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黄金の太陽THE LEGEND OF SOL 7

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 メナーディが大鎌を引こうとした時、サテュロスとメナーディに衝撃が走った。
「ぐお!」
「う!」
 それはエナジーの波動であった。衝撃でサテュロス達は後ろに下がった。
 ガルシアはサテュロス達が衝撃を受けた方向に目を向けた。
「ロビン…、お前達」
 こちらに手を向けたロビンが中心に立ちその両脇に仲間達が歩いてくる。
「リョウカ!?」
 シンとリョウカの視線が交わる。
「くっ、貴様ら我々を邪魔しにきおったか!」
「ガルシア、お前達が逆らっているからこんな事になったのだ!」
 サテュロス達はロビンにやられ、痛む箇所を押さえている。
「俺は、ロビン達の助けなどいらない」
 ガルシアは震えながらも立ち上がった。
「今、サテュロス達を片付けた後、灯台の灯火を拝ませてや…る」
 ガルシアは再び膝を付いた。シンが近づいて、ガルシアに肩を貸した。
「サテュロス、メナーディ…」
 ロビンの青い瞳がサテュロス達を睨んだ。
「ガルシアを傷付けた貴様達を、オレは許しはしない」
 ロビンは背中の剣を抜きはなった。
「お前ら、何でそこまで痛めつけた。仲間じゃねえのかよ!」
 ジェラルドは怒鳴った。
「ふん、さっきも言ったとおり、ガルシアはもう用済みだ」
 ロビンは攻撃しようとした。
「おっと動くな。まだこちらにはシバがいるのだからな」
 メナーディは大鎌をシバに向けた。
「お前達、シバを取り戻しに来たのだろ?そのシバに何かあったら困るのではないか?」
 ロビンは歯噛みをした。
「卑怯ですよ!」
「メナーディ、あなたは心の底から腐ってますわ!」
 イワン、メアリィは叫んだ。
「おほほ、何とでもお言い」
 ふと、サテュロスは何か思い出したようにニヤリとした。
「そうだな、場合によってはシバを傷つけぬ…」
 メナーディは驚いた。
「何を言うのだ、サテュロス?」
 サテュロスは構わず話した。
「シバ、私が言っていたヘスペリアに関する杖を持つ者とはこ奴らの事か?」
「ヘスペリアの…?」
 シバはよく分かっていないようだった。
「杖を持ち我らを追う者という貴様の予言の者はこ奴らか訊いているのだ、分からぬならば調べろ!」
 サテュロスに怒鳴られ、シバは怯えながらエナジーを発動した。
『プリディクト』
 予知のエナジーでシバの心にあらゆる物が流れ込んでくる。
 ロビン達のこれまでの行動とこれからの未来さえも見える。その中で一人、どこかの町で立派な髭を生やした男から杖を貰っている情景が見えた。
 シバは指差した。
「あの金髪の男の子から、杖の気配を感じます…」
 シバが指したのはイワンである。
「ふ、いい子だ…」
 サテュロスはニヤリと笑う。
「イワンと言ったな、どうやら貴様が杖を持っているようだ。それを渡せばシバの事は許そう」
 イワンの持つ杖はシャーマンの杖のただ一つである。故にイワンにはサテュロスの要求は理解でき、杖を取り出した。
「渡せばシバは助かるんですよね?」
「ああ、約束は守るよ…」
 イワンはサテュロスに歩み寄り、杖を手渡した。
「では杖はガルシア、お前が持っていろ」
 ガルシアは自らエナジーを使い、回復していた。
「なぜ俺が」
「お前はもう私を裏切れぬからだ。忘れるな、貴様などいつでも殺せるのだ」
 ガルシアは歯噛みをし、杖を受け取った。
「よし、ではメナーディ、武器を下ろせ」
 メナーディはシバに向けた大鎌を下ろした。
 その瞬間を見計らってロビンはシバに叫んだ。
「シバ、早くこっちへ!」
 するとガルシアはシバの前に立ちはだかった。
「シバは渡せない。シバは俺が船まで連れて行く」
 ガルシアはシバの手を握り、灯台を降りようとした。
「どこへ行くつもりだ、シバ、ガルシア?」
「シバを許すのだろ?だったらもうここにいさせる理由はないはず」
 サテュロスは静かに笑った。
「誤解しないでほしい、確かに傷つけぬとは言った。しかし、解放するとは言っていないぞ」
 ガルシアは絶句した。
「お前ら、はめやがったな!」
 ジェラルドは怒鳴った。
「ほほ、お前達が勝手に思い込んだだけのことよ」
 メナーディは嘲笑った。
「それにお前達はもうシバを助けることはできない」
「どういう意味だ?」
 ロビンはサテュロスを睨んだ。
「死んでいく人間が助けられるはずもなかろう」
 リョウカは不敵に笑う。
「ふん、私達を倒そうと言うらしいな」
「ふざけるな、それはこっちの台詞だ!」
 ジェラルドは大剣を取った。
「面白い、やってみるがいい。そしてあの世で自身の愚かさを悔やみつつ、灯台が灯るのを見ているのだ!」
「サテュロス、メナーディ!お前達はこのオレが必ず倒す!」
 ロビンは叫び、剣を構え、サテュロス達に立ち向かった。
 ついに灯台をめぐる血戦が始まった。
『イラプトヴァルカン!』
『マザーガイア!』
 火柱と大地のエネルギーがぶつかり合った。それはさながら火山の噴火のように噴き上がり、互いに打ち消しあった。
 相殺され、起きた爆発を皮切りにロビンとサテュロスは打ち合った。
 刃がぶつかり合う度に火花が散り、鋭い金属音を立てる。ロビンが斜めに振り下ろすとサテュロスは後ろに下がり、また、サテュロスが剣を突き出すとロビンはそれを弾き返した。
 そうして生まれた隙を逃さずにロビンは追撃した。
 突き出された剣をサテュロスは首を捻ってかわしたが、僅かに頬を掠めた。サテュロスは苦い顔をする。
 サテュロスは剣にエナジーを込め、反撃した。サテュロスの剣が光輝いている。
「ヒートフラッシュ!」
 閃光が込められた剣で斬りつける事で傷を与えつつ相手の視界を奪う剣技である。
 しかし、ロビンは身を屈ませる事でそれをかわし、床に手をついた。
『スパイア!』
 最早ロビンの得意技となった『スパイア』の応用技である。
 大振りの攻撃をかわされた事により隙だらけとなったサテュロスは避けられるはずもなく、土の槍を受けた。しかし、串刺しになることはなく後方に吹き飛ばされるだけだった。
 サテュロスはとっさに体と土の槍の間に剣を挟み込んでいた。
『スパイアクレイ!』
 サテュロスとの距離が若干開き、ロビンは土の槍の雨で攻撃した。
『ファイアクロス!』
 サテュロスは体勢を整え、無数の炎の玉で土の槍を全て焼き落とした。
 残った火の玉がロビンに向かって飛んだ。ロビンはそれを軽い足さばきと素早い動きで全て避けた。
 両者の間に距離が開き、お互いの視線が絡み合った。
 随分強くなった、とサテュロスは敵ながら思った。
 マーキュリー灯台で対峙した時には皆で手を組まなければとても戦えないような半人前の戦士だったというのに、今ではサテュロスと互角以上の勝負ができるようになっている。
 たったの数ヶ月という短期間で、一体何がロビンをあれほどまでに成長させたのか。
「あの三下がここまで強くなるとは、驚きだな」
 サテュロスは言った、笑みを携えて。
「言ったはずだ、お前は必ず倒すとな」
 ロビンの目つきがまるで違っていた。彼の怒りを示すかのようにつり上がっている。
「ふん、まだ私に勝つつもりでいるのか」
「ぬかせ!」
 二人は再びぶつかり合った。
 大鎌が力任せに振りおろされた。