寂しがり屋なうさぎさん
『寂しがり屋なうさぎさん』
「ん…」
ふと、声がして見ると音無が目を覚ましたみたいだった。
「よく眠れた?」
「日向…」
「ふっふっふ、音無サンの寝顔はちゃんと見物させてもらいましたよ?」
「悪趣味」
「なんとでも言え」
ベッドの端に座っていた俺は音無の頬に触れ髪をさらりと避けた。
「うん、顔色はいいみたいだな」
「…もしかして日向が寝かせてくれたのか?」
「当たり前だろ、重かったんだからな」
「ははっ、悪い」
ゆっくりと身体を起こした音無は何故か俺をじっと見つめてきた。
「ん?どうした?」
「いや…あのさ、日向」
「何?」
「さっき…思ったんだが…」
「なんだよ、早く言えよ」
「えっと…だな」
音無は決心したのか俺の手を取り握ると言った。
「っ…俺の恋人にならないか!?」
「…は?」
「だからな、俺の恋人になってほしんだ」
「ごめん音無…言ってる意味わかんない…」
「恋人って言ったら意味は一つしかないだろっ」
「いやいやいや!お前マジでどうしたんだよ!?どっかに頭打ったのか!?」
「打ってねーよ!俺は日向を好きになっちまったんだッ!この気持ちは抑えられない…っ」
「マジかよ…」
突然の告白に頭がついていかない。音無の事は好きだがそういう意味かって聞かれたら悩みどころだ。でもコイツはそういう意味で好きだと言ってる。
「俺にはお前しか居ないんだっ!これ以上大切な物を失いたくない…っ」
「音無…」
「俺はお前限定でコレになったみたいだ。お前とならキスも出来るし…セックスも出来る」
「ぶはっ!!ななな…何言ってんだよ!?//」
「好きだ。俺と付き合ってくれ」
音無の真剣な目。ずっと一緒に居た俺だから分かる。コイツは本気だ。しかも今まで見てきた中で一番。
「っ…//嗚呼もう…お前なんて顔してんだよ…」
「日向…?」
「ったく、仕方ねーなぁ…音無は俺が居なきゃだめな困ったちゃんだもんな」
「っ!ああ!」
「そんな『寂しがり屋なうさぎさん』には特別に俺が傍に居てやんよ」
「ははっ、サンキュ日向」
ちゅっ、と突然頬にキスをされて一瞬にして顔が熱くなった。
「…あっ、日向可愛い」
「なっ…お前急に頬ちゅーとか聞いてねーよッ!!//」
「ぷっ、あっはは!日向可愛すぎだろっ」
「かっ…可愛い言うなっ!//ばーかばーか!音無のばーか!//」
「だめだもう…日向の何もかもが可愛く思えてくる」
「だから可愛いって言うn…わっ!」
急に腕を引っ張られ唇に柔らかいものが触れた。
「〜〜っ!?//」
「好きだよ、日向」
俺は思った。多分俺はコイツに弱い。キス一つで何もかもを許せちゃうなんて俺は思っていたよりコイツの事が好きだったようだ。
「もう…俺もだよ、ばか音無」
その時笑った音無の顔が今まで見た中で一番輝いて見えた。
fin.
作品名:寂しがり屋なうさぎさん 作家名:静香