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Aに救いの手を_サイレント・キーパー(仮面ライダーW)

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蛇の牙




毒蛇の牙。
何故かそんな単語を想起させる、まがまがしい不吉なフォルム。
「シャッハーーー!!」
桐嶋はそんな単語が当てはまる手持ちのナイフを構えて突進する。
しゅるしゅる、しゅるり、しゃらん。
肉体を滑らかな動きで変化させ障害物を避けながら、もの凄いスピードで標的であるダブルへと接近する。
「しかし翔太郎。どうするつもりだい? サイクロンジョーカーでは彼の動きを捕まえるのは至難の技だ」
ダブルの右の片割れ・フィリップはふと疑問を口にする。
「へ、あっちが変幻自在で来るなら、―――こちらも変幻自在で勝負するぜ!」
(Luna!!!)
言うが早いかダブルの手には新たなガイアメモリが握られていた。
月のように妖しく輝く黄色のメモリ。
ガチャリ。ガチャ。
ダブルはベルトのバックルを閉じると右側に挿していたサイクロン・メモリを外し、
「こいつが仮面ライダーW(ダブル)随一のトリック・スター、―――ルナメモリさ!」
ガチャ。ガチャリ。
ルナメモリと呼ばれるガイアメモリを挿し、バックルを開き直した。
(Luna!!!)
(Joker!!!)
電子音とともに月光のような神々しくも妖しい光と黒く激しい力の奔流がダブルを覆う。
パシュウウウ・・・・・・。
数秒とかからず、ダブルはダブルでありながらダブルとは違う存在へと変貌していた。
黄色と黒のアシンメトリーの怪人。
変幻の切札・ルナジョーカー。
「それが、どうしたと言うのですかぁ!!」
桐嶋は構わず突進する。
「はぁ!」
ダブルは叫びとともに右腕を伸ばす。
否、文字通り『延びた』。
ダブルの黄色の右腕がゴムでも引っ張るかのように延長したのだ。
「な!?」
驚愕する桐嶋。
しかしその延びた右腕はそんなことなど気にも留めず、桐嶋のいるところまで到達すると、
しゅるん。しゅるる。
それだけでは飽き足らず桐嶋の胴体に『巻き付いた』。
「に!?」
一瞬のうちに捕縛されそうになる桐嶋。
「う、おおお!!」
それを桐嶋はなんとか身をよじって避ける
「チッ、ミスった!」
「しかし惜しかった」
ダブルは延びた手を右腕を引っ込める。パチン、と勢いよく元の長さに戻る様子も、どこかゴムの弾性を意識させた。
かろうじて回避した桐嶋だったが、未だ彼は驚愕の渦のなかにいた。
「これがプロジェクト"W"の亜種形態・ルナジョーカー・・・・・・まさかここまでのスペックだったとは・・・・・・・っ!」
誰に言うでもなく呟く桐嶋。
「ミュージアムの研究データにはなかったかい、参謀の研究者さん、よっと!」
ダブルは再度右腕を延ばす。
変幻自在の右腕が桐嶋へと向かって延びる。
「っ! 何度も同じ手は喰らいません!」
しかし桐嶋はその腕をさらなる湾曲性をもって回避し、ダブルまでの距離を一気に詰める。
「あっそう。なら今度は、―――この足だ!」
ドガッ!
ダブルまであとわずかという距離。
桐嶋は突然真下から真上へアッパーカットのように垂直にはしる『黄色の足裏』に蹴りを喰らった。
「がふっ!?」
短く呻いてアゴを跳ね上げられる桐嶋。
ルナジョーカーの右足。桐嶋のアゴを跳ね上げた攻撃の正体。
「手がダメなら足でってな。やったぜ、初の大当たりだ!」
「当たり? いいね。それじゃ何か景品を貰わなくては」
アゴを跳ね上げられた桐嶋はよろめくがすぐに体制を立て直す。
「はぁ、はぁ、はぁ、・・・・・・」
しかしダメージは抜けていないのかその呼吸は荒い。
「やっこさん、さっきの攻撃がかなり効いているみたいだぜ。―――畳み掛けるなら今がチャンスだ!」
「確かに。ここで攻撃の手を止める理由はない。―――このまま一気にカタをつけよう!」
臨戦体勢をとり桐嶋へ追撃を試みる。
「はぁ、はぁ、はぁ、・・・・・・」
相変わらず息が上がっている桐嶋は、
「・・・・・・い、」
その荒い息のままに、

「いい気になってんじゃねーですよ、小僧ども・・・・・・っ!」

歪んだ笑みを浮かべた。
「私のヴァイパーメモリの能力は人体の蛇化。その力は骨格を多間接するだけには留まらず、あらゆるものを本物の蛇に変えるということ」
桐嶋は続ける。
「そしてこのヴァイパーメモリの真の力は! 私の怒りの感情によってその真価を発揮するッ!」
「何を訳の分からねーことを言ってやが―――」

ドクン。ガク。

「ぇ、あ・・・・・・?」
その直後。
ダブルは突然の倦怠感に見舞われ。
強烈な眩暈に襲われ。

そして終には、地面に片膝をついた。