黄金の太陽THE LEGEND OF SOL 7
大鎌はリョウカを掠めることもなく虚空を切り裂いた。
その隙にリョウカは抜刀する。
「使っている武器が大きすぎる。その辺の魔物相手ならばいいが、人が相手では当たらないぞ」
リョウカはメナーディの肩に一条の傷を作り、納刀した。
「ち!」
メナーディは傷には目もくれず、エナジーを発動した。
『デンジャフュジョン!』
広範囲に及ぶ爆発を引き起こした。
『レジスト!』
リョウカはバリアを張り、爆発を防いだ。
『ヒートバーナー!』
ジェラルドの発した一直線に走る炎がメナーディに襲いかかった。
『デンジャフュジョン!』
爆発で炎を相殺した。爆発で生じた煙で前方が見えなくなった。
ふいに煙からリョウカが飛び出し斬りつけて来た。
メナーディは大鎌の柄で刃を防ぐ。
「く、二人がかりとは卑怯な…!」
リョウカは嘲笑した。
「はっ、卑怯だと?今更お前が言えたことか?」
「黙れ!」
メナーディは刃を押し返した。同時にエナジーを発動する。
『バーストボム!』
メナーディはリョウカの足元で爆発を起こした。
リョウカは跳び上がり、上空からエナジーで反撃した。
『フレアウォル!』
放射状の炎はメナーディには当たらず、爆発を相殺させるのみだった。
メナーディの視界を再び煙が奪った。
「くそ、またか!」
煙の中からまた飛び出してくる、予想はできていた。
煙から飛び出してくるにしても前からしか来ないはず、ならばその瞬間を狙うのみ。
メナーディの予想通りリョウカは煙の中から飛び出した。
「かかったな、くらえ、デスサイズ!」
大鎌の刃が妖しい赤に輝いた。
メナーディの持つ大鎌はジェラルドの持つアサッシンソードと同様に死神の力が宿っていた。取り分け彼女の鎌はその力が大きく、人間であろうが魔物であろうが一瞬にして死に至らしめることができる。
そんな文字通り必殺の刃がリョウカに振り降ろされた。
メナーディの中ではリョウカが体を切断され、絶命する情景が見えていた。
しかし、実際にはメナーディの大鎌は風を切る音を立てるのみで手応えが全くなかった。リョウカは確かに目の前にいる。
メナーディが驚いていると、リョウカの残像が彼女の動いた軌跡を描くようにメナーディの背後まで伸びていった。
メナーディが肩越しに後ろを見ると、リョウカが今まさに抜刀しようとしている。
「転影刃…!」
リョウカは抜刀し、斬り上げた。
「ぐわあああ!」
メナーディは背中から血を噴き上げた。最早それは致命傷であるように思えた。
しかし、メナーディはうつ伏せに倒れながらもまだ息があった。
「僅かに急所を外したか…」
リョウカは刀の切っ先をメナーディの首筋に突き付けた。
「このままとどめを刺してやってもいいが、まあ、放っておいても死ぬだろう…」
リョウカは刀を払って鞘に納めた。
「ふ…、バカめ。とどめを刺さなかった事、必ず後悔させてやる…」
負け惜しみだと、リョウカは取り合わなかった。
『ブラストヴァルカン!』
四本もの巨大な火柱が噴き上げられた。
ロビンとサテュロスの戦いは苛烈を極めており、二人のぶつかり合いは大地が揺れるようだった。
『マザーガイア!』
ロビンもエナジーで応戦した。しかし、サテュロスのエナジーの方が強く、大地のエネルギーは火柱に押し負けてしまった。
「くそ!」
ロビンは横に飛び込んだ。火柱はロビンの横を過ぎていき、火柱に包まれる事はなかった。
『スパイア!』
ロビンは大きな土の槍を飛ばした。
『イラプトヴァルカン!』
サテュロスは火柱で槍を砕いた。
ロビンは切っ先をサテュロスに向けてまっすぐに駆けた。
『ファイアクロス!』
サテュロスは迎撃すべく、無数の火の玉を放った。その全てがロビンめがけて飛んでいく。
『ガイア!』
大地のエネルギーをバリアのように利用した。火の玉はその中で次々に燃え尽きていく。
『マザーガイア!』
ロビンは更なるエネルギーを噴き上げた。
「うお!」
サテュロスは僅かに手を大地のエネルギーに巻き込まれ、思わず剣を手放してしまった。
サテュロスの剣は大地のエネルギーに包まれ、跡形もなく砕けていった。
「これで、終わりだ!サテュロス!」
ロビンは大きなエナジーを剣に込めた。
剣がエナジーに呼応し、脈動を始めると、ロビンの上空に巨大な剣が現れる。
「おおおお!」
ロビンは叫びながらサテュロス目掛けて走り、数歩手前で跳び上がった。
落下の勢いを利用してロビンは一気に剣を振るった。
『ラグナロック!』
巨大な剣はサテュロスに命中した。そして剣そのものが大爆発を起こした。
「うおおお!」
サテュロスはなす術なく爆発の中で叫び声を上げるのみだった。
作品名:黄金の太陽THE LEGEND OF SOL 7 作家名:綾田宗