おれの親友
おれには自慢の親友が居る。
おれは自分で言うのもなんだが、結構いい奴だと思う。
だからもちろん親友も一人じゃない。
でも、一番の親友が居る。
今から話すことはおれ様の一番の親友との話だ。
おれが大好きな親友の…
おれの親友
出会いは小学校。
おれの席は窓際の一番うしろ。
おれの一個前の席は1週間のほとんどが空席だった。
でも、たまに埋まる。
その席を埋めるのは、金色の髪の男の子だった。
おれだけなく、
クラス中がたまに来る金色の髪のクラスメイトに興味津々だった。
窓際、後ろから二番目。
差し込む光に照らされる金色の髪に皆が見惚れていた。
おれはその後ろの席から一番近くで光る髪を眺めることが出来た。
なんて幸運なんだとガッツポーズをしたのを覚えている。
でも、おれが本当に見惚れたのは、
ずっと窓の外を眺めているその横顔だったかもしれない。
見惚れるっていっても、別に変な意味じゃない。
綺麗なものを見たら自然と魅入っちまう。
そういう意味だ。
そう、サンジはとっても綺麗な奴なんだ。
同じ男が見惚れるんだから、それはそれは綺麗だ。
クラスの女子がくすん・・いやいやこれ以上は言えないが。
でも、サンジはいつも同じ顔をしてた。
伏し目がちで、視線が合うことなんてなくて、声もめったに聞くことがない。
表情からは今どんな気分なのか、そういうことは一切分からなかった。
喜んではいない、怒ってもいない、楽しくもない、哀しくもない。そんな感じだった。
おれはちょっと恥ずかしくて後ろの席から様子を見てただけだったんだが、
クラスメイト達はちょくちょくサンジに声をかけていた。
だが、サンジは耳が聞こえないのかと思うほどに無視をしていた。
席の周りに長居されるような時はおもむろに席を立って、どっかに行っちまう。
・・だから、聞こえてはいたんだろうけど。
でも、そんな態度にクラスメイト達は徐々に遠ざかって行った。当然だろう。
おれが知る限り、会話に成功した奴はいなかったから。
それが小学校低学年。
おれとサンジの出会いだった。
おれは、最初の頃、
皆と同じよに聞こえないふりをされるのが怖くて、
サンジに話しかけることが出来なかった。
でも、もし最初の頃に勇気を出して声をかけていたら、
サンジとの思い出がもっと沢山作れたんじゃないかって・・
ちょっと後悔してる。
あいつは笑って、絶対シカトしたと思うけどなって言いやがったけど。