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【かいねこ】モノクロ/カラー

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「さあ、着いたよ。目を開けて」

カイトに声を掛けられ、いろははそろそろと目を開き、カイトを見上げた。

「ほら、約束の場所だよ」

カイトに促され、いろははゆっくりと首を回す。そこには、一面の草原が広がっているだけで、どこにも花は咲いていない。

「カイト・・・・・・お花は?」
「今は時期じゃないからね。咲いてないみたいだ。ごめんね、いろは」

しれっとした言葉に、いろははがっかりした顔をするが、気を取り直して、再びカイトを見上げた。

「そう・・・・・・。でも、ありがとう。私、外に出られて嬉しい」
「いろはにそう言ってもらえると、俺も嬉しいよ」
「降ろしてくれる?」
「仰せの通りに、お姫様」

柔らかな草の上に、そっと足を降ろす。おっかなびっくり歩き出すいろはの頭上に、ふと影が差した。

「え?」

いろはが顔を上げると、そこには異形の化け物がそびえ立つ。悲鳴を上げるより早く、魔物が覆い被さり、いろはは地面に倒れ伏した。

『契約は遂行された。お前は私のものだ』
「やだ! カイト! 助けて!」

いろはは必死で抵抗するが、化け物はびくともしない。そして、そばにいるはずのカイトが助けに来る気配もない。

「カイト! お願い助けて! カイト!」

化け物の一部が、ずるりといろはの首に巻き付いた。喉を絞められ、くぐもった叫びが漏れる。
いろはの腕から力が抜け、ばたりと地面に投げ出された瞬間、不意にのし掛かる重さを感じなくなり、体を抱き上げられた。

「あっ・・・・・・けほっ」
「いろは、大丈夫?」

カイトの問いかけに、いろはは涙ぐみながらこくこくと頷き、その胸に顔を押しつける。

「ごめんね。でも、必要だったから」

髪を撫でる手の温もりを感じながら、いろはは首を振った。