キ○レツ大百科に関するとある考察
かく言う私も純正オチャッパー。この世に生まれてからの第一声は『I Will Give You All My Love』。小学校のときの一発ネタは『コロンブスでしょ?↑(裏声)』だった私としては気持ち的には、まさにキテレツに産み落とされ、キテレツに育てられたようなものなのです。
まあ、誰にしてるんだよというような関係無い話はいいとして……。俺は先ほどから気になっていたことを口にした。
「あと、お前さ……この話、当初の予定よりかなりオーバーな脚色を加えて語ってただろ」
「はあ? なによぅ」
「多分、自分で語ってるうちにどんどんテンションあがったんだろうな」
「なんでそんなこというの」
「だってお前、初めは『甘酸っぱい恋』の形容だって言ってたじゃないか! 全然甘酸っぱくねえじゃん! 明らかに途中から盛り上がる方向に路線変更しただろ!!」
俺が気に入らなかったのはそこだった。自分のテンション極まり、ドヤ顔で演技の世界に入り込みながら、俺を謎ワールドへ引きずり込んでいたのかと思うと、今更腹が立ってくる。まあ、恥ずかしさへの当てつけだ。
「…………」
「…………」
「…………ああー」
この野郎、思い出したかのようにぽんと手を打ちやがる。
「ああーって!! 忘れるなよ!!!」
「…………」
「何か言えよ!!」
白々しい間延びした声だけ上げると、急に黙りこんでしまった。さっきまでの饒舌さはどこへやら。しかしこの期に及んで決して崩さない、考えに耽っているかのような神妙な面持ちが苛立ちを誘う。腹立つわコイツ……。
「フッ……」
やがて、観念したよとも言わんばかりに彼女は自嘲気味に笑みをこぼすと、オーバーに肩をすくめてみせた。
「…………はは、コイツは一本取られたわね」
「は?」
「まさに、『キャベツはどうした』ってか?」
「うおおおおおムカツクッ!!!!!!」
作品名:キ○レツ大百科に関するとある考察 作家名:毛牙深輪