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Aに救いの手を_サイレント・キーパー(仮面ライダーW)

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沈黙継続者は静かに語り始める




照井がアクセルトライアルに変身した頃。
ダブルはこの廃工場の一番奥にある第三工場の入り口までたどり着くところだった。
「照井は一人で大丈夫だろうか・・・・・・」
翔太郎の声色は重い。彼は照井を一人であの場においてきたことを少し後悔していた
ダブルでも敵わなかった強敵・検体番号68番。照井の強さを疑うつもりはないが、彼は先の闘いで大怪我をしたし不安が全くないわけでもなかった。
「・・・・・・ふ、君に心配されるなんて、照井竜もまだまだと言ったところかな」
そんな不安そうな翔太郎をフィリップは一笑に付く。
「何おう! どういう意味だ!」
「もっと彼を信じたまえ」
怒鳴る翔太郎をフィリップは落ち着いた声で制す。
「今、あそこで闘っている人間を僕たちはよく知っているはずだ。不死身の男、風都最強のエリート刑事、それが彼、―――照井竜だろう?」
そう言ってフィリップは不敵に笑った。
「フィリップ・・・・・・」
「彼なら絶対大丈夫さ。何も心配せず僕たちは僕たちの仕事をすればいい。彼に托されたとおりこの奥にいる黒幕、サイレント・キーパーの野望を阻止するんだ」
そう言ったフィリップの眼は奥の部屋、今回の黒幕がいるであろう最終ステージを真っ直ぐに見つめていた。
「・・・・・・」
翔太郎はその言葉に暫し呆ける。しかしそのうちに苦笑をすると、
「・・・・・・へ、お前にさとされるなんて、俺はまだまだかもな」
「おや? まだそんな軽口をたたく元気があったのかい?」
つられて笑うフィリップ。
「ぬかせよ、相棒。さぁて、本番はこっからだぜ!!」
ダブルは第三工場の前に着く。そこにはぶ厚い観音開きの扉があり鍵がかかって―――、
「うぉら!!」
ドゴーン!!
それをダブルは勢いよく壊した。パンチ一発で鋼鉄の蝶番は破壊され工場のなかがあらわになる。
壊れた蝶番は部屋のなかに吹っ飛び床に敷かれていたレッドカーペットの上を勢いよく駆ける。
「? カーペット、だと・・・・・・?」

そこは礼拝堂だった。

本当は違ったとしてもそういうよりほかに思い当たる文言がない。中央には赤い絨毯が敷かれ、その先には祭壇のような台座とその周りには多数のロウソク。おそらくは工場の換気窓として利用されたであろう、真ん中上部にある大きめの窓にはその大きさに見合うだけの十字架が取り付けられていた。
工場のなかを簡易的に改装した様子だったので、ちゃんとしたつくりにはなっていなかったが、絨毯やロウソク、十字架など最低限この空間を礼拝堂だと印象付けるアイテムは揃っていた。
「な、んだ・・・・・・? ここは・・・・・・??」
しかしダブルにはそこが礼拝堂であることに気づくまで数瞬の時間を要した。
この空間が一般的な礼拝堂を模されてつくっているのならば、中央の赤い絨毯から祭壇までの両端。ここは本来、信者が祈りを捧げるための長いすが設置してあるはずだった。しかしその場所にあったのは、
「寝・・・・・・台・・・・・・?」
病院のストレッチャーを思わせる簡易の寝台。老人、男、子供、女・・・・・・様々な人間がその寝台の上に寝かされていた。
まったく動かない寝台の人々。その様子はベッドの上で寝ている患者というよりはこれから棺桶に納められる遺体を連想させた。
まるで、すでに死んでいるかのような寝顔。
「っておい! 大丈夫か!? おい!!」
ダブルは嫌な想像にかられ慌てて近くにいた男に近寄り軽くゆする。男は起きなかったが小さく胸を上下させている。どうやら寝ているだけのようだった。
「び、びっくりさせやがる〜・・・・・・」
男が生きていることを確認すると翔太郎はほっとしたように息をはいた。
「しかし、ここは一体どういう場所なんだろうね?」
フィリップは辺りを見回す。

「・・・・・・ここは礼拝堂だよ。我々の計画の成就を願うための、ね」

部屋の一番奥、祭壇のところから声がした。
「っ!」
突然の声に思わず身構えるダブル。部屋のなかはロウソクの光だけで非常に薄暗く今まで気づかなかったが、どうやら声の主は最初からこの部屋にいたらしい。
「・・・・・・」
暗くて輪郭しかはっきりしなかったが、声の主は祭壇で片膝をついて祈りを捧げているような姿だった。
ダブルはその異様な光景に息を飲む。
「・・・・・・へ、あんたが黒幕かい。ようやく出会えたってわけだな、沈黙継続者(サイレント・キーパー)さんよ!」
「どうやら君の誘拐記録はここで打ち止めのようだ。もうこの場所も警察は知っている。諦めて投降したまえ」
「・・・・・・」
ダブルの言葉に何の感情のゆらぎもみせず、ただ沈黙する。
やがて影は静かに立ち上がった。
ロウソクの薄い明かりがその人影を照らす。
「・・・・・・な、に?」
と驚愕の声を上げたのは翔太郎だった。
「・・・・・・これで会うのは二度目、だね? 街の守護者」
そこに立っていたのは、以前真倉と一緒に聞き込みに行った清風教会の神父・宮部総一の姿だった。