしロビンは不安だった。
 ロビンは彼女の戦いぶりをコロッセオだけでなく、これまでの旅の中での魔物との戦闘で何度となく見ている。
 初めてゴマ山脈でリョウカに会った時の事をよく覚えている。
 あの時彼女は蔦の茂った岩の蔦を一瞬にして切り裂き、エナジーで岩を動かした。その後の洞窟内で自らは傷を全く負わず、現れた魔物達を瞬殺した。
 自分などは到底及ばないと思っていた。
 あの頃の自分はまだまだ駆け出しだった。世界の運命を背負うという大層な大義名分があったが、そんな大義名分には足元にも及ばないほど弱かった。
 しかし、今はどうであろうか、これまでの旅の中で自分も成長してきたと思う。剣の腕はもちろんの事、様々なエナジーも身に付けた。
 それでもまだ彼女には及ばない気がする。自分持っていないものを彼女は持っている気がする。それは覚悟というものなのだろうか。
 考えるほどに、ロビンの不安は消えなかった。
 ロビンは少し寒気を感じた。休んでいたら体が冷えてきたようだ。それにただぼんやりしているだけでは不安は募るばかりだ。
「素振りでもするか」
 ロビンは立ち上がって、側の樽に刺さった剣を持った。そしてそれを上下に振り始めた。
 あまり手に馴染まない剣で、少し重いような気がした。しかし、重いくらいがちょうどいい。
 百を越える頃には少し汗ばみ、何だか気分も晴れてきた。重く感じた剣も手に馴染んできた。
――よし、ちょっとやるか――
 ロビンはエナジーを発動した。
『スパイアクレイ!』
 ロビンは目の前に土の槍を雨のように降らせた。それらが地面に落下する前に斬っていった。
「とう、や、はあ!」
 ロビンは一つも落とすことなく全て砕いた。
「ふう」
「ふふ…、今更練習か?」
 ロビンは驚いて振り返った。
「リョウカ!」
「全く、屋内でそんな練習をするなんて、非常識極まりないな」
 辺りはロビンの砕いた土の槍のせいで土まみれとなっていた。
「あ…」
「今ごろ気づくなよ…」
 ロビンは箒とちりとりを借りてくると、土を掃除し始めた。
「柄にもなく緊張したか?」
「うん、まあ、ちょっとね」
 ロビンはちりとりに土を集めた。
「別に緊張することはないだろう、お互いに知り合いなのだから」
「だからこそ恐くてさ」
 ロビンは土を集め終えた。ちりとりは山盛りになっていた。
「ほら、リョウカって本当に強いだろ?これまでの試合だって大差をつけて勝ってたじゃないか。だから、オレが戦って、全く勝負にならなかったらどうしようかって、思ってさ」
 加えてロビンは初めてリョウカに会った時の事も話した。
「こんなに強いのに、オレなんかが試合するなんて間違ってる気がするんだ」
 ロビンは苦笑した。
「間違ってなんか、いないさ」
 え、とロビンはリョウカを見た。リョウカは真顔でロビンを見つめている。
「私は、お前と戦う事を楽しみにしているぞ」
「リョウカ…」
「それじゃ、今度は試合場で会おう。逃げるなよ!」
 リョウカは宮殿内へと去っていった。
「…プレッシャー、かけないでくれよ」
 ロビンの不安は大きくなった。
    ※※※
 コロッセオもいよいよ大詰めとなり、観客の志気も最高点に達していた。
 試合場の設営も終わり、後は決勝戦が始まるのを待つのみである。
 間近の観客席ではジェラルド達がこれまで通りロビンの援護をしていた。
 仲間が相手ということもあって、ロビンも一度は援護を断ったが、これに対してリョウカが、
「皆と一緒に出場する約束でロビンは参加しているんだ。私に遠慮なんかするな」
 と言ったので、これまで通り、ジェラルドらのエナジーが使われる事となった。
 決勝戦というだけあって障害物はどれも難解なものだった。
 開閉を繰り返す床に滑る床、ベルトコンベアーまである。
 ベルトコンベアーは側に丸太が置いてあったので、それを『フォース』で倒して動きを止めた。
 開閉を繰り返す床は二回戦同様に係員の男が手動で操作していた。
「あ、お前はさっきの…」
「ごめんなさい、今回も止まっていてください」
 イワンは『ストップ』を発動した。二回戦の時のように時計型の光が男を包み込み、縛り付けた。
「ぎゃあ?、助けてくれ!」
 全ての仕掛けの援護が終わった。
「よし、と、オレ達にできるのはここまでだな」
「今回、結構大変でしたね」
 メアリィは言った。
「どっちが勝つか分からないけど、二人ともきっといい勝負するだろうな」
 ジェラルドは楽しみだ、といった様子である。
「でもロビンからしたら不安でしょうね」
 イワンは言った。
「いや、オレは信じてるぜ。ロビンが勝つってな」
 最高で最後の試合のカウントダウンが始まった。
「3!」
「2!!」
「1!!!」
    ※※※
 最後の試合だけあって障害物はどれも難解で、越えることさえも難しかった。しかし、ロビンは仲間達の数々の援護を受けて無事試合場まで来ることができた。
 結構早くたどり着けたと思った。相手だって同じ障害物を、それも何の手助けもなく越えているはずである。それなのに、
「…やれやれ、かなわないな」
 ロビンは苦笑した。
 リョウカは試合場の手前で横を向いて腕組みして待っていた。
「一着、第七戦士リョウカ!」
 会場はかつてない歓声に包まれた。
 例によって二人は武器を選んだ。ここでも変わらずリョウカは細身剣を鞘ごと、ロビンは長剣を取った。
「さあ」
 リョウカは剣にエナジーを纏わせ、二、三度振った。炎が軌跡を描いて虚空へ消えていった。
「時は、満ちたな」
 リョウカはニヤリと笑った。
「随分と味なことするなぁ」
 ロビンは苦笑している。しかし、すぐに真顔になった。
「けど、ここまで来たらもうやるしかないよな。リョウカ、全力で来い!」
 ここへ来てロビンの緊張は消え失せたようだ。
「やっといつものお前に戻ったようだな」
 試合場の最前列の席にジェラルド達が到着した。
「行っけ?、ロビン!」
 ジェラルドは大声で声援を送った。
「リョウカ、頑張ってください!」
 イワンとメアリィは言った。
「ロビンとリョウカ、どちらが勝つか楽しみだ」
 ウラヌスとシオンもジェラルド達とともに観客席に来ていた。
「この俺を負かしたんだ。リョウカが勝つに決まってる!」
 シオンはリョウカを応援した。
 ロビンとリョウカは構えたまま試合開始の合図を今か今かと待っている。
――リョウカ、君と初めて会った日のこと、よく覚えている。あの日はとてもかなわないと思っていた。でも今は違う――
――ロビン、お前の強さはどれほどか。見せてもらう――
「決勝戦、試合開始!」