機動戦士ガンダムRS 第22話 紅に染まる海
η艦隊は、アーガマもどきを追って沙漠を進行していた。
「海です」
ベルナルド少尉が報告した。
ブリッジからは、岩石や砂の景色から打って変わって見渡す限りの水の景色に変わった。
「紅海です」
ベルナルド少尉が再び報告した。
皆は、その予想以上の大きさに目を奪われていた。
船体下には、バンドウイルカの群れが現れた。
イルカは、好奇心旺盛の動物のためおそらくη艦隊の艦に興味を持ったのだろう。
「少しの間なら交代でデッキに出ることを許可する。
艦内にもそう伝えろ」
ブライアン艦長が命令した。
その命令にブリッジに喜びが走った。
ブライアン艦長は、第1対潜室と第2対潜室に通信を入れた。
「対潜室、水中カメラとソナーはどうなっている?」
コロニー軍の軍艦には、標準で第1対潜室と第2対潜室が存在する。
第1対潜室とは、全周囲水中用カメラを水中にいれ「目」で対潜監視を行う。
第2対潜室とは、ソナーによる「耳」で対潜監視を行う。
そのため第2対潜室は、外から余計な音が入らないように防音壁が入っている。
「こちら第1対潜室。
水中カメラの入水を確認。
映像良好」
第1対潜室から問題ないという報告があった。
「こちら第2対潜室。
パッシブ・ソナーの感度よし」
第2対潜室からも問題ないという報告があった。
※
サオトメは、自室で麦わら帽子を編んでいた。
サオトメは、手先が器用でこのようなことを結構やっている。
特に軍服のほつれを直すなどその様子は、「お母さん」という印象であるとも言われている。
※
キンバライト基地では、η艦隊と遊撃艦隊数艦隊が無傷で制圧した。
その夜キンバライト基地では、コロニー軍が宴を開いた。
「コロニー軍に」
「勝利に貢献したサオトメ少佐に」
「乾杯」
ブライアン艦長、サオトメ、シグマン大尉とサウス中尉がキンバライト基地のビッグルームで少し贅沢な宴会を開いていた。
飲んでいる酒も皆が飲んでいる酒よりも少し高級なものだった。
4人は、それを飲んだ。
アルコール度も高かったためサウス中尉は、咳き込んでしまった。
ブライアン艦長とシグマン大尉は、ほろ酔いになり2人とも少し出来上がった。
「でもまだ大変だな、遊撃艦隊も。
虎が居なくなったって地球軍が居なくなったわけじゃない。
キンバライト陥落の報は、すぐに地球軍全体に伝わる。
無論敵は、俺たちの目標がビクトリアだとわかっている。
そのため多数の戦力を集めているはずだ。
激戦は、避けられない」
サオトメは、相当の被害を覚悟した。
実際ビクトリア攻略作戦は、双方とも甚大な被害をこうむったが地球軍が時間稼ぎを行えたということで地球軍の判定勝ちで終わった。
「戦うことが軍の仕事だからな。
それは、仕方ない」
ブライアン艦長は、激しい消耗戦は避けられないという判断だった。
そこに部下が着て敬礼した。
「報告します。
η艦隊の発進準備が完了しました」
ブライアン艦長は、その報告にうなずいた。
「よし戻るぞ」
皆は、残った酒を飲み艦に戻った。
ブライアン艦長は、メガホンを使い艦外にいた乗員に戻るように使えた。
「η艦隊、発進」
η艦隊は、ブライアン艦長の命令で発進した。
※
就寝室では、就寝前の雑談のテーマとして「海」に話していた。
皆は、コロニー育ちであり地球の海を見るのはほとんどが初めてだった。
「それでどういうところなんですか?」
シグマン大尉は、皆から質問攻めに遭っていた。
シグマン大尉は、少し困っていた。
彼は、ハワイ攻略作戦に参加した経験を持ち海を実際見たことがあった。
そのため多くの人たちから海とは、どういうところか質問されていた。
「俺が見た海は、青かったけど紅海といわれるから赤いんじゃないか?」
赤い海は、別段特別ではなく旧オーストラリアにあるトリントン基地近くのタスマニア島西部にあるバサースト湾も赤い。
そのためシグマン大尉は、紅海が赤い海と考えていた。
「残念ながら紅海は、赤くないぞ」
その場を通りかかったサオトメが否定した。
皆は、その言葉に驚いた。
「では、何色なんですか?」
皆は、興味津々に質問した。
「それは、見てのお楽しみだ。
さあもう寝ろよ」
サオトメは、少し早く消灯した。
※
パイロットたちは、デッキに出て海を見た。
「青いな」
皆の第一印象は、それだった。
「少佐から聞いたんですが紅海は、ギリシャ語のエリュトゥラー海の直訳で赤いという謂れには諸説あるようです。
一つに昔方角を色分けして考えたため南を表す赤となった。
ヘロドトスも赤い海と南の海を交互に使ったらしいです。
またエジプトの沙漠を赤い大地と言ったことがありその大地の海という意味らしいです」
サウス中尉がサオトメの解説を話した。
「しかしあの人も色々知ってるな」
シグマン大尉は、サオトメの知識の豊富さを話した。
「あの人って戦争がなければ知識人になれたかもしれませんね」
サウス中尉の言葉にパイロットたちがうなづいた。
サオトメの知識は、それほど広く深かった。
※
ベルナル少尉は、ブライアン艦長が予想したアーガマもどきの航路を見た。
「これは、あきれものです。
インド洋のど真ん中を行くと言うのは、向こうにとっても厳しいです。
何かあった場合には、逃げ込める場所がない」
ベルナル少尉は、少しあきれていた。
「地球軍上層部が補給をよこさないと考えれば戦闘は、極力避けるべきだ。
われわれは、領土拡大戦をやっているわけではないんだ。
海洋の真ん中は、一番手薄だ。
あとは、運だな」
ブライアン艦長の言うとおり海洋の真ん中は、コロニー軍の戦力が一番手薄だった。
※
アイリス曹長は、艦橋裏にあるデッキに出た。
ずっと艦内にいたアイリス曹長には、日差しがまぶしかった。
そこのデッキには、1人もいなく貸し切り状態だった。
彼女は、手すりに寄りかかった。
そしてバラディーヤでのデートを思い出していた。
(私のことは、眼中にないのかな?)
彼女の心配は、ケイト准尉のことだった。
ケイト准尉は、サオトメと仲がよく傍から見れば恋人にも見える。
そのためサオトメに恋心を持つアイリス曹長にとってケイト准尉は、恋敵だった。
そのとき不意にサオトメとケイト准尉が式を挙げるビジョンが思い浮かびそれを必死に払った。
直後ドアが開きサオトメが来た。
「こんなところにいたのか。
探したぞ」
サオトメが帽子を持ってアイリス曹長に近づいた。
「何かようですか?」
アイリス曹長は、ちょっととがったような聞き方をした。
「渡すものがあるのと少し話がしたくてな」
そういうとサオトメは、アイリス曹長の隣に立ち帽子を渡した。
「麦わら帽子ですか?」
アイリス曹長は、少し残念そうに言った。
「海です」
ベルナルド少尉が報告した。
ブリッジからは、岩石や砂の景色から打って変わって見渡す限りの水の景色に変わった。
「紅海です」
ベルナルド少尉が再び報告した。
皆は、その予想以上の大きさに目を奪われていた。
船体下には、バンドウイルカの群れが現れた。
イルカは、好奇心旺盛の動物のためおそらくη艦隊の艦に興味を持ったのだろう。
「少しの間なら交代でデッキに出ることを許可する。
艦内にもそう伝えろ」
ブライアン艦長が命令した。
その命令にブリッジに喜びが走った。
ブライアン艦長は、第1対潜室と第2対潜室に通信を入れた。
「対潜室、水中カメラとソナーはどうなっている?」
コロニー軍の軍艦には、標準で第1対潜室と第2対潜室が存在する。
第1対潜室とは、全周囲水中用カメラを水中にいれ「目」で対潜監視を行う。
第2対潜室とは、ソナーによる「耳」で対潜監視を行う。
そのため第2対潜室は、外から余計な音が入らないように防音壁が入っている。
「こちら第1対潜室。
水中カメラの入水を確認。
映像良好」
第1対潜室から問題ないという報告があった。
「こちら第2対潜室。
パッシブ・ソナーの感度よし」
第2対潜室からも問題ないという報告があった。
※
サオトメは、自室で麦わら帽子を編んでいた。
サオトメは、手先が器用でこのようなことを結構やっている。
特に軍服のほつれを直すなどその様子は、「お母さん」という印象であるとも言われている。
※
キンバライト基地では、η艦隊と遊撃艦隊数艦隊が無傷で制圧した。
その夜キンバライト基地では、コロニー軍が宴を開いた。
「コロニー軍に」
「勝利に貢献したサオトメ少佐に」
「乾杯」
ブライアン艦長、サオトメ、シグマン大尉とサウス中尉がキンバライト基地のビッグルームで少し贅沢な宴会を開いていた。
飲んでいる酒も皆が飲んでいる酒よりも少し高級なものだった。
4人は、それを飲んだ。
アルコール度も高かったためサウス中尉は、咳き込んでしまった。
ブライアン艦長とシグマン大尉は、ほろ酔いになり2人とも少し出来上がった。
「でもまだ大変だな、遊撃艦隊も。
虎が居なくなったって地球軍が居なくなったわけじゃない。
キンバライト陥落の報は、すぐに地球軍全体に伝わる。
無論敵は、俺たちの目標がビクトリアだとわかっている。
そのため多数の戦力を集めているはずだ。
激戦は、避けられない」
サオトメは、相当の被害を覚悟した。
実際ビクトリア攻略作戦は、双方とも甚大な被害をこうむったが地球軍が時間稼ぎを行えたということで地球軍の判定勝ちで終わった。
「戦うことが軍の仕事だからな。
それは、仕方ない」
ブライアン艦長は、激しい消耗戦は避けられないという判断だった。
そこに部下が着て敬礼した。
「報告します。
η艦隊の発進準備が完了しました」
ブライアン艦長は、その報告にうなずいた。
「よし戻るぞ」
皆は、残った酒を飲み艦に戻った。
ブライアン艦長は、メガホンを使い艦外にいた乗員に戻るように使えた。
「η艦隊、発進」
η艦隊は、ブライアン艦長の命令で発進した。
※
就寝室では、就寝前の雑談のテーマとして「海」に話していた。
皆は、コロニー育ちであり地球の海を見るのはほとんどが初めてだった。
「それでどういうところなんですか?」
シグマン大尉は、皆から質問攻めに遭っていた。
シグマン大尉は、少し困っていた。
彼は、ハワイ攻略作戦に参加した経験を持ち海を実際見たことがあった。
そのため多くの人たちから海とは、どういうところか質問されていた。
「俺が見た海は、青かったけど紅海といわれるから赤いんじゃないか?」
赤い海は、別段特別ではなく旧オーストラリアにあるトリントン基地近くのタスマニア島西部にあるバサースト湾も赤い。
そのためシグマン大尉は、紅海が赤い海と考えていた。
「残念ながら紅海は、赤くないぞ」
その場を通りかかったサオトメが否定した。
皆は、その言葉に驚いた。
「では、何色なんですか?」
皆は、興味津々に質問した。
「それは、見てのお楽しみだ。
さあもう寝ろよ」
サオトメは、少し早く消灯した。
※
パイロットたちは、デッキに出て海を見た。
「青いな」
皆の第一印象は、それだった。
「少佐から聞いたんですが紅海は、ギリシャ語のエリュトゥラー海の直訳で赤いという謂れには諸説あるようです。
一つに昔方角を色分けして考えたため南を表す赤となった。
ヘロドトスも赤い海と南の海を交互に使ったらしいです。
またエジプトの沙漠を赤い大地と言ったことがありその大地の海という意味らしいです」
サウス中尉がサオトメの解説を話した。
「しかしあの人も色々知ってるな」
シグマン大尉は、サオトメの知識の豊富さを話した。
「あの人って戦争がなければ知識人になれたかもしれませんね」
サウス中尉の言葉にパイロットたちがうなづいた。
サオトメの知識は、それほど広く深かった。
※
ベルナル少尉は、ブライアン艦長が予想したアーガマもどきの航路を見た。
「これは、あきれものです。
インド洋のど真ん中を行くと言うのは、向こうにとっても厳しいです。
何かあった場合には、逃げ込める場所がない」
ベルナル少尉は、少しあきれていた。
「地球軍上層部が補給をよこさないと考えれば戦闘は、極力避けるべきだ。
われわれは、領土拡大戦をやっているわけではないんだ。
海洋の真ん中は、一番手薄だ。
あとは、運だな」
ブライアン艦長の言うとおり海洋の真ん中は、コロニー軍の戦力が一番手薄だった。
※
アイリス曹長は、艦橋裏にあるデッキに出た。
ずっと艦内にいたアイリス曹長には、日差しがまぶしかった。
そこのデッキには、1人もいなく貸し切り状態だった。
彼女は、手すりに寄りかかった。
そしてバラディーヤでのデートを思い出していた。
(私のことは、眼中にないのかな?)
彼女の心配は、ケイト准尉のことだった。
ケイト准尉は、サオトメと仲がよく傍から見れば恋人にも見える。
そのためサオトメに恋心を持つアイリス曹長にとってケイト准尉は、恋敵だった。
そのとき不意にサオトメとケイト准尉が式を挙げるビジョンが思い浮かびそれを必死に払った。
直後ドアが開きサオトメが来た。
「こんなところにいたのか。
探したぞ」
サオトメが帽子を持ってアイリス曹長に近づいた。
「何かようですか?」
アイリス曹長は、ちょっととがったような聞き方をした。
「渡すものがあるのと少し話がしたくてな」
そういうとサオトメは、アイリス曹長の隣に立ち帽子を渡した。
「麦わら帽子ですか?」
アイリス曹長は、少し残念そうに言った。
作品名:機動戦士ガンダムRS 第22話 紅に染まる海 作家名:久世秀一