二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

桜色の告白

INDEX|1ページ/4ページ|

次のページ
 
序章



あの日の事はよく覚えている
リビングの窓から覗くロサンゼルスの薄暗い空は時間が経つにつれ、雷を帯びた雨雲に包まれていった
大きな雷音が轟いたのを合図としたのか玄関のドアが開く音が聞こえる
両親が帰ってきたのだと出迎えに走るとそこには異形の光景
玄関に倒れこんだ母さんと父さんは体のあちこちから鮮やかに黒光りする血液を無残に垂らしていた
微かに残った命を振り絞って何かを俺に伝えようとしたが、荒ぶる雷鳴によって一蹴された
やり切れない表情で息を引き取った両親の胸にはどこにでもあるようなプレーンナイフが刺さっていた
ただ一つ市販のモノと違う点は、眼を輝かせた猫のような刺繍が施されている点のみだった


「でわ私達はこれで」
「はい、遠くまでご苦労様でした」
「いえいえ、それと社長からの伝言ですが、お二人にはまず地域に慣れていただくため
高校に上がるまでは依頼の連絡はないとのことです」
そう言い残してスーツの白人は大型車のドアを閉めた
「はあ、日本かあ」
今日から自宅になる新居に眼をやって息を吐くコイツは、エメル・イージスト
長い金髪をだらだらと胸辺りまで伸ばしている
「いい国じゃないかエメル、ここは高い建物も無くて空が広い、ロサンゼルスとは一変してる」
「あ、そのエメルっての変えろよ、今日から矢畑光」
「そうだったね、まだ馴染まないけどこれから頑張るか光!」
「ああ、とりあえずこの髪と眼をどうにかしないとな」
光は生粋のアメリカ人だ、日本では浮く金髪と碧眼を気にしている
「その点僕は大丈夫だね」
「産まれが日本だもんな、羨ましい茶髪と黒眼だぜ」
「向こうでは僕が浮いてたんだからどっちもどっちでしょ」
僕たちは職業柄見た目を周囲に溶け込ませる必要がある
過去にロサンゼルスに住んでいた頃は栗色の髪を限界まで脱色して緑のカラコンをつけて過ごしていた
「それにしてもスパイ活動は一年停止かー!退屈な一年になりそうだな紅葉!」
「こ、こらスパイなんてこんな道端で言わないの」
そう、僕たちはスパイだ、三歳の時からロサンゼルスのスパイ養護施設《ドロワーズ》で教育を受けていた
僕、高波紅葉と彼、エメル・イージスト・・・矢畑光は入学式で出会ってからずっと仕事でタッグを組んでいる
何故日本に来たのかというと僕の両親が何者かに暗殺されたことが原因だ
僕は普段は温厚なのだがあの一件で職業柄なのか《復讐》の二文字が全身を駆け巡って仕方がない
そこで情報操作に長けている光が暗殺に使われたナイフを調べてくれた結果、使われている素材、技術が日本のモノと判明した
スパイに自分の感情を持ち込むのは御法度な為、施設の理事長を務めていたスパイ機関の社長が
「復讐が終わったら帰ってこい」と言ってくれた
それに巻き込まれて光もこの地に足を踏み入れたのだ
「指令はなくても調査はしていいんだよね?」
玄関に運ばれたダンボールを開封しながらふと呟く
「そりゃいいだろうけど、機関の手助け無しじゃキツくね?」
「光ならなんとかなるでしょ、頼んだよ相棒!」
「結局俺頼みかよ!!まあ今までもそうだったもんな、俺が標的の情報を洗いざらい曝け出して
紅葉が汚れ仕事専門、ったくそんな優しそうな顔して今までに何人殺ってきたのか」
ダンボールを開けながら物騒な返答をする光
「そんな生々しい表現しないでよ・・・ほんの数百人だって・・・」
「・・・・・・・お前、腹黒すぎ」
そんなこんなで僕たちの新生活は始まった

作品名:桜色の告白 作家名:世界観