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だーくびーんず
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とある歌姫の闘争記録(ラブコメディー)

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「よくよく考えたら、不幸が服着て歩いてるような上条さんにそんな素敵イベントがあるわけないじゃないですか」
 翌朝、早朝から一万人を超える女性に抹殺されそうなことをつぶやく上条。その鼻孔に、ヒトの食欲を刺激するいい匂いが漂ってきた。
(インデックスが料理でも作ってるのか? いやいや、あいつはつまみ食いこそするが、自発的な料理なんて絶対にしない……)
「あ、当麻君起きたんだ」
 いい匂いの原因はすぐに分かった。
「ああ、おはようアリサ」
「おはよう当麻君。今朝ごはん作ってるからね」
 にこっと可愛く微笑むアリサ。その表情は昨日、上条に普通の女の子として見てもらえるから嬉しいといった、あの時のそれによく似ていた。
「そ、そんなの俺がするからいいのに……って、アリサ!?」
 当麻が思わず顔をそらしたのを、アリサは見逃さなかった。
 不思議な力を持つという右腕に抱き着き、逸らした目を覗き込んだのだ。
「あ、アリサ! 当たってる! なにやら柔らかいものが上条さんの幻想殺しに!」
 しどろもどろになる彼を見て、アリサはくすりと笑う。
 あぁ、やっぱり私はこの人が好きなんだな、と。
「女の子がご飯作るって言ってるのにそんな風に拒否したらダメだよ。ね、それより何か食べたいものある?」
「いや、何が食べたいっていうか……」
 そのとき、アリサは気づいた。崩壊していくエンデュミオンの中で、ものすごく強いシャットアウラにも恐れず立ち向かっていった上条の足が、ぶるぶると震えていることに。
 恐怖一色、といった上条の視線の先を見る。
「俺が、食われそうなんですが」
「あ、おはようインデックスちゃん」
「…………とうまぁ?」
 がちがちと歯を鳴らし、珍しく早起きなインデックスは地の底から響くような声で唸った。
「いやいやインデックスさん違うんですよこれは俺はこの場合何もしていないつまり完全な被害者ポジションでありましてってアリサさん!? 今この状況があなたがわたくしの腕に抱き着いていることで発生しているのは分かっているんですよね分かっててさらに強くぎゅっとしないでください火に油を……」
 がぶり。
「っ〜〜〜〜! 不幸だああぁ!!」
 上条当麻の朝も長い。