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黄金の太陽THE LEGEND OF SOL 7

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 実際、魔龍やドラゴンと名の付くものの強靭な肉体を斬れるのはあまくもの剣を除いて他になかった。故に、リョウカの考えはほとんど当たっている。
『ラグナロック!』
 巨大な剣の引き起こす爆発にユニオンドラゴンは吹き飛ばされた。
 ロビンの中で絶え間なく湧き上がるエナジーがユニオンドラゴンを圧倒していた。
 灯台が灯った事によってユニオンドラゴンは回復することができたが、それ以上に地のエナジストであるロビンは灯台の力により多大なエナジーと力を得ることとなった。
 ユニオンドラゴンにとってサテュロスが灯台を灯した事は結果的に仇となった。
『ラグナロック!』
 通算六度目の『ラグナロック』を受け、ユニオンドラゴンは体中から血を流し倒れた。
 何度放ってもロビンのエナジーはなくならず、疲れの色もない。この血戦も終わりを迎えようとしていた。
「サテュロス、メナーディ。そろそろ終わりにしてやろう」
 ロビンはとどめを刺すべく、最後のエナジーを発動しようとした。
「グ、グアアアア!」
 ユニオンドラゴンは雄叫びを上げた。ロビンは驚き、エナジーを途切れさせてしまった。
 隙を突いてユニオンドラゴンは上空に空高く飛び上がった。
「あいつ、逃げる気か!?」
 ジェラルドは言った。
 いや、違うロビンは思った。日の光が眩しく、よく見えないが、ロビンは目の前に手をかざし、そして目を細めて上空を見た。
 上空でユニオンドラゴンが何かしている。口からヴェスタを吐き出し、それを身に纏っている。
 やがて、ユニオンドラゴンそのものがヴェスタの塊となり、灯台目掛けて落下し始めた。
「まさか!?」
 ロビンは愕然とした。 ユニオンドラゴンはロビンに勝てないと悟り、灯台ごとロビン達を破壊するつもりらしい。そんな事をすれば二度と錬金術が復活しなくなる。そんな考えはユニオンドラゴンにはなかった。
 ただ目の前の敵を倒す。それだけがユニオンドラゴンを動かしていた。
 ユニオンドラゴンはゆっくりと灯台へ落下している。重量のある体にヴェスタを纏い、落下の軌跡にヴェスタを散らしながら着実に向かってきている。
 マッシブオービット、そんな名が相応しい、遙か彼方宇宙より降り注ぐ隕石のような姿である。
 ユニオンドラゴンはもうすぐそこまで迫っている。形勢逆転が転じて再びロビン達に危機が迫っていた。
「くそ!オレがもっと早くにとどめを刺していれば…」
 ロビンはその場に崩れて床を殴りつけた。
「今度こそ終わりなのかよ…」
「もう、どうすることもできませんね…」
「これも、運命なのでしょうか…」
 ジェラルド達ももう諦めていた。しかし、そんな中でリョウカ一人だけがまだ諦めていなかった。
「ロビン、まだ諦めるな!前に話しただろう。イズモの昔話を」
「それがどうしたって言うんだ?」
 ロビンほぼ投げやりに訊ねた。
「その話は本当だったんだ。そして私の考えが正しければ、そのガイアの剣こそが伝説のあまくもの剣なんだ」
 リョウカは続けた。
「どんな剣でも斬れなかったのにその剣であのドラゴンを斬ることができた。それが何よりの証拠。ロビン、剣に気持ちを込めろ、きっと奴を倒せる何かがあるはずだ!」
「奴を倒す何か?」
 ユニオンドラゴンはすぐそこまで迫っている。ロビンはリョウカの言葉を信じることにした。
「分かった。やってみよう」
 どの道これで駄目ならば死あるのみだ。と、やれるだけやってみようとロビンは思った。
 ロビンは落下しつつあるユニオンドラゴンを見据えて剣を構えた。
 目を閉じ、心を集中して、リョウカに言われたとおりガイアの剣に気持ちを込めた。
 次第にガイアの剣から何かがロビンの心に語りかけてくる。
 夢でも見ているかのように真っ暗な空間に鮮やかな映像が写り始めた。
 それは剣に宿った大昔の持ち主の記憶だった。
 目の前には大きな龍がいる。緑色の肌に、固い鱗に包まれた龍である。
 持ち主がガイアの剣から何かを発した。それは龍を貫くと爆発を起こした。『ラグナロック』に似るが、それとは段違いの威力である。
 これにより持ち主は龍を瀕死に追い込んだ。
 映像はそこで途切れた。
 ロビンは目を開ける。
「そうか、この剣は…」
 ロビンは呟いた。大した物を自分は得たらしい、と思った。
 ユニオンドラゴンはもう目の前まで迫っていた。距離にして、10メートルを切ったか。
 ロビンは慌てない、ユニオンドラゴンを倒すであろう剣に秘められた力はもう既にロビンの心に響きわたっている。
 ロビンはガイアの剣を振り上げた。ロビンの頭上でガイアの剣が眩い光を放つ。
「うおおおおお!」
 ガイアの剣はさらに輝いた。
 龍をもその一撃で倒せる力、ガイアの剣に選ばれた者だけが使える最強の技、その名も。
「タイタニック!!」
 ユニオンドラゴンがついに灯台の端にぶつかった瞬間にロビンはガイアの剣を振り下ろした。すると、ユニオンドラゴンの頭上にユニオンドラゴンの体長を圧倒的に上回る巨大な剣が出現した。
 それは『ラグナロック』さえも軽々と超えていた。
 巨大な剣、タイタニックは大地のエネルギーを撒き散らしながらユニオンドラゴンを深く深く突き刺していった。
 やがて鍔のところまでユニオンドラゴンを突き刺すと、タイタニックが凄まじい爆発を引き起こした。
「ギヤアアアアア!」
 大地のエネルギーが散乱する、最強の名に恥じない爆発の中でユニオンドラゴンは叫び声を残し、体を砕いていった。
 爆発が収まると、巨大な剣も大地のエネルギーも全て消えていた。
 ユニオンドラゴンのいた空中に光の塊が浮かんでいた。その光は人型をなしていく。
「何故だ?」
 光の中でサテュロスが言った。腕が片方無くなっている。
「何故我々が負けた?」
 続いてメナーディが言った。こちらは両脚を失っている。
「あらゆるものが私達方が勝っていたはずなのに、負けてしまうとは…」
「ぐふ…」
 二人は息絶えた。彼らを包み込んでいた光が消えると、彼らの亡骸は遙か地上の海へと落ちていった。