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Aに救いの手を_サイレント・キーパー(仮面ライダーW)

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「貴様が一階でドッゴンドッゴンやっているうちに、梯子を使って二階に回避していたのだ」
「まぁ、視界がゼロだったからさすがに逃げている最中に数発くらいは掠っちまったがな」
「うむ、生きてるのが不思議なくらいのラッキーだった」
「ぎ、貴様ら〜・・・・・・っ!」
歯を噛み締め悔しがる永田。
「ふ、ふん。じがじ、ぞんなどごろへ逃げだっで状況は変わらないぞ。お、おでのプレスメモリの射程距離はどっでも長いんだ。そごぐらいまでなら楽々ど、」
「うるっせ〜なぁ〜。やってみろ」
翔太郎は小ばかにするように永田の言葉を遮る。
「な、」
その翔太郎の態度に永田は思わす言葉を詰まらせる。
「そうだ。とっととやってみせろ。そ、その、お、お得意の、ブ、ブレス、メ、メモリで」
真倉は永田のしゃべり方を真似する。
「プ、プレスメモリだ!」
それに永田は怒りを隠さない。
「仕方ねーだろ。だってお前のしゃべり方が変だからよ」
「お、おでは変じゃないっ!」
「お、おでは変じゃないっ!」
「ま、真似ずるな!!」
真倉に真似されて、永田は顔を真っ赤にして怒る。
「お、お前らなんかずぐに落どじでやる。このおでの、プレスメモリの力で!」
「へぇ? 面白ぇ。やってみなよ?」
翔太郎は帽子を被り直して気取ったポーズで挑発する。
「やーい、バーカバーカ。こっこまでっおっいでー」
真倉は調子に乗って必要以上に永田を煽る。
ぷちっ。
その子供じみた挑発が、永田のなかで何かをキった。
「・・・・・・でやる」
何かを呟く永田。そしてかっと目を見開き二人を睨む。
「潰じでやる、潰じでやる潰じでやる潰じでやる潰じでやるっ!」
そして二人に向けてハンマーのような杖を構える。
ブウウン・・・・・・。
翔太郎と真倉の頭上に空間の歪みが発生する。
それは永田の通常の圧迫の球とはことなり運動会で使う大玉おくりの球くらいの大きさにまで膨れ上がった。
「潰じでやる潰じでやる潰じでやる潰じでやるっ! おでをバカにする奴らはどいつもこいつも、潰゛じ殺゛じでや゛る゛ぅーーー!」
そう言い放ったと同時に永田は杖を地面に振り下ろす。
「お"お"お"お"お"お"お"お"――――――!!!」
ガキンッ!!!
あたかもハンマーで何かを打ち潰すように。
「今だ、マッキー!」
翔太郎は横にいる相棒に合図を出す。
「ほいさっさ!」
それに真倉は応える。
「「はぁ!!」」
二人は圧迫の球が落ちるかどうかのギリギリの瞬間に横に飛ぶ。
ドッッッゴーーーーーンッッッ!!!
巨大なエネルギーの塊が工場の二階の床を叩きつける。
その衝撃は二階の床中に伝わり、
ガコン。ガタ。ガタ。
永田の頭上にある"ある物"にまで到達する。
「あ"ぁ?」
まだ怒りで周りがよく見えていない永田だったが、自分の頭上で何かが軋む音が聞こえ、ふと頭上を見上げる。
そこには一台の大型の機械があった。
「普通、一般の工場で二階に機械は設置しない。危ないし使い勝手が悪いからな」
横に飛び、なんとか無事だった翔太郎が呟く。
「しかし、この工場は特殊でな。集めた金属のスクラップを加工してそれで製品をつくっていたんだ」
その言葉を横の真倉が引き継ぐ。
ガタ。ガタ。
永田の頭上で軋んでいるその大型機械。それは、
「『リフティングマグネット』。上からスクラップの鋼材を磁力の力で吸い上げる巨大磁石さ」
ガタ。ガタガタガタガタガタ!!
永田の頭上にあるその大型機械は、堰を切ったように激しく軋み出し、
ガタン。
「・・・・・・え"?」
重さ数トンもある巨大磁石が、永田の上に落ちてきた。
「なぁぁにぃぃぃーーーー!!」
ドッッッゴーーーーーンッッッ!!!
ぷしゅうううう、と巨大な土煙をたてる工場内。
大型の機械は落下すると、地上で無残にバラバラに壊れていた。
「やったか!?」
翔太郎は永田が潰されたあたりを注意深く見る。
あたり一面に土埃が舞っていてその全容はよく見ない。
「な、」
しかし、そこには人影があった。
鋼鉄の手足にドラム菅のような胴体。
何もない空間から圧力を発生させる能力の持ち主、プレスメモリのドーパントの姿がそこにはあった。
「な、に?」
「まだ、生きている、だと?」
二人は驚愕と絶望でうまく言葉を発することができない。
「・・・・・・」
その怪人はただ無言で仁王立ちをしている。
「・・・・・・」
しかしより注意深くその怪人をみてみると、所々傷を負っており、手持ちの杖なんかはポッキリ折られていた。
「・・・・・・」
それは、ザシュ、ザシュ、と重い足取りで数歩ほど前に歩くと、
「う"、う"〜ん・・・・・・」
どさり。
そのまま前に倒れてしまった。
パシュッ!
それと同時に永田の腕からプレスメモリが排出される。
前回の仮面ライダーたちとのダメージもあり、メモリは排出されると同時に、パキッ、と音をたてて砕けてしまった。
そして、圧迫の怪人は永田省吾という普通の人間へと変化していた。
「・・・・・・」
「・・・・・・」
その一連の様子を翔太郎と真倉は呼吸も忘れて見届けていた。そして、
「「ぷはぁぁ!」」
二人はは膝から落ちるように座りこむ。
「お、おどかしやがってぇ〜〜〜・・・・・・」
冷や汗びっしょりの翔太郎は、はふぅ、と一息つく。
「ハァ、ハァ、ハァ、」
「しかしまぁ、なんとか生き残ったな、ええオイ?」
「ハァ、ハァ、ハァ、」
「どうしたよ、マッキー? 息が荒いぜ。大丈夫か?」
真倉は何故か興奮していた。怪訝に思った翔太郎が問うと、真倉はゆっくりと口を開き、
「ド、」
「ド?」
「ド、ドドドーパントを倒してしまった・・・・・・」
真倉は誰に伝えるでもなく虚空に呟く。
「・・・・・・?」
翔太郎はきょとんとした顔で真倉をみる。
「だ、誰かに助けてもらったわけじゃあなく、か、仮面ライダーの力も借りずに、生身の人間である俺たちが、自分の力だけで怪物を倒してしまった・・・・・・」
その顔は事が終わった今でも興奮と困惑の色を浮かべていた。
「・・・・・・」
『自分達にはまだドーパントに対抗するだけの力ない』と語っていた真倉。
明るい調子で何事もないように真倉は言っていたが、その心の奥の奥底では、何も出来ない自分にやるせない感情を抱いていたのではないか。
街を守る者として、仮面ライダーにしか頼れない自分が歯がゆかったのではないか。
今日この日、この場所で。
彼自身の手で、"街の絶望"を一つ取り除くまでは。
「・・・・・・フ」
翔太郎は口元を緩める。
「ああ。・・・・・・俺たちの、勝ちだ」
そして翔太郎は自分の気持ちを気づかれないよう何でもない調子で、しかし万感の思いを込めながら、翔太郎はその独白に答えた。