二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

Aに救いの手を_サイレント・キーパー(仮面ライダーW)

INDEX|97ページ/98ページ|

次のページ前のページ
 

いつの間にか手に持っていた保安帽をかぶり、代わりに軍手を丸めてお手玉をし出す亜樹子。どこかのサーカスのピエロが如く器用に軍手玉を空中へ放る。
「それに加えて、鳴海探偵事務所は相変わらず財政難でございます」
お手玉をしながら亜樹子は続ける。
「そこで、この探偵事務所の所長であるこの私は考えました。―――仕事がないなら、アルバイトをすればいいじゃない」
どこかで聞いたことのあるセリフ(内容は全然違う)をはく照井亜樹子。
「・・・・・・」
翔太郎は渡されたプレゼントに目を落とす。
保安帽、軍手、アルバイト・・・・・・。
「お、お前、まさか・・・・・・」
これらのキーワードから、翔太郎はある一つの項目を検索した。
「さっすが名探偵。話早いー」
亜樹子は相変わらずのニコニコ笑顔。しかしその目は獲物を狙う肉食獣のように爛々と輝いていた。
「先方にはもう既に話がついているわ。なんでも今とっても人手不足で素人でもいいからすぐに手伝いに来てほしいとか。担当はえ〜っと、下田さん、だっけ?」
「や、やめろ亜樹子! このハードボイルド探偵の俺が、こんな寒空で土方のバイトなんて、」

ばたーーーんっ!!

翔太郎がそこまで言いかけたところで、事務所のドアが勢いよく開く。
「こんちわース。アルバイトの人間を拉致しに・・・・・・お迎えにきましたー」
いつかの工事現場作業員、下田直貴だった。
「げぇ、下田!」
「よう、いつかの探偵さん。いやぁホント助かるぜ。うちの現場ほんと人手不足でさ。猫の手でも借りたい状況だったんだよねー」
そう言いながら翔太郎は工事男のガテン系ハイパワーで首をがっちりホールドされ引きずられるように連れて行かれる。
「ひぃ、こ、こら! 離しやがれ!」
「ふふ、まぁ最初は誰だって怖いものさ。しかしもう一人の赤い革ジャンのにーちゃんなんか、最初は嫌がっていたくせに今ではしっかり馴染んで働いているぜ?」
「赤い革ジャン!? あ、亜樹子、お前まさか自分の亭主を身売りに・・・・・・!?」
「帰ってきたらお説教だもん帰ってきたらお説教だもん帰ってきたらお説教だもん帰ってきたらお説教だもん・・・・・・」
「マジ怖いこの女!!」
そんなやり取りをしながら下田にずるずる引きずられる翔太郎。
「は、離せ、離しやがれ! く、くそ、相棒! フィリップ助けてくれー!」
「やーねー、翔太郎くん。フィリップくんは貴方のお使いで今事務所にいないじゃない。―――叫んでも助けは来なくってよ?」
「い、いやああああ!! た、助けてぇーーー!!」
風都のとある探偵事務所の一室で、一人の探偵の絶叫が鳴り響く。
誰かのピンチにどこからともなく必ず現れるという、この街のスーパーヒーロー。
どうやら、お金の問題に関してだけは、その力は発揮されないらしかった。