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双子でも、考えることは違っていて。

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兄の翔鶴は損害担当艦という不名誉なニックネームがついている。
それに対して弟の瑞鶴は幸運艦として名高い。

なぜ双子のように姿形が似ているのに、こんなにも運の善し悪しが違うのだろう。
一緒に戦っているのに。どうして、何が違うのか、何がいけないのか。
弟の瑞鶴は戦いが1つ終わるごとにそんなことで悩まされ続けている。
そして、酷く傷ついているのにいつも平然を装っている兄に対し、苛立ちが大きくなっていった。

デビュー戦は歴史的大勝利で終わった。圧勝だった。
その時、どこの誰よりも、自分たちは強い。負けるはずがない。と全員が思ったはずだ。
いいや、はずではない。そう思った。
しかし、戦況は長引くにつれて激しくなっていく。
戦いが1つ終わるたびに、兄の翔鶴は負傷する。
「おい、翔鶴」
「どうかしたの?瑞鶴」
また、そうやって普通に返事をするんだな。そんなにも、傷ついているのに。
翔鶴は頭がおかしくなってしまったのではないだろうかと最近思う。あんなに包帯をまいているのに、痛いはずなのに。
よく、苦しいという感情を押し殺せているな…と。
そんなに平然としなくていいのに。痛いと、戦いたくないと、正直に言えばいいのに。こんなにも心配しているのに…弟にくらい甘えろよ。
いや、ただ兄には死んでほしくないだけなのかもしれない。
まぁ、艦なのに死んでほしくないということはおかしいことなのかもしれない。
必ず、死んでしまうのだから。いや、死んでしまうというよりは沈没する、か?
それでも事実に変わりはない。どっちみち、海の上で死ぬんだろうが。そんなこと考えたくもない。
「勝手に死ぬなよ?」
「え?急にどうしたの?」
きょとんと翔鶴は返事をする。俺は死なないよ。とでも言っているかのように。
「いや…しっかり戦えってことだ」
「そりゃあ、空母としての働きはしっかりするけど」
空母として、か…
俺は翔鶴に死んでほしくない。もちろん、死なずにしっかり戦えってことでもない。兄として死んでほしくはないのだ。
空母としてでもない、兄として死んでほしくない。

これからも、ずっと一緒にいたい。
どんなに辛い時も、楽しい時も。
こんな風に思うことはおかしいのだろうか。まぁ、俺たちは自分たちの意思で戦うことはできないわけだが。
死ぬまで、上官や兵士たちとともに戦場へ行かなければならないことも分っているが。