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機動戦士ガンダムRS 第20話 穏やかな日々

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 アスランは、車の運転中追い越していく車からラクスの歌が流れているのに気づいた。
アスランは、コペルニクスの悲劇の報道とそれを受けてコロニー連邦政府のザラ大統領を犯行とする声明発表を思い出していた。
(あんな思いは、もう2度とごめんだ)
 アスランは、心の中で何があってもコロニー軍を倒そうとそう誓った。

               ※

 その日の夜ザラ大統領、ハルバートン大佐とクルーゼ中佐が高級レストランで食事と会談を行っていた。
「まずは、G兵器開発計画を承認していただきありがとうございます」
 ハルバートン大佐は、ザラ大統領に礼を言った。
「いえいえ、大佐の先見性があってのものです」
 ザラ大統領は、先見性を訴えたハルバートン大佐に礼を言った。
「しかし兵器の案件は、よいとしてパイロットはどうするのです?」
 クルーゼ中佐が2人に質問した。
「それについては、君の隊から抜くことになった。
新造艦の艦長は、こちらで決める。
そうなると君もこっちに配属されるかも知れない」
 ハルバートン大佐は、パイロットをアスランたちにしようと考えていた。
「わかりました」
 クルーゼ中佐は、了解した。

                ※

 そして現在アークエンジェルは、沙漠で補給物資の搬入作業を行っていた。
キラ少尉は、ストライクガンダムのコックピット内でフェイズシフト装甲の調整を行っていた。
そこにアスラン大尉が来た。
アスラン大尉は、コックピット内をのぞいた。
「何をしてるんだ?」
 アスランがキラに声をかけた。
「フェイズシフトの調整。
このフェイズシフトは、常時バッテリーのエネルギーを消費するのがネックだからそこを調整できないかと思ったんだけどOSと直接フェイズシフトへ流れる電流の強さが直結してるからOSの書き換え時が大きな隙になるのが問題なんだよね」
 キラは、アスランにヴァリアブルフェイズシフトの問題を説明した。
「じゃあ自動でフェイズシフトへ流れる電流の強さを変えられるOSは、作れないのか?」
 アスランは、キラに提案した。
「できるかもしれないけど手伝って」
 キラは、アスランにお願いした。
「今の会話は、なかったことにしてくれ」
 アスランは、昔キラと一緒に共同で授業課題に取り組んだことあった。
しかし途中からキラは、投げ出し結局アスラン1人が2人分の作業を行ったことがあった。
今回もその二の舞になるとアスランは、感じた。
アスランは、断ってその場を離れた。
「大丈夫だって。
今回は、投げ出さないから」
 キラもなぜアスランが断ったのかわかりそういいながらコックピットから出てアスランを追った。
「お前の主張は、信じられない」
 アスランは、ずんずんと歩いていった。

                ※

 バルトフェルド大佐、クルーゼ大佐、フラガ少佐、ラミアス艦長にバジルール副艦長は地図を広げ死神との決着場所について話し合っていた。
「このあたりは、廃坑の空洞だらけだ。
こっちには、僕らが仕掛けた地雷原がある。
戦場にしようというならこの辺だろう。
向こうもそう考えてくるだろう。
せっかく仕掛けた地雷を使わない手は、ない」
 バルトフェルド大佐は、決着場所にふさわしい場所を指差した。
「本当にそれでいいのか?
俺達は、大丈夫として大佐の戦力だと被害はかなり出ますよ」
 クルーゼ大佐が指摘した。
確かにキンバライト基地の戦力は、バクゥを中心とした陸上戦力だった。
そのため地雷を使った場合戦力の大半が失われることになる。
「僕も部下を殺す作戦は、反対だ。
しかし今は、君たちを無事にアラスカに向かわせるのが僕の使命だ。
部下たちもそれを理解してわかってくれている」
 バルトフェルド大佐の心境は、やはり複雑だった。
「分かった。
艦長?」
 フラガ少佐がバルトフェルド大佐と部下の覚悟がわかった。
そしてラミアス艦長に聞いた。
「分かりました。
では、なんとしてでもサオトメの追撃を振り切って見せます」
 4人は、バルトフェルド大佐に敬礼した。

             ※

 アークエンジェルのモビルスーツデッキではトール二等兵がイザーク大尉、ノイマン少尉、カズイ二等兵とミリアリア二等兵に見守られながらスカイグラスパーの訓練を繰り返していた。
そのかいあって最初のころよりかなり腕前が上がっていた。
「すごいじゃない。
SSSだって」
 ミリアリア二等兵が賞賛の声を上げた。
「当たり前だ。
逆に腕が上がってくれなければ邪魔なだけだ」
 しかしイザーク大尉は、冷たくそういってスカイグラスパー2号機のほうへ歩いていった。
「何よ」
 ミリアリア二等兵は、憤慨していた。
「彼なりに相手を気遣っているのさ」
 ノイマン少尉が説明した。
「あいつは、結構他人を見下したり嫉妬したりするけど本当は仲間や部下思いの優しいやつなのさ」
 ノイマン少尉がイザーク大尉の性格を説明した。
「おい」
 イザーク大尉は、スカイグラスパー2号機の整備を行っていた整備員に声をかけた。
「2号機は、すぐにでも発進できるようにしておけ。
次の戦いは、激戦が予想されるからな」
「了解です」
 整備員は、そういいイザーク大尉に敬礼した。
イザーク大尉は、その場を離れた。

               ※

 サオトメは、自室で新しい装甲材質についてのデータをまとめていた。
「失礼します」
「入れ」
 そこにサウス中尉が入ってきた。
「ンジャメナ基地から援軍が来ました」
 サオトメは、ンジャメナ基地に今回の作戦への援軍を要請していた。
「それは、何なんですか?」
 サウス中尉は、サオトメの前にあったノートパソコンが気になった。
「新しい装甲材質だ。
サイコ・マルチプル・コントラクション・アーマーといって装甲に電子機器の機能を持つチップを鋳込んんでいるがここにもサイコミュの基礎機能を持つコンピューター・チップを金属粒子レベルで鋳込むことでニュータイプ専用機を大幅に性能アップさせることができる画期的な装甲だ。
これを行えば性能向上のため機体を大型しそれに伴う設備も大型させそれらの維持費に莫大な予算を取られるがこのシステムであればそれを解消することができる」
 サオトメは、先見性を見ていた。
「そうなんですか」
 サウス中尉は、半分理解できずに聞き流していた。
「でもそんなにすごいものでしたらきっと採用されるでしょう」
 サウス中尉は、サオトメの技術が採用されるだろうと言った。
「俺みたいな素人が書いた落書きだよ。
門前払いを受けるのが目に見えている」
 サオトメは、笑いながらそういった。

                 ※

 一応サオトメの落書きは、ンジャメナ基地からルナツーのアナハイム本社へと送られた。
「これは、すごい」
 しかしサオトメの予想に反し技術者は、賞賛の声を上げた。
「すぐにカイザーガンダムに採用しよう」
 カイザーガンダムとは、コロニー軍が地球軍との戦争のために用意した決戦兵器であった。
しかし開発には、前途多難の問題がありその中に大型化という問題があった。