Wizard//Magica Wish −12−
燃え上がる大地。
ハルトは杏子の亡骸を地面に寝かせ、後ろを振り向きフェニックスの元へと歩む。
ハルトの瞳にはもう迷いなんて一切無い。
全てを決意した…全てを乗り越えた…まるで「龍」のような目突きへと変化していた。
「指輪の魔法使い…ここでやるつもりね」
「覚悟しろ…フェニックス」
「『フレイム』プリーズ!『ヒーヒー!ヒーヒーヒー!!』」
「ふふっ…この数のファントムが相手だとしても?」
その時、フェニックスの後ろに大量のファントムが出現した。ファントムといっても使い魔程度の物だが、その数は無数。一人で相手するには到底不可能の量が湧き出ていた。
だが、ウィザードの歩は止まることなく、ただ前を歩き続ける。
「もう迷いは無い…失う物も無い…全てお前が…お前が俺から奪っていった!!」
「ここで蹴りをつけましょう…指輪の魔法使い!!本当に、ここでどちらが倒れるか、決着をつけてやるっ!!!!」
1対 無限。
もはや勝負は着いているといっても過言では無い。
だがウィザードは諦めていない。
今、彼が見えているのは無数のファントムではなく、フェニックスのみ。
片手にウィザーソードガンを構え、もう片方の手には、赤い指輪を握り締め、
大きな掛け声と共に駆け抜けていった…。
作品名:Wizard//Magica Wish −12− 作家名:a-o-w