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St. Valentine's day

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ヤマケンくんとお付き合い後の雫ちゃんを描いてみました(高校2年生時代)です。




冬の寒さがだんだんと無くなりかけてきた頃、最近俺達のデートと言えばもっぱら図書館だ。
彼女と付き合うまでこんなに図書館に入り浸る事なんてまるでなかったが、彼女『水谷 雫』はオレの友人たちからガリ勉と愛称を付けられるほどの勉強家。世間ではSt. Valentine's dayと言う恋人がいる人間なら意識せずにはいられないイベントが近づいてるにも関わらずその勉強家っぷりにはむしろ拍車がかかっていた。
同じ机には彼女の高校の友人、バカ女・佐々原・ハル・メガネ・オレの妹とオレの高校の友人(?)マーボ・ジョージ・トミオがいる。

『ちょっと、ウルサイから・・・(怒)』
彼女とオレが黙々と勉強に励んでいる間、残りの7人はギャーギャー騒いで彼女をついにキレさせた。

シーン・・・・・
バカ女『ミッティから怒られたじゃないですか!!話しかけないでください!!』
このバカ女は、彼女以上に勉強しなきゃいけない立場なのにも関わらずオレの友人たちから茶化されて、一々応戦して全く勉強をしていない。

『お前ら、ここは仮にも図書館なんだから静かにしろ。騒ぎたいなら他行け』
マーボ『なんだよ~、ってか俺らはテストなんてないんだからヤマケンは勉強しなくて良いじゃん!!それより今はヴァレンタインだろ!!』
『バカかお前ら!!今年は仮にも受験生だろうが!少しは勉強しろ』
ジョージ『ってかヴァレンタインの時って松楊はテスト中だろ?ヤマケンはどうすんの?今年は何個チョコを貰うつもりだよ?』
ドキッとした。が、これは良い機会なのかもしれない。
今まで本気で付き合った事がないオレは、毎年ヴァレンタインには約30個は近くのチョコを受け取っていた。
だが、今年は彼女がいる。
互いの両親からも認めてもらい、自分の考え方や人生を大きく変えた彼女が。ここで例年通り他の女からチョコを受け取るなんて考えられなかったので、今年は彼女から貰えないとなると『0個』と言うことになる。
だが、彼女の高校では当日はテストの丁度中日で貰えるなんて思えない。
だけど、彼氏と言う立場からすると当日でなくても欲しい。
ここは他の女から受け取らないと意思表示をして彼女にヴァレンタインを意識させるチャンスだ!!
『バカ!真剣に付き合ってる女がいるのに、他から貰うわけないだろうが!!』
雫『えっ?!・・・ありがとう。』
『雫以外にはもらわないから』
雫『分かった。じゃ、当日は無理だと思うけど週末には用意しておくから』
『じゃ、日曜はオレがそっちに行こうか?』
雫『だと、助かる。土曜日に作るから、日曜は食べに来てね』・・・・・

マーボ『なんか、マジ付き合ってるの実感したわ。今までヤマケンが他の女からチョコを受け取らないなんてなかったもんな』
ジョージ『ってかさ、実際どうなの?マジで結婚まで考えてんの?』
雫『そ、そんなの考えてないワケないでしょう?』
バカ女『そうですよ!!じゃないと、ミッティが希望の学部をを変更するわけないじゃないですか!!』
『はっ?何の話?』
雫『夏目さん!!それは賢二君にはまだ話してないから・・・』
『雫、どう言うこと?』
気不味い雰囲気が俺達を包んでいく。彼女が若干青ざめながらも俺の顔を見ながら諦めたように話しだした。
雫『賢二君のお家は総合病院でしょ?私が法学部で弁護士になるより、医学部に行って医者になった方が良いって考えるのは当たり前。でも、この間の模試の結果もまだ出てないし、理系は正直苦手分野だからT大の理Ⅲは無理にしても、医学部がA判定になるまでは秘密にしておきたかったの。』
『そんなこと考えてくれてたの?でも、弁護士になるって言う夢は?』
雫『私の夢は年収1000万。弁護士を選択したのは私の母が弁護士でなんとなく目標として設定しやすかったから。この間、両親にも話して応援してくれるって言ってたし、自分でちゃんと頑張るから賢二君はちゃんと自分の勉強に専念して』

嬉しかった。オレや、オレの家族、彼女の家族は結婚することを凄く望んでくれてるが彼女からはちゃんと聞いたことも無かったし、聞くのも怖かった。
彼女がオレとの将来をそこまで具体的に考えてくれてたなんて・・・
『ありがとう。そこまで考えてくれてたなんてさ・・・カナリ嬉しいし、心強いけどさ、オレは最初に聞きたかった』
雫『ご、ごめんなさい。でも、これを言っちゃうと賢二君が自分の勉強に専念出来なくなるんじゃないかと思って・・・』
『オレとの未来のために決断しようとする彼女に心配しない男は確かにいないよ。
でもさ、この先の人生には2人で決めていかなきゃいけないことは沢山出てくるよ。
その度にオレは勉強に専念できないからとか、仕事に集中できないからとかって言う理由ですれ違いたくない。
まずオレに言えって言うのも強引だけど、出来れば早く相談してよ』
雫『・・・分かった。これからは賢二君にもちゃんと相談する。でも、だからって自分のこともちゃんとしてね。』
『フゥー・・・、分かった』
マーボ『ってか、お前らってマジでT大が志望校なの?で、しかも理Ⅲ?医学部?って射程圏内なの?』
『そりゃ、何でT大かって言われると国立だし、最難関って言われる場所で勉強出来るって最高の環境じゃん。周りの奴だってレベルが高いんだから、一緒にいて自分のレベルも上げられるしさ。
もちろんオレも、雫も射程圏内。合格ラインには確実にいる。』
雫『この際だから聞くけど、あなた達はどこを受けるつもりなの?私が言うのもアレだけど、特に夏目さんは結構頑張らないと大学は無理よ』
ハル『オレは多分、海外に行く。みっちゃんの母ちゃんが卒業した大学で生物学部を学びてぇ。学者になりたい』
佐々原『はっ?ハル、海外なの?オレは工学部とか考えてるんだけど、大学自体は自宅から通えるって事だけ』
ジョージ『ん~、オレは将来親父の会社継ぐのが決定事項だから経営で私立かなぁ~』
バカ女『・・・・・』

翌週の日曜日、彼女の試験も無事に終わり今回は彼女がトップでハルが2位だったそうだ。
昨晩、予備校から帰ると模試の結果が送られてきてたので彼女にも同じように送られて来てるだろう。
寝る前の電話でその話を出そうと思ったが、今回ばかりは彼女が言って来てくれるのを待とうと思った。
彼女は理系が苦手なんて言いつつも、彼女の勤勉さを知ってる俺としてはそこまで心配していない。
彼女が本気で努力すればきっとオレよりも理Ⅲに近い人物である事には間違いない。
彼女の自宅に約束の時間通り着いて、チャイムを鳴らすと彼女の嬉しそうな声が聞こえてくる。
リていると嬉しそうに紙を見ている。きっと模試の結果だろう、あの笑顔は判定が良かった証拠だなっ。
雫『ねぇ、賢二君。この間の模試の結果なんだけどね・・・T大の理Ⅲも医学部もA判定だったの!』

・・・呆然とした。オレは理ⅢがB判定、医学部A判定だったのだ。そんなみっともない結果を話すわけにもいかず、ブラウニーの事を褒めて、自宅でまともにしていない受験勉強への取り組みを再認識させたのだった。


~おまけ~
作品名:St. Valentine's day 作家名:石井恵