双子でも、考えることは違っていて。
「瑞鶴?どうしたのそんな顔して」
そんな顔?俺はどんな顔をしてるんだ?
「何がだ?俺はいつも通りだろ?」
分らない。確かに目つきは悪い方かもしれないが…双子だしそんな変わらないか。
今思えば、本当に似ているんだなぁー…なんて。茶番もいいところだ。
「俺たち、艦だろ?それに瑞鶴が思っているほど弱くないよ?」
今までだって、大怪我してるけどちゃんと生きてるし。だなんてことも付け加えやがった。
いきなりそんなこと言われても…でも、言ってることは間違ってない。今、現在生きていることが奇跡に近いんだろうな。
兄の翔鶴に至ってはなおさらだ。
それだから、今さら死なれては困る。
ここまで生きてこられたんだろ?どんなに大怪我しても、辛いことがあっても、自分の艦に乗って一緒に戦っていた仲間がたくさん死んできても生き抜いてきたんだろ!!
そんなことがまた頭をよぎる。頭のなかをぐるぐると廻る、廻る…
そんなことを考え続けていたら、涙がでてきた。
俺にもよく分らないが涙がでてきた。なんで、今泣いてるんだ?
う…っと声をあげて泣き始める弟の瑞鶴に兄の翔鶴は驚いている。
え?なんで泣き始めてるの??ねぇ、瑞鶴…?
「…俺はお前に死んでほしくないっ!艦だからとかじゃない!俺の兄としてだ!もっと同じ時間を過ごしていきたいのに!!どうして?どうしてお前はそんなに…っ」
突然言い放たれた言葉。
さすがにこの言葉には兄の翔鶴は驚いた。まさか、瑞鶴が、そんなことを言うなんて。
「瑞鶴?そんなに泣かなくたっていいんだよ。俺も同じように思ってるよ。たかが運の善し悪しでそんな…」
簡単に死んではたまるか。そんなこと言ったら、なおさら泣きだすな。今の瑞鶴はぼろぼろだもん。
うわぁっと泣いている弟を見て、そう優しく囁いた。
珍しく、何かの前触れのように、大声で泣きわめいてる弟を優しく抱擁しながら。
まさか、すぐ近くまで、兄の翔鶴がそのようになってしまう、死んでしまうその瞬間が近づいてきているなんて、知るよしもないまま…
作品名:双子でも、考えることは違っていて。 作家名:へたれ。