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【かいねこ】モノクロ/カラー

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ずるりと、主人が立ち上がる。表情は分からなくても、怒りに満ちていることは、容易に伝わってきた。

『・・・・・・何のつもりだ?』
「どうもこうもないですよ。何を勘違いなさっているのですか」
『何だと?』
「俺は、いろはに「花畑を見せる」と約束したんです。どこに花が咲いてますか? それとも、待ちくたびれて幻覚が見えましたか?」

カイトは肩を竦め、いろはを自分の背中に隠す。

「分かりましたか? 俺はいろはとの約束を守れていません。つまり、契約は完了していない。完了前に手を出したあなたは、今や目に余る存在となりました。魔界の方々がどう思うかは、俺から説明するまでもないですね」
『貴様・・・・・・! 下らん策を弄しおって・・・・・・!』

魔物の体が膨らみ、二人へと押し寄せた瞬間、カイトは背後に隠れているいろはに向かって叫ぶ。

「いろは! 魔石を解放するんだ!」

瞬時に、いろはの腕から真紅の光が溢れ出した。幾重もの光の筋が魔物に絡み付き、動きを止める。

『ぐおおおおあああああああああああああああああ!!』

怒りと絶望に満ちた叫び声が周囲に響き渡り、そして残響が消えた頃には、魔物の姿も消えていた。

「もう大丈夫だよ、いろは。目を開けてごらん」

カイトは、背中に顔を押しつけているいろはを、自分の横に立たせる。いろはがそーっと目を開けると、周囲一面に黄色の花が咲き乱れていた。

「えっ・・・・・・!」
「浄化の術の影響だね。時季外れだけど、壮観だね」

のほほんと言うカイトに、いろははぽろぽろと涙をこぼす。

「カイト、黄色なの! 黄色いお花なの!」
「そうだよ。黄色い花畑だ」
「黄色いお花畑だったの・・・・・・!」

そう言いながらカイトを見上げると、笑顔を浮かべた。

「カイトは、綺麗な青い目をしていたのね」
「がっかりした?」
「ううん。想像以上に素敵だった」

カイトはにっこり笑って、いろはを抱き締める。

「じゃあ、約束通り、いろはは俺のものだから」
「え?」
「ん? 約束したよね? 花畑を見せたら、俺のものになるって」

いろはの耳が真っ赤に染まるのを、楽しげに眺めながら、

「いろはは、俺のお姫様だから。最後は結ばれないとね」

そう言っていろはの体を抱き上げ、唇にキスをした。



終わり