Wizard//Magica Wish −12−
………
「これが全ての真実よ…まどか」
「そんな…そんなことって!!」
まどか は ほむらからハルトに関しての事実を全て聞いていた。ハルトが穢れを吸い取っていた事、さらにそれが魔女化へと繋がっていたこと。
「そんな大事なこと、ハルトくんは一言もっ!」
「言う訳ないじゃない。本当に馬鹿っ…」
一瞬、ほむら が悔しそうに手を握り締める。まどか も同じだった。何が希望だ…そんな事一つも気付けなかった自分を恨んでしょうがなかった。
「ついに真実を話したんだね、暁美ほむら」
「っ!キュウベぇ!!」
「あなた、いつの間に!?」
聞きなれた声。
二人は同時にどの声の主が誰なのか理解した。
顔を上げると奇妙な生物が目の前に一匹。インキュベーターだ。ほむら は瞬時に懐から拳銃を取り出しインキュベーターに突きつけた。
「いつ鹿目まどか に真実を話すのかヒヤヒヤしたよ。もうそろそろ教えてあげないと気がつかない間に大変なことになってしまうからね」
「まさかキュウベぇ…あなたもこの事を知っていたの!?」
「まあね、先に真実に辿り着いたのは ほむらが先だけど」
「酷いよっ!なんでもっと早く教えてくれなかったの?」
「この時を、運命の時を待っていたからさ」
「…なんですって!?」
ほむら がキュウベぇの言葉に反応し懐から携帯を取り出し、日付を確認した。
何事かとまどかが ほむらの顔を覗く。
だが、彼女の顔は非常に青ざめていた。
まるで、見てはいけない物を見てしまった時のように…。
「ありえない…まだの筈よ…早い、早すぎる!!」
「何?ほむらちゃん、どうしたの?」
「インキュベーター!!これは一体どういうこと!!?」
急に ほむら は怒りをこらえきれなくなりキュウベぇに罵声を浴びせた。こんな感情的な ほむら の姿を見るのは まどか は始めてだった。
何故、彼女はここまで怒っているのか、まどか には理解できなかった。
「おそらく千歳ゆま と 佐倉杏子の存在がウィザードの魔女化を早めたんだよ。本来ならもっと後だと僕達は推測していたんだけどね」
「…うぅっ…くそぉぉっ!!」
だんっ!と、ほむらは握っていた拳銃を地面に投げ捨て、両手で頭を抱え込んだ。
「ほむらちゃん、一体どうしたの!?一体これから何が起ころうとしているの!!?」
「…まどか、
…決断の時よ」
「え…?きゃっ」
急に、ほむら がまどかの両肩を掴んだ。あまりの衝撃だったために後ろへ数歩分後ずさる。ほむら は口を震わせながらその言葉の後を話し始めた。
「よく聞いて…まどか。さっきの操真ハルトの話にはまだ続きがあるの…操真ハルトが穢れと因果を吸収できる理由…
それは、彼がとある魔法少女の願いによってこの世にできた『ソウルジェム』だからなの…
人間では、ないのよ」
「っ!!!!」
「そして、穢れと因果線が溜まりに溜まりきった彼はもうすぐそれらが暴発し、この世に私達が見たこともない…史上最強最悪の魔女が生まれる…
そして、あなたは必ずその魔女に殺されてしまうのっ!!」
「ちょ、ちょっと待って!ちょっと待ってよ!!ほむらちゃんっ!!!!」
「その史上最強で最悪の魔女…」
その魔女の名前は…
作品名:Wizard//Magica Wish −12− 作家名:a-o-w