機動戦士ガンダムRS 第23話 マン・マシーンの恐怖
アーティ・ジブラルタル上空の宙域では遊撃艦隊第488艦隊、第3066艦隊と第1208艦隊がビクトリア基地攻略のため大気圏突入準備を行っていた。
その近くでは、護衛用の遊撃艦隊が警戒していた。
「ジブラルタルサービス。
晴、気温12、湿度45、風西北西27、バナローナ沖に低気圧警報」
遊撃艦隊の指揮官が本艦隊にアーティ・ジブラルタル周辺の天気を伝えた。
第488艦隊、第3066艦隊と第1208艦隊が大気圏突入を開始した。
※
それは、地球軍の軌道往還監視センターでも確認できた。
「エンダーバリアンクラーズ、降下アラーム。
対象、敵艦隊。
現在、ヤップ島オーバー、チョモランマルートを降下中」
オペレーターが報告した。
「やれやれ、アラームの休まる間もない」
司令官は、ここ最近アラームを聞かない日がなかった。
「ジブラルタル便ですか?
あのルートでは、どうにもなりません。
くそ、こっちに制空権がないと思って」
副官は、地球軍が制空権がないことをいいことに次々と戦力を大気圏内に突入していることを悔しがった。
「やはり近々コロニー軍が大規模作戦を発動すると言う噂は、噂だけではないようだな」
司令官は、コロニー軍の大規模作戦を半信半疑であったがここ最近の大気圏内への戦力増加によってそれが現実味を増してきた。
「パナマですか?」
副官は、コロニー軍の攻撃目標を聞いた。
「奴等は、我等の宇宙港を全て奪わねば落ち着かんのだろうよ。
カオシュンが陥落し残るは、パナマとビクトリアだ。
だがパナマもビクトリアも落とさせんわ」
司令官の意志は、並々ならぬものだった。
※
第488艦隊、第3066艦隊と第1208艦隊は巨大なブースターでゆっくり大気圏に突入していた。
※
ドゴス・ギアのブリッジではサオトメ、シグマン大尉とブライアン艦長が敵の正体について話していた。
「やはり潜水母艦か」
ブライアン艦長は、2人の答えに納得した。
「ヘブンズベースからでは、いくらなんでも無理があります。
こちらも動いていますからギリギリ見つけたとしても帰れませんから」
シグマン大尉の説明に2人は、うなづいた。
「そうなると問題は、母艦の位置ですね。
ここで見逃したら許も子もないですから」
敵艦載機を駆逐するには、古来より敵母艦を沈めるのが得策だといわれていた。
逆に敵母艦を沈めないと艦載機を補充させる時間を作り自軍を不利に陥らせる可能性もあった。
しかしソナーがパッシブ・ソナーだと敵を見つけるのは、水中カメラがあったとしても隠密性の高い潜水艦を見つけるのは非常に困難である。
「もうひとつの問題は、迎撃方法だな。
こちらは、水中にもビームが届くがそんな芸当を行えば地球軍が疑問に思うのは必須だ。
かといってサオトメにモビルスーツを全滅して潜水母艦も沈めてもらうというのは、依存しきっている」
ブライアン艦長がせめて潜水母艦は、ユーピテルでしとめようと考えていた。
そのためユーピテルのユーピテル・バズーカと4連グレネードの弾頭は、対潜用のものに換装する作業が行われていた。
サオトメがインド洋の海域地図を見た。
「潜水艦を見つけるとなるとまるでインド洋でドジョウを探すようなものだな」
サオトメは、潜水母艦の隠密性からの発見の困難さをドジョウを探すことにたとえた。
「まったくだ」
ブライアン艦長がサオトメの発言に納得した。
※
アークエンジェルの下士官室では、サイが洗面所で濡れたタオルを絞っていた。
ベッドでは、フレイが気持ち悪そうに横になってうなっていた。
フレイは、艦酔いになってしまった。
「気持ち悪い」
サイは、そんなフレイの額に先の絞ったタオルを乗せた。
「気持ちいい」
フレイの表情が少し和らいだ。
「アークエンジェルの乗員は、ともかく何で皆は平気なの?」
フレイは、サイに質問した。
艦酔いになったのは、フレイだけだった。
「酔うほど揺れてるとは、思わないけど」
サイは、アークエンジェルが揺れているとは思えなかった。
「揺れてるわよ」
フレイが反論した。
「ミリィに来てもらう?
ミリィだったら同じ女性なんだし俺より色々できると思うし」
サイは、同じ女性であるミリアリアを呼ぼうかと提案した。
「いい。
サイが傍に居てくれればいいの」
フレイは、サイの手に自分の手を載せ言った。
「わかった」
サイは、そういわれて内心とてもうれしかった。
「なんかジュースみたいの飲みたい」
フレイは、唐突にサイに要求した。
「分かった。
ちょっと待ってて」
サイは、その場を去ろうとした。
「タオルももうぬるい」
サイは、タオルをとるとまたぬらしに行った。
※
アークエンジェルの食堂ではキラ、カズイとミリアリアが飲み物を飲んでいた。
そこには、イザーク大尉もいた。
カズイが航路地図を見ていた。
「やっぱ駄目かな」
カズイは、アークエンジェルがオーブ連合首長国に寄らないか考えていた。
「だって目的地は、アラスカだよ?
オーブへ寄るなんて遠回りになるだけだよ」
キラがその可能性を否定した。
「大体寄ってどうするの?
私達は、今軍人よ?
作戦行動中は、除隊できないって言われたじゃない」
ミリアリアが寄ったところで意味がないといった。
「親に会いたいだけだよ。
親だって僕たちが軍に入ったって聞いて絶対心配してるはずだよ。
生きてるうちに親に会っておきたいもの」
カズイがオーブに寄りたい理由を言うとキラとミリアリアは、うつむいた。
2人ともわからない話では、なかった。
「アラスカまで我慢しろ」
いきなりイザーク大尉がしゃべりはじめた。
「アラスカに到着したら両親宛の手紙をオーブに送れるように手配する。
それまで手紙を書いたりなんかして待っていろ」
イザーク大尉の話にカズイの表情が笑顔になった。
会えなくても手紙を送れるくらいならできると聞いて一安心した。
「ありがとうございます」
3人は、イザーク大尉にお礼を言った。
イザーク大尉は、ばつが悪くなったのか食堂を出て行った。
※
イザーク大尉は、慣れないことに戸惑いながら廊下をずんずん歩いていた。
「やあ、イザーク」
前方からニコル大尉が来た。
するとニコル大尉は、怪訝そうにイザーク大尉の顔を見た。
「何だ?」
あまりにもニコル大尉がじろじろ見るのでイザーク大尉は、聞いた。
「熱があるんですか?
顔が赤いですよ」
そういわれてイザーク大尉は、先のことを思い出してしまった。
「なんでもない」
イザーク大尉は、恥ずかしくなりうつむいていった。
「そうですか。
あまり無理は、しないでください。
そうでなくてもイザークは、がんばりすぎるところがありますから」
ニコル大尉は、無理をしないようにと忠告した。
「大きなお世話だ」
イザーク大尉は、そう怒鳴るとまた廊下をずんずんと歩いた。
その近くでは、護衛用の遊撃艦隊が警戒していた。
「ジブラルタルサービス。
晴、気温12、湿度45、風西北西27、バナローナ沖に低気圧警報」
遊撃艦隊の指揮官が本艦隊にアーティ・ジブラルタル周辺の天気を伝えた。
第488艦隊、第3066艦隊と第1208艦隊が大気圏突入を開始した。
※
それは、地球軍の軌道往還監視センターでも確認できた。
「エンダーバリアンクラーズ、降下アラーム。
対象、敵艦隊。
現在、ヤップ島オーバー、チョモランマルートを降下中」
オペレーターが報告した。
「やれやれ、アラームの休まる間もない」
司令官は、ここ最近アラームを聞かない日がなかった。
「ジブラルタル便ですか?
あのルートでは、どうにもなりません。
くそ、こっちに制空権がないと思って」
副官は、地球軍が制空権がないことをいいことに次々と戦力を大気圏内に突入していることを悔しがった。
「やはり近々コロニー軍が大規模作戦を発動すると言う噂は、噂だけではないようだな」
司令官は、コロニー軍の大規模作戦を半信半疑であったがここ最近の大気圏内への戦力増加によってそれが現実味を増してきた。
「パナマですか?」
副官は、コロニー軍の攻撃目標を聞いた。
「奴等は、我等の宇宙港を全て奪わねば落ち着かんのだろうよ。
カオシュンが陥落し残るは、パナマとビクトリアだ。
だがパナマもビクトリアも落とさせんわ」
司令官の意志は、並々ならぬものだった。
※
第488艦隊、第3066艦隊と第1208艦隊は巨大なブースターでゆっくり大気圏に突入していた。
※
ドゴス・ギアのブリッジではサオトメ、シグマン大尉とブライアン艦長が敵の正体について話していた。
「やはり潜水母艦か」
ブライアン艦長は、2人の答えに納得した。
「ヘブンズベースからでは、いくらなんでも無理があります。
こちらも動いていますからギリギリ見つけたとしても帰れませんから」
シグマン大尉の説明に2人は、うなづいた。
「そうなると問題は、母艦の位置ですね。
ここで見逃したら許も子もないですから」
敵艦載機を駆逐するには、古来より敵母艦を沈めるのが得策だといわれていた。
逆に敵母艦を沈めないと艦載機を補充させる時間を作り自軍を不利に陥らせる可能性もあった。
しかしソナーがパッシブ・ソナーだと敵を見つけるのは、水中カメラがあったとしても隠密性の高い潜水艦を見つけるのは非常に困難である。
「もうひとつの問題は、迎撃方法だな。
こちらは、水中にもビームが届くがそんな芸当を行えば地球軍が疑問に思うのは必須だ。
かといってサオトメにモビルスーツを全滅して潜水母艦も沈めてもらうというのは、依存しきっている」
ブライアン艦長がせめて潜水母艦は、ユーピテルでしとめようと考えていた。
そのためユーピテルのユーピテル・バズーカと4連グレネードの弾頭は、対潜用のものに換装する作業が行われていた。
サオトメがインド洋の海域地図を見た。
「潜水艦を見つけるとなるとまるでインド洋でドジョウを探すようなものだな」
サオトメは、潜水母艦の隠密性からの発見の困難さをドジョウを探すことにたとえた。
「まったくだ」
ブライアン艦長がサオトメの発言に納得した。
※
アークエンジェルの下士官室では、サイが洗面所で濡れたタオルを絞っていた。
ベッドでは、フレイが気持ち悪そうに横になってうなっていた。
フレイは、艦酔いになってしまった。
「気持ち悪い」
サイは、そんなフレイの額に先の絞ったタオルを乗せた。
「気持ちいい」
フレイの表情が少し和らいだ。
「アークエンジェルの乗員は、ともかく何で皆は平気なの?」
フレイは、サイに質問した。
艦酔いになったのは、フレイだけだった。
「酔うほど揺れてるとは、思わないけど」
サイは、アークエンジェルが揺れているとは思えなかった。
「揺れてるわよ」
フレイが反論した。
「ミリィに来てもらう?
ミリィだったら同じ女性なんだし俺より色々できると思うし」
サイは、同じ女性であるミリアリアを呼ぼうかと提案した。
「いい。
サイが傍に居てくれればいいの」
フレイは、サイの手に自分の手を載せ言った。
「わかった」
サイは、そういわれて内心とてもうれしかった。
「なんかジュースみたいの飲みたい」
フレイは、唐突にサイに要求した。
「分かった。
ちょっと待ってて」
サイは、その場を去ろうとした。
「タオルももうぬるい」
サイは、タオルをとるとまたぬらしに行った。
※
アークエンジェルの食堂ではキラ、カズイとミリアリアが飲み物を飲んでいた。
そこには、イザーク大尉もいた。
カズイが航路地図を見ていた。
「やっぱ駄目かな」
カズイは、アークエンジェルがオーブ連合首長国に寄らないか考えていた。
「だって目的地は、アラスカだよ?
オーブへ寄るなんて遠回りになるだけだよ」
キラがその可能性を否定した。
「大体寄ってどうするの?
私達は、今軍人よ?
作戦行動中は、除隊できないって言われたじゃない」
ミリアリアが寄ったところで意味がないといった。
「親に会いたいだけだよ。
親だって僕たちが軍に入ったって聞いて絶対心配してるはずだよ。
生きてるうちに親に会っておきたいもの」
カズイがオーブに寄りたい理由を言うとキラとミリアリアは、うつむいた。
2人ともわからない話では、なかった。
「アラスカまで我慢しろ」
いきなりイザーク大尉がしゃべりはじめた。
「アラスカに到着したら両親宛の手紙をオーブに送れるように手配する。
それまで手紙を書いたりなんかして待っていろ」
イザーク大尉の話にカズイの表情が笑顔になった。
会えなくても手紙を送れるくらいならできると聞いて一安心した。
「ありがとうございます」
3人は、イザーク大尉にお礼を言った。
イザーク大尉は、ばつが悪くなったのか食堂を出て行った。
※
イザーク大尉は、慣れないことに戸惑いながら廊下をずんずん歩いていた。
「やあ、イザーク」
前方からニコル大尉が来た。
するとニコル大尉は、怪訝そうにイザーク大尉の顔を見た。
「何だ?」
あまりにもニコル大尉がじろじろ見るのでイザーク大尉は、聞いた。
「熱があるんですか?
顔が赤いですよ」
そういわれてイザーク大尉は、先のことを思い出してしまった。
「なんでもない」
イザーク大尉は、恥ずかしくなりうつむいていった。
「そうですか。
あまり無理は、しないでください。
そうでなくてもイザークは、がんばりすぎるところがありますから」
ニコル大尉は、無理をしないようにと忠告した。
「大きなお世話だ」
イザーク大尉は、そう怒鳴るとまた廊下をずんずんと歩いた。
作品名:機動戦士ガンダムRS 第23話 マン・マシーンの恐怖 作家名:久世秀一