グランギニョールは微笑んだ 第一章
暗躍する“月”
「…いつ見ても変わらないわ…。」
メイド服の少女は、町を歩いていた。彼女の名は十六夜咲夜。ナイフを投げる事が得意、忠誠心高いが謎に包まれている女の子。…と言っても分かるだろうか。
彼女はあるお方より、買い物を頼まれていた。ナイフ投げをして其れを利用しお金を貰う。其れが彼女のモットーだった。
何よりも彼女を奮い立たせていたのが、アニマの器搭載してるLBX。『彼女』は、存在している訳ではない、只、そこに”い”るのだ。
彼女は秩序無き破壊を繰り返す者達の想いから生まれた存在です。例え彼らが負けても無念がこの世にある限り彼女は永久に生き続けるでしょう。
ツァラトゥストラの大罪12が揃えば、永劫回帰へと至り、運命は変えられる。
「…電話?」
咲夜は携帯電話が鳴っている事に気づき、ピッと手に取った。
「ハイ、こちら十六夜咲夜」
『…君は何をしているんだ!』
若い青年の声だと思われるが、咲夜は気にせず続けた。
「…私はカレーの材料を買いに行っているだけよ。」
『其処がお前の悪い所だろう!』
咲夜は「あーもー五月蝿い!」と叫んだが青年は気にせず続けた。
『分かっているのだが…、『Adam』と『Eve』のバグ、発見したのか?』
「其れはまだ見つかってないわ」と咲夜は語る。バグは直に排除しなければならない。…U.N.Oの未来の為に。
「それに私は『Hades』のキーを見つけてはいない。…あの忌まわしき戦争を修正しなければならない。」
今更未来を変えようとも、正義の代償が大きすぎるなら過去を変える選択肢しか、”無い”。私は悪夢を回帰しなければならない存在だから。
『…気にするな咲夜。私の家は唯一”OutoBots”との会話をした存在だから、な。』
ええ、分かっているわと彼女は言い、クスッと笑った。
「ところで異端審問官リンとセイロンの事だけど、彼女達は無事に『アレ』を回収したかしら?」
『彼女達は無事に回収したよ。…まさか基地の跡地にあんな物が置かれているなんて…、私の努力が足りなかったのか…。』
咲夜はええ、努力しますともと言った。
今更未来から来た使者など気にする事は無い。自分さえ生き残れば過去の戦争を変えられるのだから。
それに…、『オプティマス・プライム』の意志を受け継ぐ者さえ見つければ永劫回帰など容易い事だ。
「分かっていますよ…、『蒼穹の聖剣』レーヴァント。」
『此方こそ頼むぞ、異端者審問官『殺人メイデン』十六夜咲夜』
時をかける善悪の月は、何処行った?
作品名:グランギニョールは微笑んだ 第一章 作家名:のーちす