私に帰属せよ
携帯のアラームで、シャーロックは目を覚ました。
起き抜けということと、珍しく設定していたということもあったのか、アラームを止めるのに少し手間取る。それから、シャーロックは上半身を起こして暫く茫然としていた。夢を見見ていた気がするが、内容はもうほとんど思い出せない。呪いのように灰色の脳細胞に刻み込まれた言葉以外には。
『ジョン・ワトソンを失う心の準備をしておけ』
シャーロック・ホームズは暫く瞼を手で覆って、そうしてから彼の親友に会いに行くために、ベッドから立ち上がった。
それから彼の親友に再会して、一騒動が起きて、彼が「君となら滝壺に落ちてもよかったのに」とシャーロックを責め立てても、シャーロックは沈黙して、少し哀しげに微笑むしかできないのだ。
[ 私に帰属せよ ]
(それでも彼は、彼の親友を選ぶというのに。脊髄反射で)