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機動戦士ガンダムRS 第17話 虎の尾を踏む

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ユーピテルツヴァイは、アル・ギザのカタパルトデッキに着艦した。
そして誘導棒を手にした整備員の誘導にしたがってサオトメは、ユーピテルツヴァイをハンガーに固定させた。
固定させるとは、言ってもこの一連の動作はIMPC(Integrated Maneuver Propulsion Control=統合機動推進制御)にプログラムしてある特定の動作をパイロットが選ぶだけである。
戦闘を行ったり長時間哨戒を行い疲労がたまったパイロットに着艦などの負担を軽減するためにマン・マシーンに標準装備されているシステムである。
ただしこのシステムには、限度があり熟練パイロットの戦闘行動をデータ化し量産機にインプットさせるにはまだコンピューターのほうが着いていっていなかった。
そのため素人パイロットは、遊撃艦隊で場数を踏ませてから本艦隊に配属される手配になっていた。
 サオトメは、ユーピテルツヴァイが無事ハンガーに固定されるのを確認してからコックピットハッチを開こうとした。
しかしモニターを確認するとアル・ギザのパイロットたちがずらりと並んでいた。
サオトメは、コックピットを開きワイヤーに乗り地面に降りた。
するとパイロットたちは、サオトメが降りると一斉に敬礼した。
サオトメも敬礼を返した。
 そしてサオトメとパイロットたちは、敬礼をやめた。
「俺は、ドゴス・ギアに戻ってこれからの作戦を練る」
 そういって再びサオトメは、敬礼した。
パイロットたちも敬礼を返した。
 サオトメは、ジープでドゴス・ギアに帰っていった。

                                    ※

 ドゴス・ギアに戻ったサオトメはブリーフィングルームでシグマン大尉、サウス中尉とブライアン艦長とともにアフリカ地図を見ながらアーガマもどきの次の行動を予想した。
「3日前から軍のほうでは、キンバライト基地を攻略するため戦力を補充しているらしい」
ブライアン艦長の説明にサオトメ、シグマン大尉とサウス中尉が驚いた。
「地球軍がガンダムを開発したことにひどく本社は、驚いているらしい。
そのため駐留部隊に敵基地の攻略を急がしているらしい」
 ブライアン艦長が言う「本社」とは、コロニー軍地球基地の中で最大を誇るジャブローのことである。
「アフリカ共同体は、元々コロニー寄りだが南アフリカ統一機構が必死の抵抗で何とか防衛している状況だ。
これを打破するためにも虎の排除は、必須なのだろう」
 ブライアン艦長は、コロニー軍の戦略を話した。
「あの船は、ミノフスキークラフトを搭載していないから大気圏内ではそう高度は取れないはずだ」
 サオトメがアーガマもどきの性能を推測した。
「山脈が越えられないなら後は、ビクトリア基地で補給をし太平洋に出るしかないですね」
 シグマン大尉がアーガマもどきの航路を予想した。
「補給路の確保無しに一気にいける距離では、ありませんね」
 サウス中尉が補給問題を言った。
それを聞くとサオトメが難しい表情をした。
「確かキンバライト基地近くにタッシルという町があったな」
 サオトメが不意にそんなことを言った。
「ああ」
 ブライアン艦長がうなずいた。
「虎の尾を踏むか」
 サオトメが決心したように言った。

                                    ※

 レセップスの作戦会議室ではバルトフェルド大佐、ラミアス艦長、バジルール副艦長、フラガ少佐とクルーゼ大佐が今後の方針について議論していた。
「君たちのアラスカの目標は、アラスカだよね?」
「はい」
 バルトフェルド大佐の質問にラミアス艦長が答えた。
「それは、コロニー軍の勢力圏と言ったってこんな土地だ。
沙漠中に軍隊が居るわけじゃなが。
それは、お互い様だ。
それに3日前からンジャメナ基地に戦力が集中しているらしい」
「ンジャメナ基地が?」
「3日前?」
 その言葉にラミアス艦長とバジルール副艦長が驚いた。
「やつらの最終目標は、ビクトリア基地だ。
そのためにもキンバライト基地を早急に攻略したいんだろう」
 バルトフェルド大佐がコロニー軍の考えを推測した。
「アークエンジェルは、大気圏内ではどうなんだ?」
 バルトフェルド大佐がラミアス艦長に質問した。
「そう高度は、取れません」
 バジルール副艦長が答えた。
「山脈が越えられないなら後は、ここで補給を行い頑張って太平洋へ出るしかない。
だが補給量もたかが知れてるから後は、君たちで自力で頑張るしかない」
 バルトフェルド大佐が皆に提案した。
「大洋州連合は、完全にコロニー軍の勢力圏だったはず。
赤道連合は、まだ中立ですか?」
 フラガ少佐がバルトフェルド大佐に質問した。
「おいおい、気が早いな。
もうそんなところの心配か?」
 クルーゼ大佐が驚いたようにそういった。
そしてクルーゼ大佐は、現在位置を指差した。
「ここ。
ここには、今死神がいるんだぞ」
 クルーゼ大佐が3人に説明した。
「頑張ってってそういうこと?」
 フラガ少佐は、納得した。
すなわち死神の追撃を振り切るということが前提になっている。
ラミアス艦長は、前途多難さにため息をついた。

                                    ※

「η艦隊、発進」
 η艦隊は、ブライアン艦長の命令で離床し発進した。

                                    ※

 クルーゼ大佐は、ガンダムパイロットをアークエンジェルのブリーフィングルームに集め今後の方針を話した。
「残念ながらη艦隊は、われらを追撃し大気圏突入を行った。
η艦隊は、今後バルトフェルド隊が迎撃することになるだろうがわれらもともに迎え撃つ。
無論機会があれば討ってくれてかまわんよ」
 そういうとクルーゼ大佐は、敬礼した。
5人は、敬礼で返すとクルーゼ大佐は去った。
キラ少尉、ニコル大尉とアスラン大尉はおのおの自分の仕事に戻った。
しかしイザーク大尉とディアッカ大尉は、その場にとどまった。
そのときおもむろにイザーク大尉は、顔の包帯をとり始めた。
「おい、イザーク」
 ディアッカ大尉は、心配したがそんなことはお構いなしにイザーク大尉は包帯をとった。
そこには、一生消えるはずがないだろう傷が痛々しく残っていた。
「機会があれば?」
 その憎悪に満ちた表情にディアッカ大尉は、恐怖に包まれ何も言えず動けなくなってしまった。
「討ってやるさ。
次こそ必ず。
この俺がな」
 イザーク大尉の心は、復讐の2文字以外存在しなかった。

                                     ※

 サイ、トール、ミリアリアとカズイはアークエンジェルの食堂にいた。
「まさか沙漠に来るなんて思わなかった」
 サイは、1人愚痴った。
「仕方ないわよ。
どこに配属されるかなんて決められないんだから」
 ミリアリアが仕方なさそうに言った。
そのときフレイが来た。
フレイは、軽く皆に挨拶すると水を飲みに来た。
そのとき艦内放送が入った。