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GYM BEAT

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 ここはイッシュと呼ばれる地方のヒオウギシティという町。
ここに住んでいるイチハはトレーナーズスクールに向かって、時折腕時計を見ながら走っていた。
遅刻常習犯であるイチハが昨日遅刻したとき先生に、

「次遅刻したら宿題2倍だからな」

と言われたのだ。元から多くて大変なのに、これ以上増やされてしまうとどうなるかなんて目に見えている。そして、今日も例のごとく寝坊してしまって必死に走っているという訳だ。




「……疲れた」

「間に合って良かったね」

机に突っ伏しているイチハに隣の席のシノが微笑みながら言った。

「うん。ギリギリセーフ。今日遅れたら大変だもん」

「宿題2倍だもんね。ところで、イチハちゃんってなんでいつも遅刻するの?」

シノは痛いところを遠慮もせずに突いてくる。

「う…。だって、二度寝しちゃうんだもん…」

「二度寝しなければいいのに」

「すみません。眠いんです」

「遅くまで起きてるからでしょ?」

シノはいつも図星をもついてくる。確かに、夜遅くまで試合のシミュレーションをしていて気付いたら夜中の3時だった、なんてことはよくある。

「あっ、チェレン先生来た」


 きりーつ、きをつけー、れい

今日も学校の一日が始まった。


♪♪♪


授業が終わると先生はイチハの所にやってきた。

「今日はちゃんと間に合ったな」

「はい。ギリギリでしたけど」

「君には才能があるんだから、あとは普段の生活をしっかりすれば一人前なんだけどな」

「がんばろうとは思ってるんですけどね…」

イチハはあははと笑って誤魔化してみる。

「うん。その気持ちは大事だよ。それが言葉だけで終わらないようにね」

「はい!」

先生はそう言うと足早に教室の奥にあるジムの方に向かっていった。今日は久々にジムに挑戦者があるらしい。

チェレン先生は数年前、プラズマ団という組織がポケモン達を人々から”解放”しようとしていたのを止めたらしい。イチハが先生にその事を聞くと、
「あのとき僕は何も出来なかったんだ」と目を細くして遠くを見詰めながらいう。なんでも、先生の幼馴染がほとんど一人でプラズマ団をやっつけてしまったそうだ。
その後もプラズマ団とは色々とあったらしいけどその話はまだ詳しくは聞いていない。
とにかく、先生はかなり強いらしい。
実技の授業で先生がポケモンを出す事はある。でも、イチハはまだ先生が本気で戦っている所を見たことがなかった。

先生が戦う所を見てみたいという一心で、イチハはシノを誘ってジムに入った。
基本的にジム戦は無料で一般公開されている。
久し振りの挑戦者なのに観戦者はあまりいなかった。プロ同士の試合だとテレビで放送されるくらいに扱われる事もあるのに、ジム戦は新聞の取材が一つくらいしか来ないらしい。

試合の前には挑戦者のポケモンのチェックが入る。そのポケモンのある程度のステータスを調べるのと、ドーピングが使われていないかを検査する。だから挑戦するときは一週間程前に申請しなければ挑戦出来ないようになっている。
その検査の結果とバッジの個数などから、ジムリーダーはどのレベルのポケモンで挑戦を受けるのかを決める。
検査の結果によっては挑戦を断られる事もあるそうだ。

しばらくすると先生が現れた。イチハが横を見るとシノが嬉しそうな顔をしていた。イチハはシノがチェレン先生に気があるのを知っている。入学したときに一目惚れしたらしい。
確かに先生はそこそこ格好良い。シノが好きになるのもわからなくはなかった。
二人で他愛の無い話(ほとんどはシノがチェレン先生について一人で喋っていた)をしていると、イチハ達と同じくらいの少年が会場に入ってきて、フィールドの壁にモニターが現れた。試合の様子がこの大きなモニターでも確認できるようになっている。
どうやら試合は2対2みたいだ。そして、もうすぐ試合が始まる。





今日がトレーナーになって初めてのジム戦だ。
一ヶ月前にトレーナーとして旅立ち、八つあるバッジ(八つ集めると四天王と呼ばれるトップのトレーナーに挑戦出来る)のうちの一つ目の相手として選んだのがこの町のトレーナーズスクールの先生であるチェレンだった。主にノーマルタイプを使うと聞いている。だからと言って対策をしたわけではないけど。

検査にも無事通り、あとは1時間後に迫った試合を待つだけ。
フエゴは二つのモンスターボールを開け相棒を解き放ってやる。

「ふぅ~……。よしっ! 今日は頼むぜ!」

フエゴは相棒達の頭を撫でてやった。


♪♪♪


「フエゴ君。今日はよろしく!」

「よろしくお願いします。絶対、勝ちますから!」

  それでは……はじめっ!

その合図で二人が同時にモンスターボールからポケモン達を解き放った。

「頼んだ!」

「いけえっ」

チェレン側はハーデリア、フエゴ側はナックラーがそれぞれフィールドに出る。
ハーデリアはナックラーを睨んでいかくをした。だが、ナックラーはまったく動じていない。持ち前のかいりきバサミは健在みたいだ。

しばらく睨み合いが続いた。
そして、先に動いたのはフエゴの方だった。

「かみつくだ!」

ナックラーは重鈍そうな見た目とは裏腹に素早くハーデリアに向かっていく。二匹の距離はさほど離れていなかったため、あっという間に間合いが縮まる。

「デリー、ほえろ!」

チェレンの指示にデリー(ハーデリアのNN)はナックラーに向かって大きく吠えた。
突然の事にナックラーは驚いてひるんでしまい、動きが止まった。そこをチェレンは見逃さない。

「デリー! とっしん!」

混乱してしまっているナックラーにデリーが勢いよく突進していく。

「エフ、だましうちだ!!」

いつものように呼ばれたナックラーは我に返ってデリーの突進を間一髪ひらりと避けると同時に懐に飛び込んだ。
デリーはそれを避けることも出来ず、もろにダメージを受けて吹っ飛んだ。

「デリー!」

審判の男がデリーに駆け寄る。そして、先頭不能の合図を出した。
フエゴは思わずガッツポーズをした。それほどに、うまく決まった事が嬉しかった。

「ごめんな」

チェレンがデリーをモンスターボールに戻し、もう片方を取り出した。

「……よし、いけ! ププ!」

チェレンの次手はプリンだった。
フエゴは予想外のポケモンに少し呆気に取られた。そして思った。”これは勝ったな”と。

作品名:GYM BEAT 作家名:カナエ